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舞姫・うたかたの記

森鴎外

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784003100608
ISBN 10 : 4003100603
Format
Books
Publisher
Release Date
January/1981
Japan

Content Description

日本人留学生とドイツの一少女との悲恋を描いた「舞姫」のほか、鴎外(1862‐1922)の青春の記念ともいうべき「うたかたの記」「文づかひ」、名訳「ふた夜」を収めた。いずれも異国的な背景と典雅な文章の間に哀切な詩情を湛える。併収した「そめちがへ」は、作者の初期から中期への展開を示す作品として重要である。

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • ヴェネツィア

    文語で書かれたことによって、『舞姫』の全体は浪漫的なトーンで覆われることになった。物語は、ベルリンからの帰途、セイゴン(サイゴン)の港で「石炭をば早や積み果てつ」の印象的な一文で語り始められる。この物語の主人公であり語り手である豊太郎は、この時日本を目前にしていた。すなわちこれは、すべてが終わったところから始まる「喪失」の物語なのである。愛していたエリスも、そして自身の青春も、前途への夢も、すべてを時間と空間の向こう側に置いてきてしまった物語。そして遥かな彼方には、世紀末ベルリンの煌びやかな光芒があった。

  • Willie the Wildcat

    ドイツ三部作の筆頭『舞姫』、舞台はベルリン。表層と心底の乖離の齎す悲劇。相沢を一点憎む心を示す最後の件も、徹頭徹尾利己。当時の時勢と共に、自己弁護と自省感。どうにも”あの”エリスが頭に浮かぶ。『うたかたの記』の利己と結末の悲哀も共通項。但し、文中の”雛形”という漢字が、意味深。上官子息の絵師・原田。一方、『文づかひ』は、上述2作品との日欧の男性観の対比と、利己主張の主と方法の対比が妙。三部作として読み続けると、利己の対象の変遷とも言える。邪推ですが、やはり著者の独逸留学時の”客観的な”自省の念を感じる。

  • たま

    イザベラ・ディオニシオ『女を書けない文豪たち』をお供に『舞姫』を再読、巧妙な筋立てと人物設定に感心した。昔々は私小説的に読んでしまったと思うが、とんでもない、技巧を凝らした小説だった。清純が強調され過ぎて怪しいエリス、対するは官僚ながら在野文化人志向をもつ太田豊太郎の煩悶。自分では全く決断せず友人に全て世話になりながら、末尾で「されど我脳裡に一点の彼を憎むこころ今日までも残りけり」と言う。読者がこの人物設定をするっと許容できるのは、女の情にほだされ引きずられる男という伝統パターンに沿っているからだろうか。

  • ω

    石炭をば早や積み果てつ。ーー  高校で「舞姫」の冒頭について丸一時間授業があった記憶が蘇る。笑 石炭は近代化の象徴であった、日本人はこの冒頭に「どひゃー」と度肝を抜かれたとか、中等室である必然性とか…… 鴎外初期のドイツ三部作はどれもラストが味わい深いなぁ。「消えて迹なきうたかたのうたてき世を喞ちあかしつ。」とか、調べなサッパリ分からんけど。。。後期の作品はもう少し読みやすいと嬉しい…ω

  • スプーン

    (「うたかたの記」のみレビュー)ドイツ少女と日本人留学生の淡き恋物語。史実のルードヴィッヒ二世の死と絡めてくるあたりが野心家ですね。

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