地獄変・偸盗 新潮文庫

芥川龍之介

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784101025025
ISBN 10 : 4101025029
フォーマット
出版社
発行年月
1996年10月
日本
追加情報
:
16cm,248p

商品説明

芸術と狂気は紙一重。美を追求しすぎたある芸術家の、おそろしい末路。

良秀は絵筆を取らせれば超一流、右に出る者は一人もあるまいと言われた天才絵師。一度絵に取りかかると、まるで何かに取り憑かれたかのように集中し、その姿は弟子達にも恐れられていた。ある日、殿様に「地獄変」の絵を注文された良秀は作業に行き詰まり、殿様にある願いを申し出た――。「地獄変」他、「偸盗」、「藪の中」など、芸術至上主義といわれた芥川の代表作を収録。

内容詳細

“王朝もの”の第二集。芸術と道徳の相剋・矛盾という芥川のもっとも切実な問題を、「宇治拾遺物語」中の絵師良秀をモデルに追及し、古金襴にも似た典雅な色彩と線、迫力ある筆で描いた『地獄変』は、芥川の一代表作である。ほかに、羅生門に群がる盗賊の悽惨な世界に愛のさまざまな姿を浮彫りにした『偸盗』、斬新な構想で作者の懐疑的な人生観を語る『藪の中』など6編を収録する。

【著者紹介】
芥川龍之介 : 1892‐1927。東京生れ。東京帝大英文科卒。在学中から創作を始め、短編「鼻」が夏目漱石の激賞を受ける。その後今昔物語などから材を取った王朝もの「羅生門」「芋粥」「薮の中」、中国の説話によった童話「杜子春」などを次々と発表、大正文壇の寵児となる。西欧の短編小説の手法・様式を完全に身に付け、東西の文献資料に材を仰ぎながら、自身の主題を見事に小説化した傑作を多数発表。’25(大正14)年頃より体調がすぐれず、「唯ぼんやりした不安」のなか、薬物自殺(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • ヴェルナーの日記 さん

    ページ数的にいえば、一気に読んでしまえる量だが、それではもったない。じっくりと読んで味わいたい傑作集である。芥川龍之介の作風は、作品の独創性とか、物語性が優れているのではなく、文章の筆致、その修辞性が特筆している。特にレトリックの使い方が上手く、換喩や提喩、隠喩と直喩などの使い方が卓越し、まるで映像のワン・シーンを切り取ったかのような筆の彩をもつ。本作では『地獄変』が、秀逸であり、その描写力は、背筋に鳥肌が立つほどの出来栄えを感じた。芥川作品群の中でも、群を抜いているのではないだろうか。

  • zero1 さん

    読者は基本的に書かれていることを信じて作品を読む。もしそれが信じられなかったら?ミステリーで用いられる手法、「信頼できない語り手」の「地獄変」。「アクロイド殺し」(クリスティー)や「日の名残り」(イシグロ)でもこの手法は用いられている。語り手を全面的に信用している読者は少ないはず。解釈は無限大。私は堀川の殿が身勝手で残酷だと考える。見た物しか描けないとしたら、その表現者は三流。先駆者は時代に耐える作品を遺す。「藪の中」も証言が三者で分かれる。誰の言うことが本当なのか?死者に話を訊くというのは再読でも斬新。

  • かみぶくろ さん

    なかなかにダークな世界観を醸し出す、芥川龍之介「王朝物」作品集第二弾。例によって粒ぞろいだが、とりわけ「地獄変」と「藪の中」が傑作だと思う。全編通じて、一行でまとめられそうなテーマがそれぞれ明確に示されており(例えば地獄変は「芸術・美と道徳の相剋」とか)、ある意味分かりやすいそれは芥川の明晰さの証左とも言えそう。個人的には、彼が描く人間像の方に強く惹かれる。ほとんどの人物が俗悪で利己的で人間臭い。そうした人間達の中にちらりと垣間見える美しい瞬間が素敵だ。

  • 修一郎 さん

    映画の羅生門の原作が「藪の中」だってこと,映画を見て知りました…。北村薫さんの「六の宮の姫君」を読んだ後でこっちへ。「往生絵巻」のラストシーンにも表現をめぐって紆余曲折があったことを北村版六の宮の姫君で知った。なるほど背景を知った上での再読,でもひたすら流されていく受け身のお姫様「六の宮の姫君」には憐憫しかわかない。芸術至上主義のエゴイズムを表現した「地獄変」が自分としては一番だ。未熟な高校生が昔に読んだ印象は「平安時代っていやな時代だったんだな」っていう平板な読感だった。歳を経た今の方がわかる気がする…

  • ゴンゾウ さん

    どれも甲乙つけがたい傑作ばかりの短篇集。どの作品も圧倒的な表現力で、映像が浮かんでくるようだった。愛情の延長線上に生ではなく死が描かれている所に、人間の不条理さを感じた。

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人物・団体紹介

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芥川龍之介

明治25(1892)年東京生まれ。東大在学中に豊島与志雄や菊池寛らと第三次「新思潮」を発刊。大正5(1916)年に発表した「鼻」が夏目漱石に激賞され、続く「芋粥」「手巾」も好評を博す。後年は、厭世的人生観に拠った作品を手がけ、また小説の「筋」をめぐり谷崎潤一郎との文学論争に至った。昭和2(1927)

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