Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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• こーた

  読了日：2020/03/12

  天皇のまわりが騒がしい。退位と即位があり、写真を焼くアートが問題視され、内親王の婚姻はいまだ許されず、女性宮家の議論はいっこうに進まない。国民の象徴であるにもかかわらず、天皇とその家族は戸籍を持たない。なぜか。そもそも戸籍は、天皇の臣民を記した名簿にその起源をもつ。氏姓は天皇に与えられるもの。だから皇族は名字を持たない。つまり戸籍もない。代わりに皇統譜というものがある。万世一系、脈々とつづく王の系譜だ。それは戸籍とよく似ているが、もちろん違う部分もある。その違いが権威となって神格化され、またときに利用⇒

• おたま

  読了日：2025/08/12

  天皇と戸籍の関係について、これまで考えたこともなかった。よく考えると分からいことが次々に浮かんでくる。例えば、愛子さんや佳子さんに苗字はあるのか？とか、そもそも徳仁天皇や雅子皇后に苗字はあるのか？さらにこの天皇家及びその親族の方たちに戸籍というものがあるのか？さらにさらに、民間人に嫁いだ小室眞子さんは、もしも離婚した場合に、皇族に復帰できるのか？　と多くの疑問が出てくるが、この本はそれらに答えている。しかも、それだけにとどまらず、そうした事態が歴史的な経緯によって、いかに形成されてきているのかが分かる。

• たか

  読了日：2021/04/28

  戸籍制度という日本独自のシステムを、「天皇は戸籍をもたない」という事実から解明していく。軽い興味で読み始めたものの丁寧すぎるくらい丁寧で少し重たく感じたが、その分歴史がよく分かり説得力がある。「血統」という概念はある種の共同幻想であり、それは皇族においても例外ではない。古くからごまかしながらもゆるく繋がり続けて、明治時代に神格化され、戦後修正されたもののその精神は残り続けている。現代の価値観との矛盾が見え隠れする危険な領域も、事実を積み上げ淡々と論じられているのがよかった。

• hyena_no_papa

  読了日：2025/11/03

  Xでご教示いただいて面白そうだったので借りてきて読む。文章としては平明と言えようが書いてある内容は難しい。新旧『皇室典範』を基礎として戸籍という面から皇室制度に分け入る。また古代日本における事例にも言及するなど皇位継承を考えるうえで大いに参考となることは間違いない。ネット上には皇位継承にかかる軽々しいコメントが溢れているが、それらに惑わされることなく本書に書かれるような皇室についての基礎的知識を踏まえるべき一つとして、自分自身は拙くも落ち着いて物事を考えていきたいという気にさせる一書と言えるかも知れない。

• akio numazawa

  読了日：2020/03/21

  全ての氏族に対して超然と聳え立つ天皇家は氏姓も戸籍も持たない。 日本を一つの家に見立てて、天皇を家長とする国体と、戸籍、戸主制度の親和性。 戦後、天皇の神格は否定されたが、天皇制と結合した家族国家思想は、その基軸を現人神から象徴天皇へと変えて生き残った。

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