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幕末的思考

野口良平

Product Details

ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784622086529
ISBN 10 : 4622086522
Format
Books
Publisher
Release Date
November/2017
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

幕末から明治への列島の歩みは、暗から明への昇華ではない。それは、列強による開国への圧力を前に、尊皇攘夷から尊皇開国への転向とその隠蔽、新政府の正統性の急造を伴いながら、慌しい近代国家建設を余儀なくされる過程であった。しかしそこでは、植民地化への危機感と理不尽への抵抗を糧に、普遍的価値のうえに新社会を構想する思考が、徒手空拳で模索されてもいた。中国や西欧からの輸入ではない、この国に地生えの思考が育まれる契機は、しかし、生みの親でもある対外的「危機感」に圧迫され、皇国主義イデオロギーの席巻という試練のなかで影を潜めていった。帰結の一つは、現在も続く第二極の不在である。本書は、「明治維新」という事後的な枠を通しては見えてこないその思考―幕末的思考―の系譜を、吉田松陰、中岡慎太郎、坂本龍馬、福沢諭吉、中江兆民、北村透谷、夏目漱石、朝河貫一、中里介山らに辿り、その画期性を歴史の行間にあぶりだした精神史的試論である。彼らの未成の思考を紡ぎ直すこと。その今日的意味の切実さを、幕末の人びとの経験は我々に教えている。

目次 : 第1部 外圧(背景史―最初のミッシングリンク/ 状況を担う人/ 変成する世界像/ 変革の主人公とは誰か/ 残された亀裂)/ 第2部 内戦(内戦の経験―第二のミッシングリンク/ 勝者の思考と敗者の思考/ 一八七三年のアポリア/ 未成の第二極)/ 第3部 公私(再び見出された感覚―第三のミッシングリンク/ 滅びる者と生き残る者/ 敗者における大義と理念)/ エピローグ―明治がこない世界のほうへ

【著者紹介】
野口良平 : 1967年生まれ。京都大学文学部卒業。立命館大学大学院文学研究科博士課程修了。京都造形芸術大学非常勤講師。哲学、精神史、言語表現論。著書『「大菩薩峠」の世界像』(平凡社、2009、第18回橋本峰雄賞)ほか(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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