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一人の記憶(仮)

橋口譲二

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784163903958
ISBN 10 : 416390395X
Format
Books
Publisher
Release Date
February/2016
Japan

Content Description

日本に戻ってどうするのさ。インドネシア、台湾、サイパン、ポナペ、韓国、中国、ロシア、キューバ…太平洋戦争を機に海を渡り、戦後も帰国せずその地で生きることを選んだ日本人。終戦の混乱の中で、彼らの下した一つ一つの選択、一人一人の生き方とは?取材から執筆まで二十年の歳月をかけた、渾身の書下ろしノンフィクション。

目次 : 笠原晋(インドネシア)―「北スマトラの無人地帯で生きるつもりでした」/ 井上助良(インドネシア)―「頭がこんがらがっちゃってですね、希望が迷ってしまった」/ 下山文枝(台湾)―「こっちは故郷と同じ。ただ言葉が通じないだけ…」/ 平得栄三(台湾)―「魚がいればどこまででも行った。氷が見え始めたらその先には行かない」/ 米本登喜江(韓国)―「絶対に振り返らないで、前向きに生きて行こうと思ったんです」/ 中村京子(中国)―「八路軍のことは知らなかったけど、生きる道があるのなら入ろうと決めた」/ 金城善盛(サイパン)―「卒業したらニューギニアへ行って、パイナップルでも作ろうかと思っていた」/ 秋永正子(ポナペ)―「お父さんの生まれた国、非常に良かったと思いますよ」/ 佐藤弘(ロシア)―「年とって日本に戻ってどうするのさ。死ぬんならここで死んでしまえ、と僕はいうのさ」/ 原田茂作(キューバ)―「百姓は自分で出来る。可能性のある仕事だから働くだけ働いてやってきました」/ 生き抜いた人たち

【著者紹介】
橋口譲二 : 1949年鹿児島県生まれ。19歳で上京。日本各地を放浪の後、写真家となる。1981年、路上に集まる若者をとらえた『視線』でデビュー。以来、一貫して人間の存在を見つめるドキュメントを発表し続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • kawa

    【16年良かった本再読】終戦の時、「希望が迷って」ジャワ島に、「義母を置いてけなかった」と台湾山岳地帯に、「またすぐ行き来できる」と韓国に、「生き残るのが一番」と八路軍と行動を共にした看護婦さん、「身体の弱い奥さんや子供を捨てれず」に帰国船を目前にシベリアに・・・残った人等々、時代に翻弄された人達の傑作ドキュメント。「運命」はいったいどのようにしてここに登場する人物を選んだのだろうか。著者のねらいの通り、「過ぎ去った時間の中で生きた人たち」の人生が「今を生きる自分」に繫がった、繋がなければと思う。

  • チェアー

    話を聞いていて、相手が黙る瞬間がある。はっとする。そこに語られないものの重みを感じる。この本で記されていることは、日本や世界の歴史の一部だが、そう普遍化すると抜け落ちてしまうものが多い。あくまで個人の歴史だ。だからこそ、語られないものがあり、聞き手は立ちすくむ。巻末にある各地で暮らす日本人の写真に衝かれる。氏名不詳、日本語も現地語も話せないという人もいる。どうやって暮らしているのか。考えると胸が塞がる。

  • kawa

    また、凄い本に出合ってしまった。戦前戦中に戦争・移民で海外に渡った日本人、各々の事情で帰国し(でき)なかった人々に対するインタビュー・ドキュメント。著者は「後書き」で、取材から20年の年月を経てようやくの出版だと言い(ほとんどの方は亡くなっていると思う。合掌)、年月を経た結果、一人一人の息遣いや体温がより感じられようになったと記している。あえて、それぞれの心の闇に迫るのではなく、淡々と記述することで、却って、その人生がリアルに蘇ってくるように思う。各章の最後に掲載される著者によるポートレイトもグッとくる。

  • 及川まゆみ

    インドネシアを調べていたので、インドネシアの2項のみ読む。読みやすい。

  • がんちゃん

     なぜ日本に帰国しなかったのか。そこにはそれなりの事情や考えがあり、人にはいえない涙や苦労もあったはず。だけど、少なくても俺なんかよりはよっぽど自由だったのではないかと思った。国境をぽんと越えてしまうということ。硬直したナショナリズムなんかもぽんと飛び越えてしまう。それなりの事情はあるにせ、ぽんと飛び越えていく勇気に裏付けされた自由さとでもいうのだろうか。これもグローバリズムってことなのか。だったら昔の方がよっぽどグローバリズムだったんだなぁ。

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