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教師の自腹

福嶋尚子

Product Details

ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784491054469
ISBN 10 : 4491054460
Format
Books
Publisher
Release Date
May/2024
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

"語られてこなかった自己負担――教職員、1,034人の声。

本書からわかること
授業の教材費、家庭訪問交通費、家庭の教育費未納立て替え‥‥うやむやになってきた教職員の自己負担
採点用の文房具、授業のための教材、部活動の審判免許取得費用、大会への交通費、家庭訪問時のガソリン代、各家庭の徴収金未納の立て替え、物品破損の弁償――。教職員が仕事をする上で、必要なものを私費で負担する「自腹」。それは、人や学校により差はあるものの、金額の大小や費目・場面を問わず、これまでも確実に存在し、関係者間では周知の事実でした。「自腹発生」の背景には、法制度上のマクロな理由に加え、「教育は生もの」という、常に柔軟さが必要とされる学校という場ならではの性質、もしくは各教職員側の意識や各学校の風土などのミクロな理由も複雑に絡み合っています。本書は、その現状をありのままに映し出し、共有し、教職員が働きやすい公立学校を展望することを目的としています。

積極的自腹、消極的自腹、強迫的自腹。大規模調査でみえてきた枠組みと特徴
「未踏の地」であった自腹という現象に踏み込むため、「教職員の自己負担額に関する調査(2022年度間)」を実施。全国の公立小・中学校に勤務する、現在の役職についてから2年目以降の教職員計1,034人に対し、下記のカテゴリについて2022年度に自己負担した費目や金額、その経緯、また、これまでの教職員人生における支出総額などを調査しました。

【調査対象】
・校長、教頭、副校長、主幹教諭、指導教諭
・教諭(正規雇用)、教諭(非正規雇用)
・事務職員
【カテゴリ】
・授業
・部活動
・旅費
・弁償・代償
・その他

その調査結果をもとに、「積極的」「消極的」「強迫的」という三つの分析枠組みで整理しながら、発生率・頻度の関係に加え、自腹への意識や属性別の傾向や学校の特徴との相関などについて、分析・考察を行います。

私費に頼らない公立学校をめざして
「教師の自腹」を考える上で必要不可欠なのが、学校財務上の構造についての理解です。そこで本書では、学校財務制度の改善案や教育行政との連携の方法、学校財務マネジメントの確立方法などを提案することで、多角的な視点で自腹からの根本的解放を模索していきます。本書は、私費にたよらない真の意味での「公」立学校の実現のため、調査で集まった声をどう受け止め、どう言語化し、どのように制度や実践につなげていくかというチャレンジです。全国の公立小・中学校教職員の1,034人の声、その一つひとつに、耳を傾けてみてください。

こんなみなさまにおすすめ
・自腹の存在に違和感がある小・中学校教職員の方
・自腹の抑制や教職員のよりよい働き方の実現のために、学校経営を見直していきたい学校管理職の方"

【著者紹介】
福嶋尚子 : 千葉工業大学工学部教育センター准教授/「隠れ教育費」研究室チーフアナリスト。新潟大学教育人間科学部(当時)で教育行政学、教育法学、教育政策学を学び、修士課程を経て、2011年東京大学大学院教育学研究科の博士課程に進学。2015年度より千葉工業大学にて教職課程に助教として勤務し、2021年より准教授(現職)、教育行政学を担当。2016年12月に博士号(教育学)取得。モットーは「子どもを排除しない学校」「学校の自治」「公教育の無償性」の実現、「教職員の専門職性」の確立。研究関心は、教材整備、学校財務、学校評価、校則、給食、PTA、不登校など

〓澤靖明 : 埼玉県川口市立青木中学校事務主幹/「隠れ教育費」研究室チーフディレクター。県内の小・中学校に事務職員として勤務。「事務職員の仕事を事務室の外へ開き、教育社会問題の解決に教育事務領域から寄与する」をモットーに、教職員・保護者・子ども・地域、そして現代社会へ情報を発信。研究関心は、家庭の教育費負担・就学支援制度。具体的には、「教育の機会均等と無償性」「子どもの権利」「PTA活動」などを研究している。勤務と並行し、中央大学法学部通信教育課程で学び、校内でリーガルサポートにも取り組む。日本教育事務学会理事(研究推進委員会副委員長)、学校事務法令研究会会長、川口市立労働安全衛生委員、川口市教育研究会事務局長などを務める

古殿真大 : 名古屋大学大学院教育発達科学研究科博士後期課程院生/日本学術振興会特別研究員(DC2)。筑波大学人間学群教育学類で教育社会学を学び、名古屋大学大学院教育発達科学研究科の博士課程に進学。専門は教育社会学、障害児教育。教育に医療の知識がもち込まれることに関心を寄せ、とりわけ情緒障害に着目し、歴史的な観点から研究をしている。「教育事例集に見られる緘黙児認識の変化」(『SNEジャーナル』)で日本特別ニーズ教育学会奨励賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • pengin

    教員が色々なところで自腹を切っていることがよく分かった。教材費の立替もあったが、本来ならばだめだろうと思う。学校には金がない。教育には本来もっと金がかかるはずなのに、受益者負担と教員の無償の努力で教育水準を維持していることを、文部科学省は分かってほしい。

  • 左手爆弾

    公立学校という名称は、あたかも公費が多く投入されている印象を抱かせる。しかし、実際には教員の給与や大型の施設改修以外では、児童生徒の家庭からの支出、そして教員の自腹がまかり通っている。本書は、教師の自腹を「積極的・消極的・強迫的」の3つに分け、それぞれに相応しい支出方法について分析した上で、「学校財務マネジメント」の確立を提案する。「教員が好きでやっている分にはいい」と自腹を見過ごした結果、自腹なしには回らない現場になってしまっているという構造は教員のブラック労働と同じという指摘にはうなずける。

  • てらぐっちー

    ★★★✩✩ 共感しながら読んでいった。企業でも筆記用具や机周りのものなどは自腹があるのかな?と思うので、そこの自腹は気にならない。教員自身の意識改革も大切かと思うけど、学校はヒトもモノも時間も足りていない。そこが一番の問題だと思う。

  • しゃり銀

    部活に関する部分等共感できる部分が多くあった。 ただ思うのは、何事もバランス、適切さだなと。また職業柄、お金に関してはよりクリーンにいかないとなので、決裁決裁決裁という感じになるので、自腹を完全になくすor禁止にすると、それはそれで、やりづらいだろうなと感じた。

  • M S

    よくぞ取り上げてくれました。 まずはそれだけで感謝.解決の糸口になればなおよし!

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