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カラー版 廃線紀行 -もうひとつの鉄道旅 中公新書

梯久美子

User Review :5.0
(1)

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784121023315
ISBN 10 : 4121023315
Format
Books
Publisher
Release Date
July/2015
Japan

Content Description

「絶景廃線」と呼びたくなる路線がある。瀬戸大橋の見える下津井電鉄、景勝地・耶馬渓の真ん中を走る大分交通耶馬渓線などだ。他方で、ありふれた景色の中を通っているが、歩いてみると何とも楽しい路線も少なくない。鉄道をこよなく愛する著者が五年をかけて全国の廃線跡を踏破。往時の威容に思いを馳せつつ、現在の姿を活写する。北は道東の国鉄根北線から南は鹿児島交通南薩線まで、精選五〇路線を紹介する廃線案内。

目次 : 北海道・東北(下夕張森林鉄道夕張岳線 北海道/ 国鉄根北線 北海道 ほか)/ 関東(鹿島鉄道 茨城県/ 日鉄鉱業羽鶴専用鉄道 栃木県 ほか)/ 中部(新潟交通電車線 新潟県/ JR篠ノ井線旧線 長野県 ほか)/ 近畿(三重交通神都線 三重県/ 国鉄中舞鶴線 京都府 ほか)/ 中国・四国(JR大社線 島根県/ 下津井電鉄 岡山県 ほか)/ 九州(JR上山田線 福岡県/ 九州鉄道大蔵線 福岡県 ほか)

【著者紹介】
梯久美子 : ノンフィクション作家。1961年(昭和36年)、熊本県に生まれる。北海道大学文学部卒業。編集者を経て文筆業に。『散るぞ悲しき 硫黄島総指揮官・栗林忠道』(新潮文庫)で第37回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読売新聞に連載されたノンフィクション作家...

投稿日:2021/04/14 (水)

読売新聞に連載されたノンフィクション作家である梯久美子氏が、全国の廃線跡を訪問するドキュメンタリー記事を単行本化したもの。全国各地の廃線跡が紹介されている。掲載されている路線は以下の通り。【北海道・東北】下夕張森林鉄道夕張岳線/国鉄根北線/国鉄手宮線/定山渓鉄道/岩手軽便鉄道/くりはら田園鉄道/山形交通高畠線/国鉄日中線 【関東】鹿島鉄道/日鉄鉱業羽鶴専用鉄道/足尾線/JR信越本線旧線/日本煉瓦製造専用線/東武鉄道熊谷線/陸軍鉄道聯隊軍用線/東京都港湾局専用線晴海線/横浜臨港線・山下臨港線 【中部】新潟交通電車線/JR篠ノ井線旧線/布引電気鉄道/JR中央本線 旧大日影トンネル/国鉄清水港線/名鉄谷汲線/名鉄美濃町線/名鉄三河線(猿投−西中金)/名鉄瀬戸線旧線 【近畿】三重交通神都線/国鉄中舞鶴線/蹴上インクライン/江若鉄道/JR大阪臨港線/姫路市営モノレール/三木鉄道/関西鉄道大仏線/天理軽便鉄道/近鉄東信貴鋼索線/紀州鉄道(西御坊−日高川) 【中国・四国】JR大社線/下津井電鉄/鞆軽便鉄道/国鉄宇品線/JR宇部線旧線/琴平参宮電鉄(多度津線・琴平線)/住友別子鉱山鉄道(上部鉄道) 【九州】JR上山田線/九州鉄道大蔵線/国鉄佐賀線/大分交通耶馬渓線/高千穂鉄道/鹿児島交通南薩線  紹介は各線4ページ。その4ページには、筆者が撮影したカラー写真1枚と、訪問した廃線の所在地がわかる簡単なマップが付されている。情報量は限られたものであるが、それこそが本書の狙いで、あくまで日常的な風景の中で、筆者ならではの視点でサラリと切り取った「風景」が、自由なタッチで紹介されている。そのライトな感触が、本書のスタイルであり、味わいとなっている。著者は、宮脇俊三作品の熱心な読者であったそうだ。なるほど、梯氏の文体は、それを彷彿とさせる。専門的に偏り過ぎることなく、情報はコンパクトに提示し、最後は、読者の想像力に委ねるようにして、軽やかにペンを置く。胸やけとは無縁の、清涼な筆致である。だから読みやすいし、印象に残った個所にきちんと焦点があっている。マニアックな廃線探訪の参考書ではない。新聞連載という体裁にふさわしい、ふと目にした人に「気づき」や「きっかけ」を与えてくれるような、軽いもの。「どの線のどの個所を選んだのか」「筆者がどのようなことを感じたのか」ということを知れる面白味がある。添えられた筆者が撮ったという写真も、「これを見せたい」という筆者の感性が伝わってきて好ましい。私も廃線・廃駅の探訪の趣味を持っているが、最近、そのような散策地で、女性の同好の士と思われる人物を見かけることが増えてきた。嬉しいことではあるが、はたして女性のファンは、どのような視点と感受性で、対象と接しているのだろうか。自分と同じような知識を持ち、似たようなことを考えているのだろうか?と思うこともあった。女性(あるいは男性)の場合、こういうふうに思う、みたいに言い切れるものではないことを百も承知で、本書は私のそのような好奇心も満たしてくれた。ところで、私の住む北海道の場合、廃線というのが、ただのノスタルジーではなく、今現在の現実を突きつけられた問題とリンクしている、ということである。冬の厳しい北海道こそ、安定した長距離移動を可能とする基幹交通として、鉄道は重要だと思うのだが、逆に冬の維持費をネックに、どんどん線路は無くなっていく。私個人的に、鉄道網だけでなく、電気・水道・通信・郵政等の生活基盤となるインフラは、公が支えるべきだと考えている。しかし、いまの風潮は、民営化、民間委託こそが正しいという方向を向いている。これらのインフラを支えているのが、一企業ということになれば、彼らがペイしない土地から撤退するのは、合理的なこととなるのである。私企業にこれらを委ねることは、大いなる間違いであると確信をもって言える。本書で、三木鉄道を訪問した時、旧沿線に住んでいた方の一言「鉄道がなくなることは、町の活力がなくなることなんだよ」は、まぎれもない真実味をもって伝わる。

