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翼 李箱作品集 古典新訳文庫

李箱

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784334101299
ISBN 10 : 4334101291
Format
Books
Publisher
Release Date
November/2023
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

陽の差さない部屋で怠惰を愛する「僕」は、隣室で妻が「来客」からもらうお金を分け与えられて……表題作「翼」ほか、近代化・植民地化に見舞われる朝鮮半島で新しい文学を求めたトップランナーの歓喜と苦闘の証たる小説、詩、随筆等を収録。

【著者紹介】
李箱 : 1910‐1937。韓国の詩人・小説家。日韓併合直後の京城(ソウル)に生まれる。朝鮮総督府勤めの傍ら、美術と文筆において創作活動を行う。1933年に総督府を辞職したあとは、喫茶店の経営などを行いながら創作を続け、1936年に小説「翼」が好評を得る。同年10月、京城を離れ、東京の神保町に住み始める。1937年2月に神田のおでん店にて飲んでいたところを警察に見咎められ逮捕され、ひと月後に健康状態悪化のため保釈されるも、同年4月に死去。その後、李箱の作品は、朝鮮戦争が休戦を迎えたあとの虚無的な世相のなかで熱狂的な人気を獲得し、現在、韓国でもっとも権威のある文学賞には李箱の名が冠されている

斎藤真理子 : 1960年、新潟市生まれ。翻訳者。2015年、共訳書パク・ミンギュ『カステラ』が第一回日本翻訳大賞受賞。2020年、訳書チョ・ナムジュ他『ヒョンナムオッパへ』で第18回韓国文学翻訳大賞(韓国文学翻訳院主催)受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • 中玉ケビン砂糖

    【節目の1000冊】「朝鮮文学(韓国文学)」というものを定義しにくいのはおそらく、その「地政学的側面での危うさ」と「アイデンティティとして拠って立つべき『言語』そのものの危うさ(だった)」と言っても差し支えないだろう。半島の歴史とはすなわち侵略とその攻防の歴史、薄氷を踏むかのような膠着と政治的緊張の歴史でもあるからだ。古くは漢語、倭語との混淆を経て植民統治下での帝国主義的同化政策、そして怒濤の勢いで流れこむ西洋近代的「モダン」感覚、やがてはハングルへの回帰運動……というように、

  • かふ

    李箱という名前から安部公房の『箱男』を連想する。『東京』を読むと幽体離脱した「箱男」が李箱を観察しているようにも思える。詩は難解だけど数字が鏡に写ったような最後の『烏瞰図』という作品は、〔日本語詩〕線に関する覚書1のコピーなのだろうか?その題名からゴッホの麦畑を連想してしまう。『翼』はヒモ小説なのだが、その後の〔小説〕『蜘蛛、豚に会う』が解題のようで興味深い。―が蜘蛛の糸のようで―相場師の男が女を囲っているのだが、豚というのは獲物の男たちで、その性交を見てしまうことで起きる感情なんだろうか。

  • あじ

    銀ブラしていた事が随筆から知れた上に、トッケビが登場する穏やかな童話まで読めるとは。その一方で時代の鬱屈さを内包する短編群の、萎縮した“翼”の石膏化と垣間見える若さの持て余しに文学の真髄を見た。李箱氏は日本統治時代の初年に生を受け、開放を見届ける事なく27歳でこの世を去った。 ◆日本に芥川賞あれば、韓国に李箱文学賞あり。◆併せて読むならアンソロジーエッセイ【僕は李箱から文学を学んだ】がお薦めhttps://bookmeter.com/books/17030349

  • CCC

    青空文庫にある詩が前衛的すぎて、理解はできなかったけれどインパクトを受けて気になって手を出した。小説は存外まともで、シュールな要素もあるが私小説として読めた。ただ理解できるできないどちらにせよ理解したいと思わせる力があって、次にどんな文章がくるか、という期待を最後まで持って読めた。

  • 二人娘の父

    難解でありながらも、多くの人びとに愛され研究され続けている作家・李箱(イ・サン、変換されない)。確かに難解だが、著者の生きた時代を訳者解説により学ぶことで、その奥行きと背景の理解の手がかりを得ることができる。日本で亡くなったという共通点がある尹東柱とも、また異なるところも興味深い。驚いたのは、結婚相手(ただし結婚生活は極めて短い)が後の金郷岸(有名な画家・金煥基の妻)!最近、李仲燮の事を知ったこともあり、その繋がりが薄い線から面になっていく感覚を覚えた。何より訳者・斎藤真理子さんの存在の大きさに感服した。

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