提督斎藤實「二・二六」に死す 昭和天皇が愛した軍人政治家の生涯 光人社NF文庫

松田十刻

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784769831549
ISBN 10 : 4769831544
フォーマット
出版社
発行年月
2020年01月
日本
追加情報
:
371p;16

内容詳細

襲い来るファシズムの潮流のなかで、軍国主義化に抗しつづけた軍人宰相の苦難に満ちた生涯を辿る海軍人物伝。時代の歯車をすこしでも遅らせ、日本を本来の道に戻そうと尽瘁し、ために「スローモー内閣」の異称に甘んじ、ついには凶刃に倒れた、信念の男の本懐。同郷・気鋭のノンフィクション作家の渾身の力作。

目次 : 第1部(竹馬の友/ 獅子たちの残照/ 大陸横断列車事故/ 自由の女神/ ロマンス/ 日清戦争/ 米西戦争/ 日露戦争)/ 第2部(海軍大臣/ シーメンス(ジーメンス)事件/ 朝鮮総督/ ジュネーブ会議/ 五・一五事件/ スローモー内閣/ 帝人事件/ 雪降りやまず)

【著者紹介】
松田十刻 : 昭和30年(1955)、岩手県盛岡市に生まれる。立教大学文学部卒業。盛岡タイムス、岩手日日新聞社で記者をしたのち、フリーランス(編集・ライター)などを経て、執筆活動に入る。第2回新潮ミステリー倶楽部賞(1997年)で「チャップリン謀殺指令」が最終候補。同作品が出版されるに際し、作家島田荘司氏より筆名を授かる。歴史ミステリー、戦記、時代小説、評伝と多彩なジャンルで作品を発表している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • yamatoshiuruhashi さん

    帝国海軍草創期の正規士官養成のコース(兵学校6期)から優秀な軍人として期ぜずして帝国海軍建設者の一人となり、山本権兵衛などを支え明治天皇から昭和天皇まで侍従として仕えた提督、斎藤實の伝記。提督と言いながら観戦勤務はほとんどなく中尉時代から米国勤務など海外、あるいは軍政畑勤務が長い軍人である。この人をしっかりと受け止める成熟した社会であれば日本の歴史もだいぶ違っていただろうと思える。本それ自体としては岩手県出身の著者が岩手人を書いたために思い込みも強すぎて社会情勢とのバランスは公平を欠いたきらいがある。

  • 鐵太郎 さん

    斎藤實とは、太平洋戦争に至る歪んでいった日本の政治情勢の中にあって、右傾化・軍国化に抗った数少ない政治家・軍人の一人。軍政家として知られ、海軍次官、艦政本部長、海軍大臣を歴任。シーメンス事件により海軍大将で予備役となったのち朝鮮総督に推挙されて現役に戻り、文化政策を行った。条約派に属する良識的・国際的な穏健派の領袖として知られ、5.15事件のあと総理大臣となるが帝人事件で辞職。内大臣として天皇近くに仕えていたため2.26事件で暗殺される。斎藤なかりせば、日本の破滅はどのくらい早まっただろうか。

  • keint さん

    二・二六事件で襲撃された斉藤實の伝記。幼少時代から最期までを書いているため、二・二六事件については最期に述べられる事となっているが、斎藤實内閣の閣僚の不祥事に関する動揺や海軍軍人として国際的に活躍していたことなど初めて知ったことも多かった。

  • フンフン さん

    斎藤実の伝記。海軍大臣、朝鮮総督、総理大臣を歴任し、内大臣となって2ヶ月で二・二六事件の凶弾に斃れた。薩長藩閥の枠外にあって異例の出世というべきだが、実際、明晰な頭脳、危機に際して動じない胆力、清廉潔白な私生活、利害の錯綜する国際・国内政治で根回しをして妥協をまとめあげていく政治力、真にすぐれた政治家であったことがわかる。昭和前期の歴史とは、優れた人物を統治中枢からテロと左遷と言論封殺で丹念に取り除いていく過程なのだが、これほど優れた人材が生き残ることは不可能だったろう。

  • Eiki Natori さん

    人格者とはどの時代にもいて、周囲から押し上げられたり、上からも絶大な信頼を受け、本人が断ってもその立場に置かれることがある。一方で、そういう人に限り、時が経つとあまり評価されなかったり、むしろそれを倒した人が英雄に祀られたりすることも多々ある。 斎藤實という人はまさにそのような人物ではないか。この人は明治天皇からも昭和天皇からも信頼されてきた人物であり、外交に強く、経済政策も積極財政派なリベラルだった。 二・二六事件で昭和天皇が激怒したのは、信頼した斎藤を殺害されたことに対する怒りでは無いだろうか。

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松田十刻

昭和30年(1955)、岩手県盛岡市に生まれる。立教大学文学部卒業。盛岡タイムス、岩手日日新聞社で記者をしたのち、フリーランス(編集・ライター)などを経て、執筆活動に入る。第2回新潮ミステリー倶楽部賞(1997年)で「チャップリン謀殺指令」が最終候補。同作品が出版されるに際し、作家島田荘司氏より筆名

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