完全版 自由論 現在性の系譜学 河出文庫

酒井隆史

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784309417042
ISBN 10 : 4309417043
フォーマット
出版社
発行年月
2019年08月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
632p;15

内容詳細

私たちは、いま本当に自由なのか?――政治・経済・社会を貫く新自由主義の生成過程とその核心を、〈生〉の地平から批判的に論じ、権力の構造を鮮やかに描いた名著を、文庫化にあたり大増補した決定版。


このくり返しの地獄から、抜け出ることができるのか?――1980年代から現在まで、全世界の政治・経済・社会を貫く「ネオリベラリズム」の生成過程を、規律社会から管理社会へと移行する権力の編成としてダイナミックに描き出し、フーコー以降の政治社会論を根底から更新した名著、待望の文庫化。
2000年以降の危機的状況を、「威主義的リベラリズム」として読み解く斬新な状況/思想論を大幅に増補した決定版。


はじめに

序章 新しい権力地図が生まれるとき――〈運動〉以降
1 〈運動〉以降/2 労働の拒否と一般的知性/3 市民社会の衰退と新しい権力のテクノロジー/4 非物質的労働と大衆知性/5 multitudes(群集=多数性)のエクソダス


T フーコーと自由の現在

第一章 リベラリズムの差異と反復――統治論
1 権力のマクロ物理学/2 アンチ・ポリツァイとしての古典リベラリズム/3 リベラリズムの回帰

第二章 生に折り畳まれる死――権力論
1 処罰とはなにか?/2 危険性の転位?/3 生命の空間への死の折り畳み/4 セキュリティの上昇/5 行為、快楽、欲望

第三章 敵対の転位――法・ノルム論
1 敵対の転位――社会体の解体と近代/i パノプティコンは近代社会の特権的形象たりうるのか?/A 社会体の解体と〈社会〉の誕生/2 アンチ・ポリツァイの思考――行為、快楽、欲望


U セキュリティと自由

第四章 〈セキュリティ〉の上昇――現代都市隔離論
1 セキュリティと分解する「市民社会」/2 コミュニティの「自発的ゲットー化」/3 「アンダークラス」とその〈隔離〉/4 ポスト・ノワールの時代?

第五章 恐怖と秘密の政治学
1 A Scanner Darkly/2 〈コントロール管理支配の収益率の低下〉/3 秘密と欺瞞――アンダーカヴアー・コップ秘密捜査員/4 「捏造の世界化と世界の捏造化」――内-植民地化と統合されたスペクタクル/5 パノプティシズム再考――人工衛星と恐怖のエコロジー

最終章 現在性の系譜学へむけて――「犬」と例外状態
1 幽霊犬/2 ゼロトレランス政策/3 〈法と秩序〉――危機と批判/4 イヌの例外状態/5 「あなた方は現在を軽蔑する権利はない」――批判と自由/6 自由の新しい地平へ


補章
『自由論』韓国語版の序文
補論1 鋳造と転調
補論2 「しがみつく者たち」に
権力と内戦――『自由論』への一八年後の自注

単行本あとがき
文庫版あとがき
参考文献
解説 人工知能資本主義時代の統治技術――酒井隆史『自由論』に寄せて(李珍景/影本剛=訳)



著者プロフィール

フェルナンド・ペソア(フェルナンドペソア)

Fernando Pessoa (1888-1935)
20世紀前半のヨーロッパを代表するポルトガルの詩人・作家。
本名のフェルナンド・ペソアだけでなく
別人格の異名カエイロ、レイス、カンポスなどでも創作をおこなった。
邦訳に上記4名の詩選『ポルトガルの海』(彩流社、1985年/増補版1997年)、
『アナーキストの銀行家 フェルナンド・ペソア短編集』(彩流社、2019年)ほか。
散文集『不安の書』は、ペソア自身に近い男ソアレスの魂の書。

高橋 都彦(タカハシ クニヒコ)

たかはし・くにひこ
拓殖大学名誉教授。
【著書】
『ブラジルポルトガル語の基 礎』(白水社、2009年)、
『現代ポルトガル語辞典 3訂版』(共編、白水社、2014年)ほか。
【訳書】
ジョルジ・アマード
『老練な船乗りたち──バイーアの波止場の二つの物語』(水声社、2017年)、
ジョアン・ギマランイス・ホーザ『最初の物語』(水声社、2018年)ほか。




【著者紹介】
酒井隆史 : 1965年生まれ。社会思想。『通天閣 新・日本資本主義発達史』でサントリー学芸賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • またの名 さん

    倒錯的フィストファックが一見無関係な手作りパン即売会や町内祭りの基盤になってるのではと思考した変態思想家フーコーに依拠するので、当然議論は逮捕監視される側目線。罪が犯される前に逮捕理由を確定し「事件は会議室で作られる」のが可能になったネオリベのセキュリティ時代を早くから取り上げた本書は、オウム真理教も若者のアイデンティティの物語とする趨勢に抗して、後期フーコーが退けた排除概念をフーコーにつなげ直す。対権力の闘争現場では虚偽や捏造を平然と流されるのでポストトゥルースなんて今更という、経験から来る達観が超然。

  • 絵比 乃魅須 さん

    18年前の著作とは思えない。まさに今のことが語られている。それがこのネオリベ体制からの脱却の困難さを示しているのだが…文庫化で加わった文章も興味深い。

  • zk さん

    日本における研究ではフーコーとネオリベラリズム批判の文脈がまだほとんど立ち上がっていない中で「ネオリベラリズムの浸透にともなう権力行使における暴力の契機の上昇、「抑圧的側面」の再浮上、一言でいえば、「例外状態の常態化」というべき状態を浮き彫りにして、それをふたたびフーコーの議論に折り返し」た功績はあまりに大きいと思います。

  • ₭€₦ ㉿θЇ¢ħɨ฿ᾶr₳ さん

    ネオリベ分析・批判の嚆矢であり、セキュリティの上昇、抑圧から排除へ、世界の捏造化、といった問題設定は今でも全く古びないどころか、当時(2000年頃)よりも今の方がよりダイレクトにリアルに感じられる。いかに統治されないか、という文脈における「批判とは自発的不服従の術であり、反省された不従順であるのです。」というフーコーの言葉が益々重要性を帯びてきている気が。

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