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バイバイ、エンジェル ラル-ス家殺人事件

笠井潔

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784488415013
ISBN 10 : 4488415016
Format
Books
Publisher
Release Date
May/1995
Japan

Content Description

アパルトマンの一室で、外出用の服を身に着け、血の池の中央にうつぶせに横たわっていた女の死体には、あるべき場所に首がなかった! ラルース家を巡り連続して起こる殺人事件。警視モガールの娘ナディアは、現象学を駆使する奇妙な日本人矢吹駆とともに事件の謎を追う。日本の推理文壇に新しい一頁を書き加えた笠井潔のデビュー長編。

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • セウテス

    笠井潔氏のデビュー作品です。外国が舞台の日本人が矢吹駆しか登場しない、オモワズ翻訳作品かと勘違いしそうになりました。作風も殺人の犯人やトリックを暴くだけではなく、思想のぶつかり合いや村問題、戦争と革命に対する論理の展開など、かなり重厚な作品でした。ミステリーとしても、朝からアパートで見つかる頭の無い死体、演出も背景もトリックまでも考え抜かれた、推理を楽しめる作品でした。そして、なんでも無いお嬢さんが犯行を解説して終わってしまう、なんて事はあり得ない、むしろ首を突っ込めば痛い目に遭うと言う現実に納得します。

  • 藤月はな(灯れ松明の火)

    ミステリーの解説の印象でてっきり、作品も「黒死館殺人事件」ばりの衒学ミステリだと思いきや京極堂シリーズみたいに読みやすくて拍子抜けしました。アンチ探偵小説でありながら左翼活動没落期に生み出された本格。駆氏みたいに人間に絶望し、滅亡を願いつつも生きている矛盾に苦しむ人は今もいると思います。「人一人の言動が与える影響は所詮、大海に投じる一滴だ」、「革命の本当の敵は人民」、現象の意義、観念の殺人と自殺などが論じられていてその疑問に付随する葛藤が少しだけ、軽くなりました。ナディアには嫌悪しか湧かなかったのですが

  • koma-inu

    矢吹駆シリーズ1弾。哲学論を取り入れた本格ミステリという事で、読み手を選びそう。70年代フランスが舞台。アパート一室で起こった首無し殺人を、駆とナディアが追う。目を引くのは、駆の現象学思考。私の頭では理解追いつかず・・が、それでも謎解きや犯人解明の部分は理解し易いので、大丈夫でした🙆‍♀️首無しの理由は予想以上に斬新、79年作と思えない、新鮮なロジックでした。予想外の犯人だったのと、駆の審判が恐ろしい。この世界観を長らくシリーズ化してる笠井さん凄い!次作も読んでみよう。

  • 藤月はな(灯れ松明の火)

    クリスマスまで醸造するつもりがこらえきれなくて再読。哲学問答とドストエフスキーの「悪霊」のテーマへのオマージュと「探偵は本質直観を持って犯人に到達する」というアンチ探偵小説を本格推理小説という形で表したミステリー。やっぱり、ジャン・ポールが一番、好き^^

  • ころこ

    探偵小説から入るのか、思想的背景から入るのかによって読み方が変わる。ぼくは後者として読んだ。「2人でいることの病」が「ルブナン」(回帰)によって破られる。ラカンがモチーフになっていると思われる。その他にも様々な思想的文化的なジャーゴンが散りばめられている。現象学的推理は京極夏彦に影響を与えているようにみえる。本作が『構造と力』以前の79年であり、著者が浅田彰より一世代前の団塊世代であることに驚き、改めて団塊世代の潜在力と時代の可能性をみる。同時に矢吹駆=著者に露になるナルシシズムは団塊世代の限界でもある。

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