グロテスク 上 文春文庫

桐野夏生

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784167602093
ISBN 10 : 4167602091
フォーマット
出版社
発行年月
2006年09月
日本
追加情報
:
16cm,397p

内容詳細

名門Q女子高に渦巻く女子高生たちの悪意と欺瞞。「ここは嫌らしいほどの階級社会なのよ」。悪魔的な美貌を持つニンフォマニアのユリコ、競争心をむき出しにし、孤立する途中入学組の和恵。ユリコの姉である“わたし”は二人を激しく憎み、陥れようとする。圧倒的な筆致で現代女性の生を描ききった、桐野文学の金字塔。

(「BOOK」データベースより)

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劣等感や嫉妬が痛いほど描き出されています...

投稿日:2009/05/30 (土)

劣等感や嫉妬が痛いほど描き出されています。そして複数の登場人物の一人称によって語られる物語です。しかし読み進めていくうちに「え?あれって嘘なん?」ってなって、みんなが自己正当化のために嘘をついてる事に気付く。常に続きが気になりながら読み続けた背景には、この嘘の中から、うっすら浮かび上がる真実を模索する過程にハマっていたことがあるのかも。読み終わった今。なぁんも残ってないようで、何かが残ってる。この先、この物語を読み返すことはないと思う。でも、この心に残った何かは、ずっと消えへん気がする。

naco さん | 奈良県 | 不明

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読書メーターレビュー

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • ヴェネツィア さん

    この時点においては、桐野夏生がそれまでで最も力を注いで書いたのが本書だったのではないか。まず、客観体を取らずに一人称の手記としたことに作家の並々ならぬ意欲の表れが感じられる。ここから連想されるのは太宰の『女生徒』だ。ただし、逆説的なのだが、そこでは戦時に移行してゆく時勢が彼女を救ってもいた。そうした救いがなくなるのが戦後に書かれた『斜陽』である。そして、その先にあるのが本書『グロテスク』だというのは買いかぶり過ぎだろうか。桐野夏生はそのことを意識していただろうか。私にはしていたような気がするのである。

  • 明智紫苑 さん

    再読。女の怖さや醜さを描くのに、わざわざ物理的暴力描写に依存する必要などないという好例。一応は東電OL事件がモチーフという事になっているから、本来ならば実際の事件とは無関係の「元美少女」ユリコの存在は蛇足のハズだけど、むしろ「真のヒロイン」というべき存在感がある。もしかすると、桐野氏が本当に一番描きたかったのは東電OLの分身和恵ではなく、他ならぬユリコだったのかもしれない。そのユリコの姉であるメインヒロイン「わたし」と他の女性キャラクターたちとの関係は、まさしく「逆百合小説」だと言える。

  • zero1 さん

    全ページに蔓延るドロドロの悪意。事件が起きるのは必然で、起きないのは幸運なだけ。現代社会は微妙なバランスの上に成り立っていることを思い知る。東電OL殺人事件(後述)をベースにした桐野らしい闇を描いた重苦しい残酷な作品。語り手として登場したエリコの姉と和恵。この3人の繋がりがメインでミツルも絡む。クラスカーストが蔓延る有名校にいた女性たちは何故、身体を売るようになったのか?読者の男女差は感想に違いをもたらすか。この後、どう殺人に結びつくのか?下巻に続く。ダメージが残るため、桐野作品はとても続けては読めない。

  • W-G さん

    スローペースで始まり、上巻の真ん中辺りからグイグイ引き込まれていく。詳しい感想は下巻で。

  • ehirano1 さん

    実は人間の暗部を見るのが怖くて(=嫌な気持になるのが怖くて)、1年も積読していた本書についに手を出すことに。上巻からして既に圧巻。この本は人間の何か(多分、深部にあって理性によってあんまり表には出ないようになっている”何か”)を刺激します。ある意味注意を要する本なのかもしれません。しかし、いや、だからこそ引き込まれます、いやいや引きずり込まれます。下巻は一体どうなっていくんでしょうか。

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人物・団体紹介

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桐野夏生

1951年石川県生まれ。作家。93年『顔に降りかかる雨』で江戸川乱歩賞、98年『OUT』で日本推理作家協会賞、99年『柔らかな〓』で直木賞、2003年『グロテスク』で泉鏡花文学賞、04年『残虐記』で柴田錬三郎賞、05年『魂萌え』で婦人公論文芸賞、08年『東京島』で谷崎潤一郎賞、09年『女神記』で紫式

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