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海をこえて 人の移動をめぐる物語

松村圭一郎

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784065407370
ISBN 10 : 4065407370
Format
Books
Publisher
Release Date
September/2025
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

現代の世界で「人の移動」という問題は、ますます重大な意味をもつようになっています。政治的、経済的、他にもさまざまな要因から、人々は時に大きなリスクも伴いながら国境をこえつづけています。
「私にとって「移動」という問いは、学問的な探究という枠に収まるものではない。むしろ、互いの人生に巻き込み、巻き込まれた者として課された「宿題」なのだ。」と著者・松村圭一郎さんは語ります。長年このテーマに関わってきた人類学者としてどう考え、語るか、本書はその試みの書です。
松村さんが調査を行ってきたのは、1980年代から通い続けてきたエチオピアの村です。2000年代、女性たちが中東に出稼ぎに行くようになったことをきっかけに、出稼ぎ先を訪ねたり村に戻ってきたときに話を聞くようになりました。
 松村さんは「はじめに」でこのように述べています。
「海をこえて国境にたどり着いた「外国人」は、つねに国家から違法か合法かを審査される。有用な労働力なのか、救済する十分な理由のある亡国の民なのか。国境でその存在理由を査定される。「移民」や「難民」に関する「人の移動」をめぐる研究の多くも、この国民国家の視線を暗に前提にしている」
 しかし、海外出稼ぎに行く女性たちの実感は、そうした国家の眼差しではとらえられないのではないか。閉鎖的な村を出て「海外で稼いで生活を変えていく」選択肢を知った女性たちにとってのリアリティや、人びとを移動へと駆り立てる思いから「人の移動」について考えたい。そのような立場から、著者はこのテーマに目を向けます。
本書の構成は、著者の経験や「移民」をめぐる最新の政治、経済、人類学の議論を紹介していく展開の合間に、出稼ぎに出た女性たちへの調査の記録をはさんだユニークなものになっています。
著者・松村さんは最終的に次のような結論に至ります。
「人が自由に移動することは、自律的な生をもたらし、異なる社会のあり方を試し、社会を変化させる土台になりうる。だとしたら、海をこえる人の移動は人類にとって「問題」というよりも、むしろ「可能性」ですらある」。
著者の思いを込めたエッセイであり、同時に「人の移動」を大きなスケールで捉え直す画期的な一冊です。

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Book Meter Reviews

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  • Go Extreme

    移動と夢 人類学的思考 海外出稼ぎ 異郷での工夫 教会を中心とした生活 共同体の形成 主体的な人生選択 困難の中での支え合い 待つ姿勢 予断を排除する 現場から生まれる問い 丁寧な記録 不確実性との向き合い 相反する経験 揺らぎ続ける理解 移動と定住のせめぎ合い 社会の根本的変化 政治問題から可能性へ 個別性の重要性 制度的なまなざしを超える 理論パートとフィールドノート 声を聞き続ける 夢が動かす社会 対話の開始地点

  • ぼくバジル

    国境を超える人の移動を国家問題としてではなく「人」を主体として考察している。「移動」は問題ではなく可能性だという結論に納得。エチオピア女性の移動の現実と理論が交互にあって読みやすい。国境も国家もよく変わるけれど「わたし」の存在を証明するのは国家。国家の恣意的な基準によって、市民にも不法移民にも合法移住にもなる。確かになんか解せない。そもそも人は元来移動する。「逃走の権利」があってもいい。「移動する自由」「従わない自由」「異なる社会的現実を往来する自由」を行使できないと閉塞感が生じてしまう。

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