凝縮系における場の量子論 初歩からはじめるファインマンダイアグラム

これから研究をはじめたい人のための入門書

　本書の特徴は、ファインマンダイアグラムの応用例として冷却原子気体のような比較的最近の話題を取り上げている点である。多くの量子多体系の教科書の序盤では、理想フェルミ気体や理想ボース気体が取り上げられているが、冷却原子気体では実際にこうした“理想的な系”を実現しうる。さらに、粒子間の相互作用が強くなったらこうした気体はどうなるのかという基本的な問いにも実験的に調べられるようになった。ファインマンダイアグラムは、この相互作用効果を取り扱うものである。
　強相関系の量子多体問題を理解するのに、発現機構のコンセンサスが取れないほどに複雑な高温超伝導を例題として提示するのはやはり難しい。なるべくシンプルな系に立ち返るという意味で、冷却原子気体はまさに理想的な系であるといえる。物理学を学ぶのにあたり必ずしも人類が見つけた順に学ぶのが適切とは限らない。伝統的な良書が多い量子多体物理において、昨今の進展を反映した新しいスタイルの教科書があってもよいのでは、という思いを胸に本書を執筆した。（本書「まえがき」より）

【著者紹介】
田島裕之 : ２０１７年慶応義塾大学大学院理工学研究科基礎理工学専攻博士課程修了、博士（理学）。現在、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻　助教。専門、冷却原子気体、超伝導、中性子星

加藤岳生 : １９９９年東京大学大学院理学系研究科物理学専攻博士課程修了、博士（理学）。現在、東京大学物性研究所　准教授。専門、物性理論（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）

田島裕之

２０１７年慶応義塾大学大学院理工学研究科基礎理工学専攻博士課程修了、博士（理学）。現在、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻　助教。専門、冷却原子気体、超伝導、中性子星

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