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日本近代短篇小説選 明治篇 2 岩波文庫

紅野敏郎

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784003119129
ISBN 10 : 4003119126
Format
Books
Publisher
Release Date
February/2013
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

「裏に一本の柘榴の木があって、不安な紅い花を点した」(小川未明「薔薇と巫女」)。何を視、どう伝えるのか―日露戦後の新機運のなか、豊饒な相克が結ぶ物語。明治三八‐四四年に発表された、漱石・荷風・谷崎らの一六篇を収録。

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • 藤月はな(灯れ松明の火)

    日本文学は文語調から口語調へ完全移行。「倫敦塔」は慣れない留学生活の中、ロンドン塔へ赴いた夏目漱石の随筆である。塔の雰囲気から二人の王子が幽閉されていた当時に思いを馳せる中、ジェーン・スチュアートの亡霊に逢う。しかし、現地のガイドの無粋さに腹を立てる。この両者が始終、理論的な筆致で綴られるので幽玄な世界から現実に引き戻された興醒め感がより一層、感じられます。「団栗」は寺田虎彦氏の妻の思い出が何でもないが細やかな幸福に満ちている分、愛児に亡き妻の面影を見出し、幸福を願うのが切な過ぎる。

  • 長谷川透

    坪内逍遥から始まった日本近代文学は、明治前半に試行錯誤が繰り返され、本書の冒頭を飾る漱石の手によって地盤を固め、明治後半に文学的傾向が多彩になっていったという感がある。僕は文学通ではないので、白樺派だの耽美派だの詳しい定義は知らないが、後半に収められている作品の色の違いは、『明治篇1』よりも顕著である。お気に入りは荷風の「深川の唄」。鉄道開通によって繁栄する東京を謳いながらも、消えゆくお江戸の風情を哀しく見つめる荷風の眼差しが見事に描かれている。また志賀直哉の「剃刀」は初めて面白く読めた志賀の作品だった。

  • みつ

    「明治篇2」は、20世紀に入ってからの作品。文体も口語文となり随分読みやすくなる。全体に自然主義の作が目立ち、どこか索漠として突き放した印象のものが多い。漱石、寅彦(これは随想)、荷風、志賀直哉、谷崎は既読。いずれも自然主義とは離れ、それぞれの個性が際立つ名作揃い。貧しい者たちの吹き溜まりの木賃宿を描いた風葉『世間師』は、万年筆を自ら作って売る怪しげな職業が印象的。秋江の『雪の日』は冬籠の夫婦の会話の世界。初読で最も感銘を受けたのは、水上滝太郎の『山の手の子』。冒頭から独歩『少年の悲哀』に似た世界が展開。

  • 佐島楓

    大塚楠緒子の「上下」の身分差の皮肉、「薔薇と巫女」小川未明の独特な世界観、水上滝太郎「山の手の子」の自伝的少年時代、どれもよかった。知らない作家が多く、当時の風俗がよくわかる世知辛い小説もまた多かった。読みづらいと思うこともなく、面白く読めた。

  • 塩崎ツトム

    ちょうど再放送されている「坂の上の雲」の時代前後の小説が並ぶ。近代資本主義の導入により、維新初期の革命精神が失われ、あらた階級が再生産されていく。そして福祉も健康保険もない時代、貧しいことが死と汚辱と隣り合わせで生きることを運命づけられていた時代。第一次世界大戦前夜とはいえ、社会からはどんどん共通の「大いなる物語」が失われていくことが浮き彫りになる。それは小説の多様化ともなるが……。

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