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群青に沈め

熊谷達也

User Review :5.0
(1)

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784043944163
ISBN 10 : 4043944160
Format
Books
Publisher
Release Date
February/2011
Japan

Content Description

1945年、夏。特攻要員の宣言をされた僕が配属されたのは、「伏龍隊」。機雷を持って海に潜り、敵上陸艇を爆破して自らも海の藻屑となる任務だ。来るべき「死」へ向かって訓練を重ねる日々。そんな中でも日常は続いてゆく。友情、上官への反目、海のきらめき、カレーの味…だが、ある日の訓練中、僕の前で友人が死んだ。そして、戦況は悪化の一途を辿り…。比類ないみずみずしさで描かれる、新時代の戦争文学。

【著者紹介】
熊谷達也 : 1958年宮城県生まれ。東京電機大学理工学部卒業。97年「ウエンカムイの爪」で小説すばる新人賞を受賞。2000年『漂泊の牙』で新田次郎文学賞、04年『邂逅の森』で山本周五郎賞、直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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戦時中の特攻を描いた作品というと大半は神...

投稿日:2021/04/10 (土)

戦時中の特攻を描いた作品というと大半は神風特攻隊、パイロットなんですが、この作品は潜水特攻隊伏龍の日常、訓練の様子、そして驚くべき日々が綴られています。主人公は17歳でまだ少年と言える年齢の子供達が戦状の悪化により、機雷を持ち海に潜って敵上陸艇を爆破するという任務が下されます。その作戦はどう考えても成功する訳ないし、成功しても生還の見込みがない片道切符で、海の藻屑となれと命令される訳です。そもそも訓練自体が危険極まりないので、訓練でどんどん兵が死んでいきます。これが実話を元として書かれた小説なのですから本当にやり切れない思いです。タイトルと直木賞作家でもある作者で選んだら想像以上にヘビーな内容でした。でもこれが教科書には書かれていない戦争の現実だと思ったし、この作品はそれでもまだ生々しい描写がない分読みやすいと言えます。戦争について改めて考えるきっかけとなった本と言えますし、戦時中の事柄は目を背けたくなる内容もありますが物語としては素晴らしい作品だと言えます。

イック さん | 大阪府 | 不明

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • サンダーバード@怪しいグルメ探検隊・隊鳥

    「神風」「回天」、人の命を犠牲にすることを前提とした特攻隊。そこに「伏龍」という存在を初めて知った。大戦末期、既に空を飛ぶすべもなく伏龍隊として選抜された予科練の若者達。群青の海に沈み上陸する敵船艇と刺し違えるのが彼らの任務。だが、欠陥だらけの潜水具のため、実戦以前に訓練中に300人を超える犠牲者が出たという。大本営はこんな「兵器」で本当に「勝てる」と思っていたのだろうか?「祖国を守る」ために志願したはずが、それ以前に犬死した多くの若者達。悲しみよりもむしろ怒りすら覚える話であった。★★★★

  • 相田うえお

    ★★★★☆ 登録忘れ。いつもの様に皆さんのレビューで思い出しました。ありがとうございます。しかし、この小説に書かれていることをそのまま考えてみると、あり得ない!無茶苦茶だ!

  • s-kozy

    読友さんの紹介で手に取る。17歳の少年が主人公。1945年の夏、特攻要員として僕が配属されたのは「伏龍隊」。潜水服を着て海に潜って待ち伏せをして、米軍の上陸艇の艦底に機雷をぶち当て、自らも海の藻屑となろうという任務を遂行しなければならない。訓練中にも死を招くことのある過酷で杜撰な作戦、それでも食べて、寝て、出しての日常を積み重ねる内に「死」の覚悟を決めていく。「腹が膨れれば、“あれ"だってしてみたい」。「僕」の一人称の視点から語られていく瑞々しい青春小説、新しい戦争文学と言えるのではないだろうか。

  • ばりぼー

    憧れの零戦に乗ることを夢見て海軍航空隊に入隊しながら、特攻要員として「僕」が配属されたのは、爆装モーターボートの「震洋」でも、人間魚雷「回天」でもなく、「水際特攻伏龍隊」。潜水服を着て海底に潜り、竹竿の先に付けた棒機雷で敵の上陸舟艇を突いて爆破するという、「うへっ、かっこ悪い」と落胆してしまうお粗末なもの。語り手である僕の言葉遣いが現代調で軽く、今の価値観で当時の若者の心中を語るのには違和感を拭えませんが、訓練だけで多くの犠牲者を出した愚策に焦点を当て、死ぬことの大義を問う青春文学に仕上げたことに拍手。

  • KEI

    読友さんのレビューで知った本。ここにも今となっては愚かとしか言えない部隊があったのだと初めて知った。その名を伏龍特攻隊。潜水服を着て海底に潜み、敵の上陸艦を棒機雷で爆発するという。戦争末期、まともな装備も武器も無く、それでも17歳の主人公は時流に流されつつも家族を守る為に死ぬ事を覚悟する。少年らしい語り口、若者たちの交流の中に特攻兵器として心を麻痺せざるを得ない状況が重い。終戦により任務は解かれたが、訓練により多くの犠牲者が出たとの事。読んで良かった。

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