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胃袋の近代 食と人びとの日常史

湯澤規子

Product Details

ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784815809164
ISBN 10 : 481580916X
Format
Books
Release Date
June/2018
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

一膳飯屋、残飯屋、共同炊事など、都市の雑踏や工場の喧騒のなかで始まった外食の営みを活写。社会と個人とをつなぐ“食”の視点から日本近代史を書き換える。

目次 : 序章 食と人びと―見えない歴史の構築/ 第1章 一膳飯屋と都市―胃袋からみる近代日本の都市問題/ 第2章 食堂にみる人びとの関わり―食をめぐる政治と実践/ 第3章 共同炊事と集団食のはじまり―工場の誕生と衣食住の再編/ 第4章 胃袋の増大と食の産業化―大量生産・大量加工時代の到来/ 第5章 土と食卓のあいだ―食料生産の構造転換と農民・農家・農村/ 第6章 台所が担う救済と経済―公設市場・中央卸売市場の整備/ 第7章 人びとと社会をつなぐ勝手口―市場経済が生んだ飽食と欠乏/ 終章 胃袋からみた日本近代―食と人びとをつなぐ地域の可能性

【著者紹介】
湯澤規子 : 1974年大阪府生まれ。2003年筑波大学大学院歴史・人類学研究科博士課程単位取得満期退学、博士(文学)。2005年明治大学経営学部専任講師。筑波大学生命環境系准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • 天の川

    調べ物で。近代になると、工場、軍隊、学校など、日常的な集団での食の場が増える。飯・味噌汁・漬物程度しか供されないが、当時、食料を調達し提供することは、流通や保存の点でも簡単なことではなかったのだとわかった。「女工哀史」の印象が強いが、食が極端に不足すると、健康を損ない、作業効率は下がり、ストライキが起きる為、粗末ではあれど食は維持する必要があったこと、日本軍の兵站のお粗末さが現地での略奪の横行を生んだこと、近代になると資料が豊富になって実証的になる。自助と共助に頼る時代は、職を失うことが飢えと直結する。

  • kenitirokikuti

    毎日新聞2018.8.5の書評を読む。本書は明治から大正にかけての都市賃労働者の食がいかに賄われたのかを緻密に探る。「一膳飯屋」はわたしの記憶にもあるが、近世の飲食商売は「煮売茶屋」といい、一膳飯は死者の枕元に添えるものとして不吉とされていた。たしかに茶碗の盛り飯に箸を突き立てると怒られたなぁ…。これが明治になりどんぶり飯の一膳飯屋となる(「蕎麦屋の天丼カツ丼」も同じ流れだろうな)。米騒動以降に公営食堂・公営市場が生まれるが、それらは共同炊事へと変化する/米価の暴騰でひもじい思いをした記憶はさすがにない

  • てくてく

    工場労働者が増えると、家で作られた食事だけで生活する人は減り、「知らぬ火」(自分の家で作られていない)食事をとる機会が増える。その家以外の食事はどのように調達されていたのかといったことを帳簿その他の資料を用いて考察したもの。特に漬物の大量調達に伴う変容が興味深かった。

  • pushuca

    意欲作。よく調べてある。参考文献も読んでみたい。

  • ずしょのかみ

    湯沢先生の研究の面白い点は、帳簿を史料に用いた点にあると思った。帳簿は、文献史学のいうところの古文書ではなく、研究が遅れている史料だである。経営帳簿は読解の困難さが伴うものの、客観的で具体的なデータを提供してくれるよい史料だと思う。「人びとの生活をすくいだして歴史を見るにはどんなふうにしたらよいでしょうか…」と質問したことがあった。湯沢先生曰く、「食べないで生きてられる人っていないのよ、みんな必ずなにかを食べる。だから食べることを研究することは、今までで見えづらかった人びとの生活を明らかにできるのです」

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