私をくいとめて 朝日文庫

綿矢りさ

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784022649492
ISBN 10 : 4022649496
フォーマット
出版社
発行年月
2020年02月
日本
追加情報
:
256p;15

内容詳細

黒田みつ子、もうすぐ33歳。悩みは頭の中の分身が解決してくれるし、一人で生き続けてゆくことになんの抵抗もない、と思っていた。でも、私やっぱりあの人のことが好きなのかな?同世代の繊細な気持ちの揺らぎを、たしかな筆致で描いた著者の真骨頂。

【著者紹介】
綿矢りさ : 1984年京都府生まれ。早稲田大学教育学部卒業。2001年『インストール』で第38回文藝賞を受賞しデビュー。2004年『蹴りたい背中』で第130回芥川賞を受賞。2012年『かわいそうだね?』で第6回大江健三郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • さてさて さん

    『一人で生き続けてゆくことになんの抵抗もない』。『一人でいる時間』を大切なものと考え『おひとりさま』と呼ばれる時間を大切にしていた主人公のみつ子。この作品ではそんなみつ子が『頭の中の自分自身』と会話する中に人間が本当に必要とするものの存在に気づいていく物語が描かれていました。綿矢さんならではの比喩表現の魅力を堪能できるこの作品。リアルなイタリア旅情を楽しめもするこの作品。みつ子と『頭の中の自分自身』である『A』との会話のリアルさの中に、グイグイ読ませる綿矢さんの筆力を改めて感じさせる素晴らしい作品でした。

  • みかん🍊 さん

    もうすぐ33歳独身で一人の生活に馴染んでいるみつ子は脳内にいるAとの会話でアドバイスを貰ったり励まされたりしている、会社では真っ当に働き、それなりにお一人様を満喫しているので、気になる人はいるが今更深く関わりたくなく友達関係でいたい、結婚してイタリアに住む親友の誘いで思い切っての一人海外旅行で行動を起こす事で自分の気持ちが分り、脳内のAを頼らなくても良くなって来たのかもしれない、こんな女性が今は多いのかも。30代のなのに飛行機の恐怖を大滝詠一を聴いて柔らげるのは笑った。

  • 黒瀬 さん

    1人で生き続けていくことに何の抵抗も無い黒田みつ子・もうすぐ33歳。悩みは頭の中の分身が解決してくれるちょっぴり寂しい人物。4人の主要人物に対してこんな人いる?と思ってしまうのも初めだけ。確かにいる。こんな人たち。ですから凄く親近感が沸きます。気になっている人はいるけど今の関係を崩したくなく、それぞれがそれぞれの満足感に浸っているけど周囲はもどかしく思ってしまうあの感じ。でもみつ子が送っている日常ってなんだか羨ましく思ってしまうんですよ。

  • エドワード さん

    33歳のOL・みつ子が合羽橋で食品サンプルを作る講座から始まる。独身生活を満喫しているみつ子。私も独り暮らしの頃「独り言が多いね」と言われたが、彼女の心にはAという分身?相談相手?がいる。男友達とつきあい出しても「いつもと違う行動をして何かが決定的に変わってしまうのが怖い」と感じてしまう。充実した毎日、イタリア旅行、ディズニーランド。だが、ふっと寂しくなる時がある。どのように生きてもいいよ、と社会に放り出された現代女性が生き方を探す物語だ。恋人が出来た時、Aは消えていく。Aは「アラジン」のジニーのようだ。

  • クプクプ さん

    先に映画を見て気になったので、原作も読んでみました。結果、映画もよかったけど原作は更に面白かったです。特に、主人公が、ひとりで飛行機に乗っているときに、もうひとりの自分のAがアドバイスしてくれて、乗り切った点に、強く感情移入しました。飛行機内の食事も、文章から味覚が手に取るように伝わってきました。女性作家ならではの視点の30代の男女の恋愛の距離感が絶妙でした。確かに人間は、ひとりのときに迷うのかもしれず遠くてもその人を救うのは他者なのかもしれません。結末の着地もピタリと決まり加点がもらえる出来映えでした。

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綿矢りさ

1984年、京都府生まれ。2001年「インストール」で文藝賞を受賞しデビュー。04年「蹴りたい背中」で芥川賞受賞。12年「かわいそうだね?」で大江健三郎賞、同年に京都市芸術新人賞、20年「生のみ生のままで」で島清恋愛文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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