知性は死なない 平成の鬱をこえて 文春文庫

與那覇潤

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784167917869
ISBN 10 : 4167917866
フォーマット
出版社
発行年月
2021年11月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
388p;16

内容詳細

研究者として最盛期を迎えていた30代の半ばに、重度の「うつ」で言葉の読み書きができなくなった著者は、いかに知性を取り戻し、しかし大学を去ると決めたのか。能力主義の限界を超える、新しい社会の見取図はどこにあるのか。平成の「反知性主義」を検証し、疫病の令和で孤立する人を励ます真摯な一冊。

目次 : Prelude 「うつ」の世紀に生きるあなたへ/ はじめに 黄昏がおわるとき/ 第1章 わたしが病気になるまで/ 第2章 「うつ」に関する10の誤解/ 第3章 躁うつ病とはどんな病気か/ Interlude 大学でいちばん大切なこと/ 第4章 反知性主義とのつきあいかた/ 第5章 知性が崩れゆく世界で/ 第6章 病気からみつけた生きかた/ おわりに 知性とは旅のしかた/ Code1 知性の敗北あるいは「第二のルネサンス」/ Code2 大学のなかでこれ以上続いてはならないこと/ Code3 リワークと私―ブックトークがあった日々

【著者紹介】
與那覇潤 : 1979(昭和54)年生まれ。評論家(元・歴史学者)。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了、博士(学術)。2007年から15年まで地方公立大学准教授として、日本近代史の教鞭をとる。17年に病気離職の後、18年に本書で執筆活動を再開、在野で活動中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • Shun さん

    與那覇氏は現在評論家という肩書で執筆活動を行っている日本の知性であるが、以前は大学で教鞭をとる歴史学者でした。在職中に鬱を発症し離職、そして読み書き能力の低下を経験する。本書は幸いにも寛解し再び執筆を行うようになれた著者の記録となります。序盤に様々な誤解がされている鬱についての解説が入り、よく知らなかったことも多かったです。本書を記した人物が読むのも苦労する程の状態に陥ったにも関わらず、再び知性を示せるようになったことに希望が見えます。復帰後は大学に戻らず、”元”歴史学者と表現しているのはユーモアですね。

  • そふぃあ さん

    重度のうつ病に陥り読み書きの能力を一度失った社会学者が、どのように再び執筆活動ができるまでに寛解したのか。というあらすじが気になり本書を手に取った。うつ病にまつわる話よりもデカルトやデリダや政治の話の方が面白く感じたのは、病による能力低下があったとしても著者の知性に消えない光があったからだと思う。Twitterを例にした「エリクチュール」の説明がわかりやすかった。人間は言語抜きには成り立たないのに、言葉を通して自己が多様なイメージに引き裂かれて、結局本当に伝えたいことは他者に伝わらないのがもどかしい。

  • 踊る猫 さん

    著者も広く括れば「ロスジェネ」に入るのだろうか。私も同世代なので、それまで信じていた教科書の知識がドラスティックに崩れる様を原風景として見ていることに共感を抱く。想定外だったのは身体性と言語性を分け、前者が復権しつつあることをシャープに整理していること。なるほど説得力がある。そして、著者は身体性の反動的な復権にも言語性のエリーティズムにも与せず第三の道を示そうとしている。それはコミュニズムと資本主義を巧く折衷した方向性だ。これ、中島岳志の「リベラル保守」と似ているのではないだろうか(というか、一緒かも?)

  • 軍縮地球市民shinshin さん

    元の単行本は持っているが、文庫では5つの文章が増補されているというので買ってみた。特に最後の「リワークと私 ブックトークがあった日々」が一番面白かった。鬱病で本が読めなくなるというのは正直わからなかったが、文字が文章として認識できなくなるということを初めて知った。まさに著者がそんな状態から回復していく過程を知ることができた。最初は文章を書き写すことから始まり、本の感想を他人に伝えるブックトークになり、最終的には本の要約を書く、というプロセスを踏むらしい。最近著者はネット論壇でまた活発に発言をしている。

  • テツ さん

    歴史学者として世に出た著者はうつを患い、読み書きを含めた諸々が何もできなくなった。そんな状態からの緩やかな一進一退の回復と、それと照らし合わせるように社会についてのあれこれを哲学や政治と絡めながら語っている。知性は尊いものだし、それを尊べ(尊ば)なくなった人間は決して美しい存在ではないよなあ。左右問わず政治活動がアイデンティティと密接に関わっている方々に対して個人的に感じる嫌悪感である「一貫性のなさ」や「どの口で言ってんの」みたいな部分についても再度考えることができた。良書。

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