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盗伐 林業現場からの警鐘

田中淳夫

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784787723192
ISBN 10 : 4787723197
Format
Books
Publisher
Release Date
April/2024
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

私たちは、盗伐や違法伐採は熱帯地域など発展途上国で起きているのであって、日本国内には違法な木材は出回っていない、と思い込んでいるのではなかろうか。
だが日本でも盗伐・違法伐採が頻発している。とくに宮崎県では、大規模で組織的な盗伐が行われてきた。警察は動かず、ほとんどの被害者は泣き寝入り状態である。ごく一部の逮捕者も、わずかな罰金ですまされている。
国産材だけではない。輸入する木材にも違法性の高いものが多く紛れ込んでいる。東京2020オリンピック・パラリンピックでは、メイン会場となった新国立競技場の建設に使われたコンクリートパネルが、違法伐採された木でつくられた可能性が高いと世界中から批判を浴びた事件もあった。
違法伐採は、先進国を含む世界中で近年続発し、規模も膨らんでいる。それは単なる森林窃盗ではなく、脱炭素や生物多様性をむしばむ環境破壊であり、激化する気候変動による災害発生を招く重要な要素となっている。そして林業そのものも持続性を失い、フェアな取引が行われないことで産業構造の劣化を引き起こしているのだ。盗伐および違法木材は、世界中の森林、林業界を悩ましている問題なのである。
こうした事態に対してヨーロッパでは、EUが森林破壊防止規則を施行し、合法・非合法を問わず、森林の持続可能性に関する要求事項を満たさない農林畜産物のEU市場への輸入やEUから他国への輸出を禁止した。つまりEUと取引する日本企業にとっても他人事の話ではなくなっている。
そこで現在日本列島で起きている盗伐の実態を示すだけでなく、世界にも目を向けて、盗伐や違法伐採が発生する理論やその構造を追い、また歴史的な背景や現代社会・経済の問題を突きつけた。盗伐は『絶望の林業』をミクロに追求する象徴的な大問題である。

【著者紹介】
田中淳夫 : 1959年大阪生まれ。静岡大学農学部林学科を卒業後、出版社、新聞社等を経て、フリーの森林ジャーナリストに。森と人の関係をテーマに執筆活動を続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • パトラッシュ

    日本の林業は盗伐という業病に骨まで侵されている。国産材利用拡大の美名の下で「質より量」が当然となり、補助金で購入した機材で他人の所有林を勝手に伐採し山が消える事態まで引き起こす。警察は業者の味方のように振る舞い、被害届の受理を拒み示談を勧める有様。伐採届の偽造や言い訳のノウハウまで身につけたブローカーが暗躍し、先のことなど考えず木を伐り出し続けている。産地や樹種を偽るのも常態化しており、取り締まるための法律や監視システムもあってなきが如きだ。人はあまりにも傲慢に、カネ目当てで地球を傷つけていると痛感する。

  • yutan2278

    違法伐採は、先進国を含む世界中で近年続発し、規模も膨らんでいる。それは単なる森林窃盗ではなく、脱炭素や生物多様性をむしばむ環境破壊であり、激化する気候変動による災害発生を招く重要な要素となっている。そして林業そのものも持続性を失い、フェアな取引が行われないことで産業構造の劣化を引き起こしているのだ。盗伐および違法木材は、世界中の森林、林業界を悩ましている問題なのである。 当たり前のようにそこにある森にそんな問題が潜んでいるとは。知らないことを知るということの大切さを学んだ本です。

  • 月をみるもの

    なぜ宮崎で盗伐が盛んになったのか? その文化的・経済的背景を、個別の具体事例から徐々に明らかにしていく過程がスリリング。違法伐採をしても、売ることができなければ儲けにはならない。ヤバい木材だって安けりゃいいじゃん、、という買い手がいてこそマーケットが成立する。木材の適法性を認証する制度もあるんだけど、肝心の林野庁にまったくやる気がない。なにより被害者の届出をまったく受け付けようとしない警察が恐ろしい。ここまであからさまなサボタージュや背信行為を行なっていても、業界ぐるみ県ぐるみでなかったことにしてしまう。

  • zoe

    2024年。持ち主の知らぬ間に山の木が根こそぎ伐採される。補助金で購入した重機で。雨が降ると土がいっきに流れ出し、元通りにならない。気付いて止めに行っても、誤って伐採したと言えばほぼ罪に問えない(最近変わってきた)。狙った森林があると、一部の権利を取得するか捏造して機械を持ち込み、何千本という木を盗み、境界を誤って伐採しちゃったと示談に持ち込む。価格は通常価格の何十分の一くらいで済まそうとする。示談の一部を支払って逃亡するのだ。盗伐現場を押さえて、警察を呼んでも、警察が民事介入し示談を勧めることも。

  • しん

    日本林業の闇とも言える盗伐の話。海外の案件も紹介し、盗伐について詳しく説明している。また盗伐後の問題(主に被害者の対応)にも深く踏み込んでおり、現在の盗伐被害が全くと言っていいほどに国、行政、司法に相手にされていない現状が良く分かる。 これで林業大丈夫か?と思う。

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