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「論理的思考」の社会的構築 フランスの思考表現スタイルと言葉の教育

渡邉雅子

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784000026062
ISBN 10 : 4000026062
Format
Books
Publisher
Release Date
July/2021
Japan

Content Description

「論理的思考」「ロジカル・シンキング」は教育やビジネスでの重要な能力とされる。だが日本の議論で「論理的」であることは、「証拠を示して説得的に語ること」ほどの共通理解しか見いだせない。そして、実はその捉え方は自明なものではない。そもそも、「論理的」とはどういうことなのか。「論理的である」と感じる感覚はどのようにつくられていくのか。フランスでのディセルタシオン(小論文)を核とした言葉の教育を通じて、日本ともアメリカとも異なる「論理的思考」の存在、そしてその形成過程を明らかにする。

目次 : 第1部 論文構造から生まれる論理と思考法―哲学と文学のディセルタシオン(論文の構造と論理の型―エッセイとディセルタシオン/ 哲学のディセルタシオンと哲学教育―吟味し否定する方法を教える/ 文学のディセルタシオンと文学教育―文学鑑賞と論理的思考/ ディセルタシオンの歴史)/ 第2部 論理的思考の段階的な訓練―ディセルタシオンを目指した言葉の教育の全体像(小学校で教えられる論理―言語の内的論理と視点の一貫性/ 中等教育で育まれる論理―「論証」から「弁証法」へ)/ 第3部 判断し行動するための論理―推論する、討論する、合意するための教育(歴史教育―過去の解釈と未来予想に見る推論の型、「合理性」の判断基準/ 歴史教育の歴史に見る思考法の変遷/ 市民性教育―合意形成の手続き)/ フランス社会の“論理”の構築―ディセルタシオンが導く思考表現スタイル

【著者紹介】
渡邉雅子 : 名古屋大学大学院教育発達科学研究科教授。コロンビア大学大学院博士課程修了。Ph.D.(博士・社会学)。専門は知識社会学、比較教育・比較文化、カリキュラム学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • sayan

    今月最も刺激的な書籍の1冊。語学ができる事と論理的に伝わることは違う、それは「書く型は思考の型」に拠ることを本書は明らかにする。著者は「論理的であるとは統一性と一貫性が、読者の期待通りに必要な情報とその順番が示される事で生まれる感覚」である、と引用する。その肌感覚表現に共感する。そして仏のディセルタシオンを軸に各国の「論理的」であることは「質的」に異なる点を明らかにする展開は鮮やか。社会論として読んでも非常に面白い。ふと、言語Aの内容を日本語読者に伝わる型にする翻訳者の視点や力量は相当だな、と感じ入った。

  • kan

    刺激的な本だった。エッセイとディセルタシオンと小論文の違い、「論理的」の定義の違い、その差異を生み出す歴史的背景や価値観が目から鱗だった。米国大学院出願の際、エッセイやGREのanalytical writingで米国の求める書き方を模索し苦労したが、フランスの書き方の根底にあるものを本書で知り、国や文化圏により論理性や創造性の定義がここまで違うかと感動さえした。人文科学や哲学的思考の重要性を認識し、抽象化を価値ある能力とし、人類の偉大な業績を学び自らの教養にすることを重視するフランスの教育が羨ましい。

  • yutaro sata

    論理構造というものが例えば日本と、アメリカと、フランスでは全然違うのだと。そういう背景まで知らないと「論理的に話せば伝わる」と思っていた場面で見事にすれ違うことになると。いうことですね。確かネットの記事で紹介されていて興味を持ったのでした。

  • syuu0822

    「論理的思考」とかよく言われますが、具体的にどういったことを指すのか?と前々から疑問に感じていたので手に取った本。実際の中身としては、大半がフランスの教育内容の紹介ですね。論理的と言われるものが、実はそこの文化独特の考えに過ぎない可能性もあるのだということが分かり、とても有益な本でした。

  • buuupuuu

    前著に引き続き、授業で教えられる作文の型から、国の教育方針や文化のあり方を探っている。フランスではアメリカと異なり、革命の経験を踏まえ、理念が先行する形で文章のスタイルが定まっていったという。それは、ヘーゲル的な弁証法の「正反合」の形で、全体性を志向しながら、物事を多面的に見るよう促すものである。経験的な論拠は認められず、必ず古典等からの引用が求められるという。これが人文的教養への向き合い方の養成になっていると思われ、印象に残った。しばしば「欧米」として一括にされるが、まったく違っていて面白い。

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