基本情報
内容詳細
ひとりで帰るいつもの道で、女の子が不思議ないきものをみつけます。どうやら、自分にしか見えていないみたいです。ある日、思いきって声をかけると、そのくろいの≠ヘ、台の上からおりてきて、とことこ歩きだしました。ついていくと、へいの穴からもぐりこんだのは、ほどよく古びた日本家屋。そこは、くろいのの家でした。
おしゃべりはしないまま、居心地のいい居間でお茶を飲んだあと、くろいのは女の子を、押し入れの中から屋根裏につれていってくれました。そこに広がっていたのは、暗闇の中にキノコやコケが光る幻想的な世界。ブランコやすべり台で思いきり遊んだあと、ふたりは大きな生きものの柔らかな毛なみにつつまれてぐっすり眠りました。お母さんの夢を見た女の子は、また、くろいのとともに居間にもどってきます。
わかれぎわ、くろいのは一輪の花をくれました。帰り道のとちゅうで、お父さんとばったり会った女の子は、ふたりでなかよく家にむかいます。
ひとりでいるときの子どもの心に優しく寄り添ってくれる不思議な生きもの、くろいの。そのくろいのとわたしの愛おしくなる出会いを描いたあたたかな絵本。
田中清代
1972年神奈川県に生まれる。多摩美術大学絵画科卒業。1995年ボローニャ国際絵本原画展ユニセフ展受賞。翌年同選入選。以来絵本を主に、独特な手触りの美しい本を作りつづけている。主な作品に『みずたまのチワワ』『みつこととかげ』『トマトさん』『おきにいり』『おばけがこわいことこちゃん』『いってかえって星から星へ』『ねえ だっこして』『ひみつのカレーライス』『白鳥の湖』『気のいい火山弾』『小さいイーダちゃんの花』など多数。
編集者より
『トマトさん』や『ねえ だっこして』などでおなじみの絵本作家、田中清代さんによるひさびさの新作絵本です。
女の子が不思議な黒いいきものと出会うお話ですが、この謎めいた雰囲気のいきものくろいの≠ェとても魅力的に描かれています。くろいのは、小さな子どもくらいの背丈で、まっ黒な体に大きな目がきらりと光っています。庭に草花がしげる、おもむきのある日本家屋にひとりで住んでいるようです。女の子は、くろいのにまねかれて、その家で驚くような体験をします。
原画は銅版画で制作されていて、細やかに描き込まれた陰影は、子どもがひとりでいるときに日常のすきまで体験するファンタジーに、ゆたかな奥行きを生みだしています。読み進んでいるうちに、女の子とくろいのがどんどん愛おしく感じられるようになる、あたたかな絵本です。
【著者紹介】
田中清代 : 1972年神奈川県生まれ。多摩美術大学絵画科卒業。在学中より銅版画と絵本の制作を始める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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シナモン さん
読了日:2020/01/23
馨 さん
読了日:2020/04/12
seacalf さん
読了日:2021/03/04
はる さん
読了日:2019/01/21
へくとぱすかる さん
読了日:2021/12/08
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