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反音楽史 さらば、ベートーヴェン 新潮文庫

石井宏

User Review :4.0
(1)

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784101332918
ISBN 10 : 4101332916
Format
Books
Publisher
Release Date
September/2010
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

バッハ、モーツァルト、ベートーヴェン…音楽室に並んだ「楽聖」たちは、なぜドイツ人ばかりなのか?実際には、17‐18世紀の音楽の主流はイタリアにあり、ベートーヴェンでさえイタリア語でサインした。にもかかわらず、こうした史実を隠し、西洋音楽史をあたかも「ドイツ楽聖伝」のように書き直したのは誰だったのか。既成の音楽史を覆す画期的評論。山本七平賞受賞作。

目次 : 第1部 イタリア人にあらざれば人にあらず(音楽はイタリア人/ 興隆するイタリア・オペラ)/ 第2部 それではドイツ人はなにをしていたのか(イタリア・オペラに生きたドイツ人たち/ 栄達の梯子を登れなかった人々)/ 第3部 全てはドイツ人の仕業である(後進国としてのドイツ/ 夢と成就と崩壊への道)

【著者紹介】
石井宏 : 1930(昭和5)年12月、東京生れ。旧制静岡高等学校を経て、東京大学文学部美学科ならびに仏文科卒業。2004(平成16)年、『反音楽史』で山本七平賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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ああ、なるほど、これは面白い本です。我々...

投稿日:2011/10/01 (土)

ああ、なるほど、これは面白い本です。我々が学校で習い、なんとなく常識化している「ドイツ中心(優越)」の音楽史が、いかに偏ったものであるか、たっぷりと教えてくれます。それも、ある程度クラシックを聴き続けて作曲家の名前とかに心当たりがいろいろあると、「確かに言われてみればそうだよね」と納得することしきり。美術と同様、イタリアの栄光はまさしく正しく評価され、知られて当然でありましょう。あらためて、イタリアの作曲家たちの作品、とても聴きたくなります。但し、音楽史叙述における「ドイツ中心主義」の跋扈という問題と、ではドイツ流「重厚長大」音楽が魅力に乏しいのかということとは、また別の話。シューマンのご大層な主張とは別に、ブラームス、ワーグナー、ブルックナー、マーラーらが、各自の想念と強烈な個性とを思う存分楽曲に注ぎ込んで強烈無比な作品を作り上げ、現代人がそれに大いに魅かれているという事実もまた確かにあります。ですから、イタリアの復権は全く正しくその通りでありましょうが、ドイツの音楽そのものの「魅力」もまたあらためて語られるべきではないかな、という気も少しいたします。でも、大いに学ぶところのある本です。ぜひ、手に取ってみてください。

ほんず内閣総理大臣 さん | 北海道 | 不明

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • H2A

    18世紀までの後進国ドイツが、イタリア始めとした文化先進国に伍するために、歴史を捏造してイタリア音楽、オペラに代表される演奏される愉しみを重視した音楽を切り捨て、教条的な楽譜重視、作曲家至上の音楽観を創り上げたことを断罪するもの。そこで黙殺されたハッセ、ヨハン・クリスチャン・バッハを持ち上げる。自分にとっての「過度期」で穴場だったバロック後期から古典時代を焦点にしていたので〇。特に反感は持たないけど、モンテヴェルディやそれ以前のパレストリーナ、ジェズアルド、フランドル楽派はここでは閑却されている。

  • MASA123

    339ページから445ページの部分は、オペラからコンチェルト(協奏曲)や交響曲への変遷。イタリアのオペラに対抗できるドイツの交響曲の発展、フランスがベートーヴェンを歓迎したとか、史実に基づく(と思われる)話で、はじめて知ったことも多くてよかった。モーツアルトやベートーヴェンのコンサートプログラムが掲載されていて、なるほどと思った。それ以外の部分は、作者の主観がつよすぎて、よみづらかった。最終部分は、美空ひばりや、都はるみの歌と、比較して、なにがなにやら? ベートーヴェンとは音楽の世界がちがうと思う。

  • よきし

    今日音楽史と呼ばれているものは実は作曲家史であり、しかも19世紀前後にドイツの勃興と同時期に作り上げられた虚構によっている。この運動は大きな影響力を持ったが、生きた音楽ではなく、楽譜至上主義であり、分析中心の、分かりもしない作曲家の意図を称揚する「エセ」学問として今日まで綿々と受け継がれている。といった主旨のお話を、非常に刺激的で読みやすい文章で楽しく解説している良書。音楽を楽しんで何が悪いんだ!という音楽のある場の復権を目指す貴重な一冊だといえる。長年僕が考えていたことと合致する部分も多く嬉しかった。

  • sun

    バッハモーツアルトベートーベンのころは、圧倒的にイタリアが音楽の中心であり、後のドイツ音楽学者がゆがんだ説を流したと「反」論。 音楽家に近い細かい史料で、大筋は知っててもここまでは知らない事が多くいい刺激になった

  • noémi

    なぜか作者の石井さんは最初っから怒っておられる。初めこの方はきっとイタリア・オペラがお好きでドイツ音楽がお嫌いなのだろう、などと考えていたので(私もどっちかというとドイツ音楽苦手)すが、それともちょっと違うようです。あとがきに「音楽に低級と高級の線をひいたドイツ音楽美学は19世紀から20世紀にかけて魔女狩りのような威力を振い商業資本と結び憑いてその勢を伸長させた。だがそれもそろそろ終息に向かって良い頃であろう」と。つまり音楽に理屈はない。ポップスだろうが歌謡曲だろうがいいものはいいのであります。

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