ココパナ さん | 北海道 | 不明

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • mitei

    全国各地の廃線ルートをブラリと歩いて行った本書。知ってる地域はあるあるで読めたし知らない地域は行ってみたく思えた。

  • まーくん

    著者梯さんの『サガレン』を読み、もうオタクに違いないと感想を記したら、読み友さんより本書を紹介され立派なオタクだと太鼓判を押されました。梯さんは5歳の時、父君が九州から北海道へ転勤となり家族揃って列車で(この頃はまだ列車が普通だ)移動され、子供心に非日常の体験に胸躍ったたそう。廃線歩きは地上の水平方向の地理的な旅に、過去に向かって垂直方向にさかのぼる歴史的な旅が加わるという。かつて旅した北海道の長大廃線を期待するも、紹介されている廃線は盲腸線など短距離線が多く、尤も”歩く”には長い路線は無理だなと納得。

  • 雲をみるひと

    鉄道廃線跡の探訪エッセイ。日本全国の新旧の路線が取り上げられているが、各編の分量が同じこともあり、全編に統一感がある。鉄道の技術的な面ではなく情的な面が強調されているところは好き嫌いがあるかもしれないが、逆に鉄道ファン以外でも楽しめると思う。

  • koji

    梯さんによれば、廃線マニアの基本は、(鉄道・歴史・地理)好き×徒歩を苦にしないこと(但し危険は絶対避けること)×探偵気分を持っている人。私にも資格がありそうですね。頑張ります。さてこの本は、基本情報(廃止の区間・時期・距離)、地図、写真に本文を加えて4頁1鉄道、50鉄道が紹介されています。梯さんの文は、マニアらしい正確さを維持しながら、どこまでも優しい視線で探訪した喜びを語っておりとても読み易いですね。最期に一つ。50数年前に家族で住んでいた佐賀の借家の庭のすぐ上を、佐賀線が通っていました。懐かしい思い出

  • ユー

    新たなジャンルとして理解しても良いのでしょうか。現役を退いた路線が再び脚光を浴びる時。動いていなくても物語として紡ぐ事が出来るのは大変素晴らしいと思います。                                                           

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