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孤城 春たり

澤田瞳子

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784198659011
ISBN 10 : 419865901X
Format
Books
Release Date
November/2024
Japan

Content Description

借財10万両から蓄財10万両へ―。わずか7年で財政を建て直した備中松山藩の改革。「財政再建の神様」と呼ばれ、藩の要職として、また儒学者として有為の人材を多く育てた山田方谷を筆頭に、時代の波に揉まれながら懸命に生きる人々を描く直木賞作家初の幕末群像劇。「山陽新聞」好評連載待望の書籍化。

【著者紹介】
澤田瞳子 : 1977年京都府生まれ。同志社大学文学部文化史学専攻卒業、同大学院博士前期課程修了。2011年、デビュー作『孤鷹の天』で第17回中山義秀文学賞を最年少受賞。13年『満つる月の如し 仏師・定朝』で本屋が選ぶ時代小説大賞2012ならびに第32回新田次郎文学賞受賞。16年『若冲』で第9回親鸞賞受賞。20年『駆け入りの寺』で第14回舟橋聖一文学賞受賞。21年『星落ちて、なお』で第165回直木賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • starbro

    澤田 瞳子は、新作中心に読んでいる作家です。幕末弱小財政改革物語、困窮藩は大変だったんでしょうね。https://www.tokuma.jp/smp/book/b655572.html

  • パトラッシュ

    藩主の信頼をバックに改革を断行する重臣は、反対者から見れば虎の威を借る狐だ。それだけに役職や身分でなく人格で心服させねばならないが、備中松山藩で財政再建を担った山田方谷は文字通り至誠の人だった。この人のやることに間違いはないと皆に信頼され、その期待に報いるため働きたいと多くの武士を奮起させるほどに。洋船を購入できるほど財政再建を果たしながら、激動の幕末動乱期を迎えて松山藩も苦境に立つが、山田と彼の薫陶を受けた者たちは静かに終幕を迎える。理想の政治家に導かれ、見苦しくなく身を処す藩士とその家族の姿が美しい。

  • trazom

    確か、司馬遼太郎さんは「山田方谷は偉すぎて、小説にならない」と仰っていたと記憶する。その方谷を見事に小説にした澤田さんは、凄い。しかも、生涯や事績をただ辿るのではなく、備中松山藩が翻弄される幕末の時代背景が鮮やかに描き出される。方谷の周辺の人たち――方谷を君側の奸として嫌う輩や、唯一の女性の門弟、更には、三島中洲、川田甕江、河井継之助、新島襄ら――とのエピソードを紡ぐことによって、方谷の人物像が立体的に浮かび上がる。「誰に対しても至誠を尽くし、天下の万民を愛しむ」山田方谷という人物への尊敬の念が深くなる。

  • hiace9000

    激動の幕末期の備中松山藩。史実の隙に分け入り、山田方谷を含めそこに生きた数多の人々の日常や生涯を丹念に掬い上げ描く圧巻の澤田筆。時系列による五章からなる群像劇は、視点人物を変えながら、時代に揉まれながら懸命に生きる中で、決して手放すことなく絶えず向き合い続けた「至誠の道」を問い続ける。いつもながら緻密な人物造形は、登場人物の輪郭を際立たせ、心の揺れ動きにまで読み手を共振させ、ひと章ごとに馥郁たる読み心地と深い感銘に満たされるのだ。同時期を描いた『残光そこにありて』とともに、近著では二大必読幕末譚であろう。

  • のぶ

    澤田さんは幕末を舞台にした小説は初めてとの事だが、どうして、読み応えのある作品に仕上がっていた。全編を通して登場する山田方谷は、備中松山藩士で幕末期の儒者・陽明学者。本作の主眼は、山田方谷という人物に出会い、接することで、幕末という大変動の時代にどう生きるべきかを学び、悟った人々の群像劇にあります。したがって山田方谷は主人公とはならず、各篇での脇役に過ぎませんが、それでもその人物の見事さには感銘を受けます。倒幕側でも会津側でもない備中松山藩に忍び寄る幕末の動乱を緻密に描いた小説で、良くできていたと思う。

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