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教育格差 階層・地域・学歴 ちくま新書

松岡亮二

User Review :5.0
(1)

Product Details

ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784480072375
ISBN 10 : 4480072373
Format
Books
Publisher
Release Date
July/2019
Japan

Content Description

出身家庭と地域という本人にはどうしようもない初期条件によって子供の最終学歴は異なり、それは収入・職業・健康など様々な格差の基盤となる。つまり日本は、「生まれ」で人生の選択肢・可能性が大きく制限される「緩やかな身分社会」なのだ。本書は、戦後から現在までの動向、就学前〜高校までの各教育段階、国際比較と、教育格差の実態を圧倒的なデータ量で検証。その上で、すべての人が自分の可能性を活かせる社会をつくるために、採るべき現実的な対策を提案する。

目次 : 第1章 終わらない教育格差/ 第2章 幼児教育―目に見えにくい格差のはじまり/ 第3章 小学校―不十分な格差縮小機能/ 第4章 中学校―「選抜」前夜の教育格差/ 第5章 高校―間接的に「生まれ」で隔離する制度/ 第6章 凡庸な教育格差社会―国際比較で浮かび上がる日本の特徴/ 第7章 わたしたちはどのような社会を生きたいのか

【著者紹介】
松岡亮二 : ハワイ州立大学マノア校教育学部博士課程教育政策学専攻修了。博士(教育学)。東北大学大学院COEフェロー(研究員)、統計数理研究所特任研究員、早稲田大学助教を経て、同大学准教授。国内外の学術誌に20編の査読付き論文を発表。日本教育社会学会・国際活動奨励賞(2015年度)、早稲田大学ティーチングアワード(2015年度春学期)、東京大学社会科学研究所附属社会調査データアーカイブ研究センター優秀論文賞(2018年度)を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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父母が大学を卒業している家の子は、頭がい...

投稿日:2021/02/25 (木)

父母が大学を卒業している家の子は、頭がいいから大学に行ける、といった思い込みを持つ人がいる。遺伝を重視する考えだ。しかし、本当にそうなのだろうか。生まれつき、能力にそんなに差があるのだろうか。本書が扱うのは、能力とは違った“差”が教育、特に大学進学などに与えている影響について。しかも、経験論とか限られた人数への聞き取りではなく、多くの統計データを読み解くことで、その実態に迫ろうというもの。 両親の学歴、家庭にある本の数、旅行や博物館・美術館に出かける回数などが俎上に乗せられる。 単純に書けば、両親が大卒であれば、それが当たり前として子どもは育っていく。家に本があれば、手に取る機会が増え、読解力が上がる。外からの刺激に子ども時代に多く触れることで、好奇心が刺激される。それらがそれぞれの子どもの基礎となっていく。虐待の連鎖は、“負”としてそれが現れたものだろう。 本書は地域差についてはそれほど触れていないが、学生が街中を闊歩し、書店に溢れる姿を見て育った子どもと駅前の商店街がシャッター通りになってしまったところで育った子どもの“夢”や“憧れ”に差が出るのは当然で、それと同じことが家庭でも起きているということだ。 問題なのは、教育を受ければ能力を発揮することが可能な優秀な人材が、“教育格差”のために埋もれてしまうことなのだ。そういった意味でも、“格差”が減っていくことを望まずにはいられない。

ねも さん | 兵庫県 | 不明

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • 遥かなる想い

    2020年新書大賞第3位。 日本に潜在する出身家庭と地域による教育格差の実態を描いた作品である。 「緩やかな身分社会」である日本 … 少子高齢化・高学歴化の流れは知っていても、その実態をきちんと提示してくれているのが、面白い。やや多すぎるデータ、個性が見えにくい本だが、知ってるつもりの内容を丁寧に 描いた本だった。

  • rico

    格差はずっと存在し、今はそれが拡大しているということを、淡々と統計データを積み重ね実証している。ほぼ教育社会学の論文。主として大卒・三大都市圏在住という指標を基軸に様々な年代で属性を分析、「うまれ」が絶対的な要因としてその後の人生を左右するという事実を導く。例えば学力、蔵書数、体験。「ふつう が違う」肯くしかない。根拠もなく半ば思い込みで教育政策が決まる現実に、著者は警鐘を鳴らす。教育はやり直しがきかない。だからこそ、事実を押さえた評価に基づいて検討して欲しい。「ゆとり」に振り回された母の切なる願いです。

  • ねこ

    論文の様な本書の書き方。豊富なグラフや表の記載。巻末の註記と引用文献の膨大さ。緻密に分析し、的確に言語化されている。そして、「おわりに」で書かれているが筆者は現状に苦悩し、学術的雪かきをしていると肩を竦めている。それでも新しい事に取り組み、より良い未来を探る。正解は無く、それでも「機会の平等」に近づけて行く姿勢は尊敬以外に有りません。…小学生の頃、私の家には1冊の本も無く、相対的貧困でした。母は16歳で結婚し私を含め3人の子を育てました。それでも現状満足できる生活を送れています。教育と愛…共に必要ですね。

  • パトラッシュ

    教育格差の存在はわかっていたが頭の出来具合による個人的問題と思ってきた。しかし本書は地域や階層や親の学歴など本人の責任ではない「生まれ」による格差の存在を膨大なデータを駆使して明らかにする。文部科学省も日教組もマスコミも知っていながら口に噤むのは格差の実在を認めるのが怖いのか既に匙を投げているのか。著者は目をそむけるのをやめて教育制度の「都合の悪い真実」を直視し、広くデータ収集を進めると共に大学の教職課程で格差問題を学ぶよう提案する。従来の教育論議や実施された改革が失敗続きだった理由に説得力がありすぎる。

  • 佐島楓

    両親の学歴、教育環境、居住地域によって子どもの学歴がある程度決まってしまうという指摘がなされている。高学歴なほど高収入で、格差は継承されていくという危惧も理解できる。問題はやり直しが困難な今日の日本社会。20代前半ですべてが決定してしまう。それに今後は、終身雇用制の崩壊や、不景気による高学歴ワーキングプアもいっそう増えることが予想されるため、問題が複雑化されるのではないかと個人的には非常に悲観的に見ている。付け焼刃な対策ではどうしようもない。

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