螢/納屋を焼く/その他の短編 新潮文庫 改版

村上春樹

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784101001333
ISBN 10 : 4101001332
フォーマット
出版社
発行年月
2010年04月
日本
追加情報
:
16cm,202p

商品説明

秋が終り冷たい風が吹くようになると、彼女は時々僕の腕に体を寄せた。ダッフル・コートの厚い布地をとおして、僕は彼女の息づかいを感じとることができた。でも、それだけだった。彼女の求めているのは僕の腕ではなく、誰かの腕だった。僕の温もりではなく、誰かの温もりだった……。もう戻っては来ないあの時の、まなざし、語らい、想い、そして痛み。リリックな七つの短編。

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読書メーターレビュー

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  • ヴェネツィア さん

    『蛍』は、予備知識なしに読み始めたものだから、最初はデジャ・ヴュかと錯覚した。『ノルウェイの森』だったのだ。しかし、この作品は『蛍』のままでも、十分に味わい深いし、エンディングの蛍のシーンは、はかなくて美しい。これに続く『納屋を焼く』は、まさしく「リアリティは細部に宿る」という感じだ。たとえば、「彼」とマリファナを吸う場面で、「僕」が「学芸会の舞台のざわめきとか背景のボール紙に塗られた絵の具の匂い」を思い出すところなど。それとは逆に、こうした細部のリアリティがグロテスクに展開するのが『踊る小人』だ。

  • おしゃべりメガネ さん

    時を遡ること今からおよそ30年も前に刊行された本作は、ご存じの方も決して少なくはないと思われるあの『ノルウェイの森』の原点?ともいうべき短編「螢」が収められています。30年前も今も村上春樹さんはかわることなく、ただ読んでもよくわからない作品を書き続けていることが改めて実感できました。後半に読み進めれば進めるほど「???」な世界が展開され、後半はひたすら文字を追うことに必死になっていました。しかし「納屋を焼く」や「踊る小人」は比較的、わかりやすい村上ワールドを楽しめましたが、やっぱり難解かつ不思議でした。

  • ケンイチミズバ さん

    亡くなった親友が自分の中にいることに気づいた。彼女が今も愛するのは自分でなく死んだ親友だった。愛することが不毛で残酷なストーリーはもはやだれもが知るノルウェーの森。彼女にとって自分は親友の代用品でしかない。彼女の手で慰められるシーンのいたたまれなさは映画でも痛かった。納屋を焼くとは呪文なの?告白されたのに実行されないから、ならば自分が火をつけてしまおうかとすら。村上春樹らしい、らしさが凝縮された不思議な世界がいいな。納屋のある場所を地図上に印し見て回るシーンはポール・オースターのゴーストを彷彿させました。

  • 優希 さん

    日常の喪失をリリカルに描いているなと思いました。『蛍」は『ノルウェイの森』の原型となっているだけに興味深かったです。戻ることのない思い出の中からすくい取った眼差しや想いが染み渡るような短編集。懐かしさが包み込む雰囲気が好きだと感じました。

  • テディ さん

    ノルウェイの森の原型となった「蛍」、幻想の世界を描いた「納屋を焼く」、象工場で働く青年の体に森で出会った踊りの天才の小人に入られ、最後は、逃亡を余儀なくされる「踊る小人」、耳が悪い「いとこ」と病院へ同行し、過去の友人と彼女と過ごした場面を思い起こす。何でもない日常から奇異な世界観を膨らます「めくらやなぎと眠る女」、ドイツでの世界を描いた3つの短編。これら村上さんの初期短編集は、最近の作品の基礎になったような印象を受けます。いずれにせよ「現実」と「空想」を行き来する村上ワールドは、現在でも健在と思います。

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村上春樹

1949(昭和24)年、京都府生れ。早稲田大学文学部卒業。 1979年、『風の歌を聴け』でデビューを飾り、群像新人文学賞受賞。

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