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わかりやすさの罪 朝日文庫

武田砂鉄

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784022620873
ISBN 10 : 4022620870
Format
Books
Publisher
Release Date
January/2024
Japan

Content Description

「すぐわかる!」に頼るメディア、「即身につく」と謳うビジネス書、「4回泣ける映画」で4回泣く観客…。「どっち?」と問われ、「どっちでもねーよ!」と言いたくなる日々。納得と共感に溺れる社会で、与えられた選択肢を疑うための一冊。

目次 : 「どっちですか?」の危うさ/ 「言葉にできない」/ 要約という行為/ 「2+3=○」「○+○=5」/ 勝手に理解しないで/ 理解が混雑する/ 「一気にわかる!」必要性/ 人心を1分で話すな/ なぜそこで笑ったのか/ なぜ笑うのか、なぜ笑えないのか/ 全てを人に届ける/ 説明不足/ 「コード」にすがる/ ノイズを増やす/ 4回泣けます/ コーヒーを吹くかもしれない/ 深いって何だろう/ 見せかけの優位/ 偶然は自分のもの/ わざと雑にする/ そんなこと言ってないのに/ 自分に迷わない人たち/ みんなで考えすぎ/ 人はいつもぐちゃぐちゃ

【著者紹介】
武田砂鉄 : 1982年東京都生まれ。ライター。出版社勤務を経て、2014年から週刊誌、ファッション誌、新聞、webなど幅広いメディアで多数執筆するほか、ラジオ番組のパーソナリティとしても活躍している。15年、『紋切型社会 言葉で固まる現代を解きほぐす』で第25回Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • ケンイチミズバ

    社会が優先事項として効率ばかり重視するようになったからだろう。余韻とか含みとか余計なものは切り捨て、分かりやすさだけが行動を支配する。私もそれを実感することがある。部下に長いメールをしても読まれない。指示だけでよい。理由や理屈は要りません。と言われる。会社だからそれでもありだとは思いながらも反感はある。表層的な理解しかしなくてもシステムがカバーしたりで物事がとにかく早く処理され消化されていくことが大事なのだろう。バカになったなと思った。しかもみながみな右に倣えしないと叩かれる。のりしろのない世界は嫌い。

  • 塩崎ツトム

    私事だが、葬式などの親族の集まりでは大体、以下のような会話が行われる。「つとむくんの小説を読んだんだけどね」「はあ」「なんだか難しくって、よくわからなかったわ」「すいません」。そりゃわかりづらく書いたんだから当然なんだが、ぼくはなにを謝っているんだろう。どうも世間的にはわかりやすいほど良いという世相らしい。うるせえ「フィネガンズ・ウェイク」ぶつけんぞ、と言ってみたいのだけど、そうもいかないのである。

  • シキモリ

    著者はゴールデンタイムのTBSラジオでパーソナリティを務められている方、程度の認識しか持ち合わせていなかったが、タイトルに惹かれて手に取る。私自身は白黒思考の傾向が強い性格なので、著者の論述に頷きつつも、自分のことを言われているようでギクリとする部分もあったり。著者の職業柄なのか、皮肉が効き過ぎて個人攻撃に思える箇所もあり、本書に同調して吟味もせず安易な批判に転じる危険性を孕んでいる気はした。二元論化が著しい昨今の日本社会や受け手の感受性を軽視したエンタメ作品に対し、違和感を持ち続ける癖を手放したくない。

  • N島

    世の中に溢れる『わかりやすさ』に抗う一冊。論調は厳しいながらも、普段の生活で感じる違和感を浮き彫りにし、(やや過剰に)代弁してくれた本でした。ただ…この『わかりやすさ』に追従する人間の傾向は、今に始まったことではなく、ある意味人間の本性の一つではなかろうかと、読めば読むほど確信を深めてしまう僕がおりました。集団で次から次へと『わかりやすさ』を食い散らかす飛蝗の群のおぞましさ…到底容認できないなぁと、群生行動から乗り遅れたのんきなバッタたる僕などは、思うわけです。

  • lily

    「100冊を1冊に」「5分後に結末」「4回泣ける」「すぐわかる!」…社会に蔓延するタイパ至上主義に対し、ノイズの重要性をこれでもかと回り道しながら言語化していく。分かりやすいは行間を削ぎ落すことで成立するわけで、そこには作者の想いや意図も削り取られていくことを意味する。その認識を持つだけで、「なんかこういう本って食指が動かねーんだよな」というモヤモヤ感がクリアになる。社会の教師をやっていると日々面白さや分かりやすさを追いかけまわす節があるが、分かりやすさの裏に打ち捨てられたものがあるという自覚は保ちたい。

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