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日本の「第九」 合唱が社会を変える

矢羽々崇

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784560094662
ISBN 10 : 4560094667
Format
Books
Publisher
Release Date
October/2022
Japan

Content Description

ベートーヴェンが一八二四年に完成させた『交響曲第九番』(『第九』)は、世界中で演奏され、日本では特に年末に演奏されることで知られている。すでに戦前において、『第九』は「忠臣蔵」や「道成寺」に比せられ、上演すれば満員となる曲だった。単に名曲だから聴くというのではなく、文字通り親しまれてきたと言ってよい。本書は、日本の一九二五年前後から一九五五年前後、おおよそ昭和期の前半にあたる時期に限って、『第九』がいかに受け入れられ、定着していったかを論じていく。

目次 : 序章/ 1 大正期から第二次世界大戦期における『第九』―生徒たちが歌う(年末『第九』の端緒/ 学生・生徒が歌う『第九』/ 戦時期の『第九』―戦後とのつながり)/ 2 戦後の『第九』―平和と自由を歌う(戦争が終わって/ 『第九』のイメージと託されるメッセージ/ アマチュアの歌う『第九』)/ 3 労音の『第九』―つながりを求めて歌う(労音以前の鑑賞団体と『第九』/ 大阪の労音 十河巌と須藤五郎/ 東京労音の『第九』)/ 終章

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • trazom

    同じ著者の「第九 祝祭と追悼のドイツ20世紀史」に続き、本書は、日本における「第九」受容史である。日本人による初演が1924年(関東大震災の1年後)、東京大空襲の直後には日比谷公会堂での演奏会、1949年8月6日に広島での演奏(第4楽章だけ)など、歴史の節目に「第九」があった。戦後の第九の普及における「労音」の役割の重要性も認識する。合唱未経験者の素人が、時間をかけて練習を重ねて舞台に立つことによって得られる高揚感が、高度経済成長と重なっている。さて、分断された現代の日本社会で「第九」の意味は何だろうか。

  • どら猫さとっち

    ベートーヴェンの交響曲第9番=第九。クラシックのみならず、ジャンルを超え親しまれる名曲だ。日本では年末の風物詩であるが、いつから定着していったか。その後はどのように演奏されたのか。本書でその歴史と謎に迫る。大正から始まり、第二次世界大戦、そしてコロナ禍の現在までを辿っていく。第九が持つメッセージは、世界を超え、この国に根付いている。危機を超え、歓喜へと導くこの曲は、色褪せることなく生き続ける。第九の魅力が詰まった稀有な一冊。

  • nao1

    日本にどうやって年末の第九が風物詩と言えるほど根付いていったのかを、膨大な資料からまとめた本。音楽学校の合唱団、私立の学校の合唱団、国内の指導者、外国からの指導者、レコードの普及、ラジオの役割、イベントの企画、収支、楽団の電車移動、宿泊、労音の役割、、、、記録が整然と語られる。 戦前の新しい音楽への憧れ、戦後の音楽への情熱の高まり、歌うものの喜び、聴く人の高揚感、それこそ「歓喜」である。この楽曲と詩の圧倒的なすばらしさが人々を突き動かしていることが浮かび上がった。

  • 茶々丸

    12月になると頻繁に演奏されるベートーヴェンの交響曲第9番。これが日本でどのように受け入れられてきたのかを紐解いている。 昔、小学生の時にこの曲のメロディーで、通常の第9の歌詞とは異なる日本語で合唱をさせられた記憶がずっとあったのだが、本書にその歌詞が掲載されていたのは懐かしかった。 「よろこびの歌」というタイトルらしいが、今でも小学校でやるのだろうか。しかし、このように小学生でみんながメロディーに親しんだことも、第9がクラシック音楽にあまり縁のない一般市民にも受け入れられた一つの要因だったようだ。

  • Tsuchi(TSUCHITANI.K)

    日本の第九の歴史 ひとつの視点か

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