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皆川博子コレクション 2 夏至祭の果て 皆川博子コレクション

皆川博子

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784882934417
ISBN 10 : 4882934418
Format
Books
Publisher
Release Date
May/2013
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

刊行後多くの賞賛を受け、第76回直木賞の候補にも選出された表題作ほか9篇。収録作全て文庫未収録至高の精華集、第2弾。

【著者紹介】
皆川博子 : 1930年、京城生まれ。東京女子大学外国語科中退。72年、児童向け長篇『海と十字架』でデビュー。73年6月「アルカディアの夏」により第20回小説現代新人賞を受賞後は、ミステリー、幻想、時代小説など幅広いジャンルで活躍中。『壁―旅芝居殺人事件』で第38回日本推理作家協会協会賞(85年)、「恋紅」で第95回直木賞(86年)、「薔薇忌」で第3回柴田錬三郎賞(90年)、「死の泉」で第32回吉川英治文学賞(98年)、「開かせていただき光栄です」で第12回本格ミステリ大賞(2012年)、第16回日本ミステリー文学大賞を受賞(2013年)

日下三蔵 : 1968年、神奈川県生まれ。出版芸術社勤務を経て、SF・ミステリ評論家、フリー編集者として活動。編著『天城一の密室犯罪学教程』(日本評論社)は第5回本格ミステリ大賞(評論・研究部門)を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • 文庫フリーク@灯れ松明の火

    柱傾き屋根朽ち果て、弥陀尊像も失せた御社。返り血でぬめる乱れた衣服、掌中には奪った金包み。月光の下、川の流れに血刀洗う非道な男に降りかかる淡雪のような光。ふいに現れた六、七つの女童「いいえ雪ではござんせぬ。ここは名におう螢沢」深夜の河原「ほう、ほう、螢こよ」と歌う女童。七年前、私が一生尽くすゆえ、と暮らした夜鷹の女。三途の川の渡しも近い螢沢で男を待ち受けていたのは、非道な悪事を止めてくれと縋りつき、お腹の子ごと殺された女と、生まれていれば七つの女童。三途の渡しへいざなう女を、袈裟がけに斬り裂く悪党の刃→

  • ケロリーヌ@ベルばら同盟

    『夏至祭の果て』キリシタン大名有馬晴信に仕える武将を父に持つミゲル内藤市之助は、学友の骨片を握り締め、追放船に乗った。決心を胸に秘めて。極東の島国にもたらされた西欧の文化と宗教。武器弾薬の供与と引き換えに殿様が帰依した天主教の学堂セミナリヨで、人の上に君臨する大いなる存在への陶酔と疑義に柔らかな魂を引き裂かれた若者の彷徨。餓えるように追い求め、見失い、手放そうと心を定めても、亡き兄の、学友の、幼子の面影が彼を険阻で苦悩に満ちる場へ引き戻す。信仰の光と闇を一人の若者の生き様に凝縮させた息苦しい程重厚な作品。

  • 藤月はな(灯れ松明の火)

    最後に収録された三篇以外は既読。清流のような登場人物たちの言葉から立ち上るのは人が人を想うことへの業と背徳と甘美な痛みに満ちた情。「死の泉」のようにラストの附記でがらりと今までの様子が慄くほど変貌する「棒」に驚き、気高き魂は人の優越によって墜ち狂うだろう、しかし、手足は喪えどもその魂は死なず、継がれる奇跡を描いた「冰蝶」が特に好きです。秘密と愛すべき女のために女形から自ら苦界へ身を落とすという事実と晴れやかな様の対比が清々しい「花道」も素敵でした。

  • mii22.

    江戸から明治の初期辺りが舞台となる作品集。直木賞候補になった表題作「夏至祭の果て」は重厚で濃密な物語。キリシタンとして育てられながら、キリシタンであることを拒否し、しかし、キリシタンを憎み弾圧する者でもない市之助。彼に激しく感情移入し、自分に正直でありたい、どちら側にもつくことができず苦悩する姿に息苦しくなりました。短篇のなかでは、幻想的な「冰蝶」美しく哀しいラストの「花道」が印象的。そして「清元螢沢」にうっとり...。

  • ぐうぐう

    短篇の数々も印象に残るものばかりだが、なんといっても表題作の長篇だろう。帯の惹句で篠田節子が「1976年第76回直木賞、栄光の落選作。選考委員の器を完全に凌駕していた」と書いているのを見て、さすがにリップサービスだろうと思いながら読み進めていくと、なんのなんの、どうしてこんな傑作が落とされたのかと、唖然としてしまうおもしろさだ。兄を殺したキリシタンの戒律を憎むあまり、あえて敵であるキリシタンに身を置く主人公。しかし、棄教してなお、そこに答えがないことの底なし沼。(つづく)

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