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ISBN 10 : 4873548039
Content Description
本書は、EU及び関連諸国の経済を産業連関分析で解明したものである。まず全体の3分の1をしめる第1章で、EU各国の経済状況の推移を自給自足率とスカイライン図表を用いて分析している。旧加盟国は1965年から、新加盟国は2005年から図表によるビジュアルな比較が可能であり、各国の特徴と推移を把握することができるようになっている。その上で第2章以降では、国際産業連関表を使って、EU加盟国間の相互依存関係の変化を分析している。
筆者が2001年に上梓した『ドイツ産業連関分析論』以後、EU諸国は経済統合によってますます経済的に接近しており、例えばドイツを捉えるにも一国だけの検討では不十分であり、EU諸国との関連で捉えることが必要となっている。また2000年以降になると、製品の製造過程におけるサプライチェーンの国際化がいっそう進展し、最終的に1つのモノが作られるまでに様々な国で手が加えられ、付加価値が加わるようになってきた。特にEUの場合は、国と国とが陸続きで近接していることも多く、国内生産を簡単に他国での生産に代替することも可能である。そこで一国のみを対象とした産業連関表だけではなく、多くの加盟国をリンクした国際産業連関表が必要となっている。筆者も1990年代から国際産業連関表の研究を始めており、様々なEU国際産業連関表を試作し、分析してきた。しかし最近では、いくつかの国際機関が国際産業連関表を作成・公表するようになっており、これを利用すれば一般的な分析自体は容易になりつつある。そこで筆者が初期に作成した国際産業連関表及びその分析も後半で紹介しつつ(第5〜7章)、まずはWIOD(World Input-Output Database)の国際産業連関表も利用して、最近のEU諸国間の相互依存の進展を分析している(第2〜4章)。
続く第8章では、まずいくつかのEU加盟国の二酸化炭素排出増減の要因を、新たな要因分解式に基づいて分析し、生産技術構造やエネルギー利用構造、需要構造等の何が最も大きく影響しているか考察している。その上で、EU国際産業連関表に基づいて二酸化炭素排出誘発構造を分析している。また第9章は、やはりWIODの国際産業連関表を、EUだけではなくBRICs諸国(ブラジル、ロシア、インド、中国)も交えた国際産業連関表に組み替えて、EUを日米やBRICs諸国との関係も含めて分析し、投下労働力や二酸化炭素排出の収支計算によって、新しい知見が得られている。
さらに第10章は、最近明らかにされたドイツ最初の1936年産業連関表について紹介し、ナチズムが台頭してきた1936年当時のドイツ経済について若干の分析を試みている。最後の第11章では、スイスも含めた国際産業連関表によって、スイスとEUの関連を解明している。もちろんスイスはEU加盟国ではないが、周囲をEU諸国に囲まれて経済的にはどうなのか、またエネルギーや環境は隣国ドイツと比べてどうか等を分析している。
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