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ゴシックとは何か 大聖堂の精神史

酒井健

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784480089809
ISBN 10 : 4480089802
Format
Books
Publisher
Release Date
May/2006
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:
酒井健 ,  

Content Description

おびただしい柱列、過剰なまでの突起や彫刻、秩序や比例を超える高みをめざしたゴシック建築。アミアン、ケルン、シャルトルなどヨーロッパの多くの都市に今も残るこれらの教会の異様な建築様式はなぜ生まれたのか。聖堂内部は大自然のイメージで彩られ、故郷を追われた異教徒である農民たちの信仰心をキリスト教化するのに役立つ一方、その昇高性や過剰な装飾性は国王や司教たちの権威の格好の象徴となった。ゴシック様式を論じるにとどまらず、誕生から受難そして復活にいたるまでを、歴史・社会・文化的な深みに降り立ち、十全に解き明かしたサントリー学芸賞受賞の意欲作。ゴシック復活としてのガウディ論を追補した決定版。

目次 : 第1章 ゴシックの誕生―自然とキリスト教の出会い(大自然への憧憬/ 死と笑いの聖性/ 威光と調和)/ 第2章 ゴシックの受難―変わる美意識、尖鋭化する宗教感情(戦争とペスト/ 反ゴシックの美学/ 宗教改革)/ 第3章 ゴシックの復活―近代はいかに中世を甦らせたか(ゴシック神話―イギリスの場合/ 生ける全体―ドイツの場合/ 神秘と感覚と構造―フランスの場合)/ 補遺 ガウディの願い―近代の二つの表情のなかで

【著者紹介】
酒井健 : 1954年、東京生まれ。東京大学文学部フランス文学科卒業後、同大学大学院に進学。パリ大学でバタイユ論により博士号取得。法政大学文学部教授。『ゴシックとは何か』で2000年サントリー学芸賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • アキ

    「ゴシックとは、他なるものへの絶えざる開けである」ゴシック建築の誕生は、パリ近郊サン・ドニのサン・ドニ修道院付属教会堂である。1144年のことであった。ルネサンス期のイタリアでドイツ様式をゴート族の様式としてゲルマン人の代名詞とした軽蔑をこめてゴシックと呼んだ。フランスからヨーロッパ全体に拡がり、セヴィリア大聖堂1506年、ミラノ大聖堂1338年が建ち、フィレンツェ人はゴシック様式を険悪した。ペスト禍と百年戦争で廃れたが、18世紀イギリスでゴシック復興から英国国会議事堂が建ち、文学、絵画にまで影響が及ぶ。

  • nobi

    青空の下からシャルトル大聖堂の堂内に入ると濃密な暗闇だった。死の気配と同時に生の気配、苦悩と同時に慈愛、を体感する深い闇。それがゴシック体験だと知った。この書は紀元前から現代まで、建築宗教生活政治…多方面からゴシックを浮き彫りにする。逆にゴシックとの対比によって、合理的精神と「生の奥底の不合理な力」との確執として、例えばルネッサンス例えばプロテスタンティズムが浮き彫りにされる。西欧史が分かった気になってしまうほど。読む内に著者のゴシックへの愛着が乗り移り、16,17世紀の聖画像破壊、森林伐採には心痛んだ。

  • 藤月はな(灯れ松明の火)

    異教徒の自然崇拝を取り込みながらもキリスト教へと帰依するための聖への関心を惹き付ける、聖とは相反する対象から権威への利用、逆に忠実になぞろうとして衰退するゴシック様式の過程と復活、近代的ゴシックとも言える悪評高かったエッフェル塔、過剰なまでの自然の生の息吹を連想させるサクラダ・ファミリアなど様々な歴史上の立場からゴシック式建築を捉えた歴史本。

  • em

    フランス、ドイツ、イギリスを中心に、歴史を背景にしたゴシック(建築)の盛衰。著者によれば、ゴシックとは「各時代の様式、技術、さらには宗教観を肯定して時の流れを表現し/異種の面が排除しあうことなく混在し」ているもの。さらに「時代の刻印は、プロテスタントの破壊行為の跡でも、大戦争の傷痕でも、至らない修復工事の成果でもかまわない」という一文が。先日の火災のこともあって本書を読んだのですが、なるほどゴシックにはこうした精神性が含まれているのだなと。(これが全てではなく)一つの解釈として覚えておきたい。

  • きくらげ

    バタイユ研究者ならではの視点が随所に表れているゴシック聖堂論。聖俗の分化や転化を読み取る分析が面白い。聖性にはカリスマ的な奇跡を成し遂げる極の対として、供犠や祝祭のような破壊や転覆をもたらしコミュニティを連続的な存在に塗り替える極があることを強調する。またなかなかキリスト教化されなかった農民を母体とする民衆視点でのゴシック聖堂の「俗」的な受容も、現実的な想像力をもって描写されていた。

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