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御簾の下からこぼれ出る装束 王朝物語絵と女性の空間

赤澤真理

Product Details

ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784582364590
ISBN 10 : 4582364594
Format
Books
Publisher
Release Date
March/2019
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

王朝物語絵に描かれた天皇や貴族の邸宅の外周に、女装束や几帳の布が、こぼれ出ていることがある。これはいったい、どういうものなのだろうか。こぼれ出た女性の装束に女性の空間へのまなざしを読み解いていきたい。

目次 : 1 打出とは何か(御簾の下からこぼれ出た女性の装束/ 王朝物語絵の建築空間 ほか)/ 2 打出の舞台(古代・中世における女性の住まい/ 建築空間における男と女の空間 ほか)/ 3 寝殿造の空間(六条院の想定図/ 復原案の違い ほか)/ 4 打出の心(打出の成立―人が不在の装飾へ/ 『源氏物語』の周辺 ほか)/ 5 打出の演出の展開(歌合という場/ 天徳四年内裏歌合 ほか)

【著者紹介】
赤沢真理 : 1979年、京都府生まれ。日本工業大学大学院工学研究科建築学専攻博士後期課程修了。博士(工学)。現在、岩手県立大学盛岡短期大学部生活科学科生活デザイン専攻講師。専攻、日本建築史・日本住宅史。2012年日本建築学会奨励賞、2013年文部科学大臣表彰若手科学者賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • chang_ume

    絵巻などに描写される女性たちの建築境界外にはみ出す装束裾。これを打出と呼ぶそうですが、その消長を検討するなかで、空間構造や性差役割の変遷を抽出する。打出する人(女房)としない人(女主人)など、絵画史と建築史を交差させながら説得力をもって解釈していく。打出とは女主人の権勢を誇示する空間演出であって、装束を境界外に引き出す役割を男性貴族が担ったこととあわせて、空間とジェンダーの境界を越境するものだったとの指摘が興味深い。巻末でふれられた権力作用としての境界化のテーマについては、もうちょっと読みたかった。

  • belle

    晴れの場で女房たちが、褄や袖口をみせることを「打出(うちいで)」と呼ぶ。源氏物語絵巻等で目にする場面だが、大きく膨らんだ袖の存在感は圧倒的だ。著者は〜御簾の下からこぼれ出る装束〜を、建築史・住宅史も踏まえて丁寧に考察。寝殿造りという開かれた空間と王朝文化を担った女性たちの二つが合わさってこその必然である「打出」。ここぞとばかりにこぼれ出る袖が、いつしか装飾置物化していく過程に社会の変化を見る。建築空間も建具等の登場で閉じられ、女性の存在が希薄になる。物語・絵巻の鑑賞がさらに深まる一冊。さても袖は魅惑的だ。

  • ロサ🌹ロサ

    県立熊谷図書館。平安絵巻で御簾から袖や裳裾がこぼれていればそこに女房がいると判断されたが、時代が下るにつれ様式化。女房ではなく飾りの置物にとって代わられる。

  • 新芽夏夜

    御簾の下から女性の装束の褄と袖口をみせることを打出といい、それによって外にいる男性に女性の存在を示していた。院政期には実際に女性が着用したものではなく、華やかさを演出する装飾として隆盛を極めたが、中世以降になると廃れてていった。 本書では源氏物語絵巻をはじめとする様々な物語絵や日記、記録、当時の建築物の再現図などを多数引用し、中世の行事や儀式の情景を容易に思い描かせてくれる。 また打出が衰退した背景に、建築様式の変化だけでなく、女性の空間が奥向きに限定されていき、男性から分断されていったことを指摘する。

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