海と毒薬 角川文庫

遠藤周作

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784041245255
ISBN 10 : 4041245257
フォーマット
出版社
発行年月
2004年06月
日本
追加情報
:
15cm,186p

内容詳細

腕は確かだが、無愛想で一風変わった中年の町医者、勝呂。彼には、大学病院の研究生時代、外国人捕虜の生体解剖実験に関わった、忌まわしい過去があった。病院内での権力闘争と戦争を口実に、生きたままの人間を解剖したのだ。この前代未聞の事件を起こした人々の苦悩を淡淡と綴った本書は、あらためて人間の罪責意識を深く、鮮烈に問いかける衝撃の名作である。解説のほか、本書の内容がすぐにわかる「あらすじ」つき。

【著者紹介】
遠藤周作 : 1923年東京生まれ。慶応大学仏文科卒業。リヨン大学に留学。1955年『白い人』で第三十三回芥川賞を受賞。1966年『沈黙』で第二回谷崎潤一郎賞受賞他、数多くの文学賞を受賞。96年永眠(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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いわずとしれた名作で、ずっと気になってい...

投稿日:2012/02/08 (水)

いわずとしれた名作で、ずっと気になっていてやっと読めました。人命尊重の観念が麻痺した異常な状況下での生体解剖という異常な事件、それを平常の次元の中におさめ内面化して描いたところにこの作品の価値があるのでしょう。人間の罪責意識について問いかける作品です。

peko-rock さん | 大阪府 | 不明

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読書メーターレビュー

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • 優希 さん

    ズン、とくる暗さと重さ。外国人捕虜を生きたまま解剖するという極限的な異常な状況が胸に突き刺さります。淡々とした語り口だからこそ追い詰められるような罪悪の意識に襲われました。戦争を知らなくても響いてくる衝撃的な問いかけ。本当に戦時中に行われていたという恐ろしさを信じるのが辛いところです。フィクションながら事実にもとづいているからこそ、考えなければならないことの多い名作だと思いました。

  • aquamarine さん

    そういう時代だった。そう言われてしまえばそうなのかもしれない。上から落ちてきた一滴の毒薬を、意思の力で無効にできる人間がどれだけいるのだろう。毒薬が落ちてきたことすら知らずにそれに染まってしまったのが、日本人という国民性ゆえだと思いたくはない。戦争で敵を倒すこと。あるいは医療の進歩のために実験をすること。彼らの思う罪とはなんだっただろう。治験の大事さも私は身をもって知っている。でも、それはこんな風に起こっていいことではないはずだ。海はまるで心を映すように、見るものによってその色を変えていく。

  • マエダ さん

    ”病院で死なんやつは毎晩、空襲で死ぬんや”みんな死んで行く時代の医者たちの葛藤や業をここまで書けるのは流石。

  • さくらさくら さん

    やっと読み終わった。読みやすいし、読み出せばサクサク進む、面白いと思う。でもなかなか読もうと思えなかった。 戦時中の九大生体解剖事件をモデルにした話で、それに参加した人たちの事件に関わる迄の人生や心情を丁寧に書いてあり、戦後すぐの日本に人を殺した人が身近に普通にいる状況に『私』は、気付き戸惑う。 正直な気持ちを書くと、私はこの小説が嫌い。なぜなら、空襲や原爆で一般人が沢山死んだ。しかし日本人は残虐な行為をしたから仕方がない。と教わった日本史の授業を思い出したから。作者の意図は違うと思うがどうもね…。

  • 優希 さん

    重く恐ろしい作品だと思います。外国人捕虜を生きたまま人体実験として生きたまま解剖する。この忌まわしい事件を淡々と紡ぐからこそ刺さるものがありますね。罪の意識に深く切り込んだからこそ感じる衝撃。名作です。

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人物・団体紹介

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遠藤周作

1923年、東京生まれ。幼年期を旧満州大連で過ごす。神戸に帰国後、十二歳でカトリックの洗礼を受ける。慶應義塾大学仏文科卒業。50年から53年までフランスに留学。一貫して日本の精神風土とキリスト教の問題を追究する一方、ユーモア小説や歴史小説、戯曲、「狐狸庵もの」と称される軽妙洒脱なエッセイなど、多岐に

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