Book Meter Reviews

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• mk

  読了日：2017/03/11

  江戸期の古筆愛好ブームによって裁ち尽くされたかに思われる古筆切。その奥深き世界を、平安・鎌倉期の古筆切研究者である著者の半生に及ぶ収集体験から選りすぐった練達のアンソロジー。古筆切研究と文学研究の親密さに蒙を啓かれることうけあいです。はたから見ると博打打ちと大差ないその姿勢は愛好家諸氏に通じるもの狂いのサガなのだろうが、書誌学的知識の粋を尽くした審美眼と一発勝負の度胸とが同時に要求される古書店頭での高度な駆け引きは興味が尽きない。こういう書物との出会いは、人文学の森に踏み入る醍醐味を実感させてくれる。

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