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所有と分配の人類学 エチオピア農村社会から私的所有を問う ちくま学芸文庫

松村圭一郎

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784480512000
ISBN 10 : 4480512004
Format
Books
Publisher
Release Date
November/2023
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

これは「わたしのもの」ではなかったのだろうか。調査地でのある出来事から、私的所有の感覚がゆらぐ経験をした著者は、所有への違和感を抱きつつエチオピアの農村へ向かう。畑を耕す牛、畑になる穀物、台所道具、生活する人々など、ミクロなものに目を向けて調査していくなかで見えてきたものとは?作物は頻繁に分配され、持てる人から貧しい人に与えられる。土地を所有することと利用することの関係。国家による「土地」のコントロール。様々な角度から私的所有をめぐる謎を掘り下げていく。気鋭の文化人類学者による鮮烈なデビュー作。

目次 : 序論(所有と分配の人類学/ 多民族化する農村社会)/ 第1部 富をめぐる攻防(土地から生み出される富のゆくえ/ 富を動かす「おそれ」の力/ 分配の相互行為/ 所有と分配の力学)/ 第2部 行為としての所有(土地の「利用」が「所有」をつくる/ 選ばれる分配関係/ せめぎあう所有と分配)/ 第3部 歴史が生み出す場の力(国家の所有と対峙する/ 国家の記憶と空間の再構築/ 歴史の力)/ 結論(所有を支える力学)

【著者紹介】
松村圭一郎 : 1975年熊本生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。岡山大学文学部准教授。専門は文化人類学。所有と分配、海外出稼ぎ、市場と国家の関係などについて研究。著書に『くらしのアナキズム』『小さき者たちの』『うしろめたさの人類学』(第72回毎日出版文化賞特別賞、いずれもミシマ社)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • 逆丸カツハ

    エチオピアのある村でものが周囲との関係性によって分配の対象になったり、独占的な富になったりするその動態的な様子を記述していてなかなかにおもしろかった。歴史が近代以前に完全に巻き戻ることはないだろうが、資本主義からコモンの再生が叫ばれる中、ものを所有するという概念へのオルタナティブの可能性を示している。どのような社会のあり方があるかはわからないが、所有の思想は実体の思想に近く、それへのオルタナティブはものとの関わりを見る関係論的な思想になるのではないだろうか。

  • Nさん

    2023年文庫化(初出は2008年)。エチオピアの農村社会でのフィールドワーク。我々は「人類学」と聞くと、ついつい、現代社会が失ったノスタルジーや、未だ見ぬユートピアを想像してしまったりしないだろうか?ハッキリ言うと、本書のフィールドにはそのような世界はない。そこには、貨幣を媒介しないやり取りと、貨幣を媒介とするやり取りが併存しているが、その一つ一つが実に人間臭い。所有や分配に関する正当性=「言い分」をミクロ(家族)から、メゾ(村・町)、マクロ(国家)レベルに分けて調査・分析を行った重厚な一冊。(→続く)

  • Yonowaaru

    ここまで濃ゆい学書は、さすがに久しぶりだな。アナルキズムの文脈、働き方の文脈など今の生活に近い著作も多いようだが、鷲田先生の言う通りこちらこそが原点でしょう。人類学が他者の文明を見て、自分たちの豪さを謳うのではなく、むしろ自分たちの習慣や文化のかゆいところに届くツールとしてはかなり有益。そして一つだけの原理頼りすぎない、という通底するテーマもよい。また読もう。

  • hajimemasite

    今のところ今年読んだ本で一番面白かったかな。解釈の部分はともかく、フィールドワークの事例集は示唆としても、違う文化圏の違う感性のエピソード集としてもすごい面白かった。ただ、表題に関する部分はなんというか分析も解釈も結論もやや「そうなのかな?」と思う部分はなきにしもあらず?

  • クロスリバーゴリラ

    日本に住んでいれば所有権などと聞くとどうしても法律に結びつけたくなる。著者のフィールドワーク地であるエチオピアのとある村ではそんな一本槍では通じない。カードゲームのように複数枚の手札の中からふさわしい一手で所有を主張していく。という認識です。

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