多神教と一神教 古代地中海世界の宗教ドラマ 岩波新書

本村凌二

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784004309673
ISBN 10 : 4004309670
フォーマット
出版社
発行年月
2005年09月
日本
追加情報
:
18cm,221,9p

内容詳細

メソポタミア、エジプト、ギリシア、パレスチナ、ローマ…。古代地中海世界に次々と興亡を繰り返した多神教社会の中で、一にして力ある神はどのように形づくられたか。壮大なスケールで描く宗教的心性の歴史。

【著者紹介】
本村凌二 : 1947年熊本県生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。東京大学教授。専攻、古代ローマ史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • saga さん

    初めに多くの神々があり。そして、虐げられた民により一神教が生まれた。しかし、多神教の国・日本に生まれ育った自分に、一神教の本質が理解できるかは疑問がある。それでも世界を理解するには、宗教を知ることが必要だと思う。文字が、神々のことを記録するために生まれ、表音文字アルファベットが普及することが、神と人との距離を遠ざけてしまったようだ。多神教の中の至高神、一神教の中の聖者崇拝と、宗教とは真に複雑なのだな〜

  • ユウユウ さん

    なぜ多神教があり、一神教が生まれたのか。それも地中海周辺という限られた地域で限られた時期に。副題にある“宗教ドラマ”がまさにと思える展開。個々のエピソードも興味深かった。もっとじっくり読んだり、参考文献に触れたりしたら、より楽しめそうだ。

  • おおにし さん

    地中海の古代人の心には命令を下す「神」の部分と、それに従う「人間」の2つの部分に分かれていたという。これを〈二分心〉説といい、脳科学的には「神」が右脳、「人間」が左脳に当たる。しかし古代人が文字を獲得して抽象概念を持つようになると今まで聞こえていた神の声が届かなくなった。世界の激動に巻き込まれた人々は、声が聞こえなくなってしまった神への救済を求め、信仰を深めていくなかで一神教が誕生したという。〈二分心〉説はとても興味深い。しかしインドや日本などでは〈二分心〉説は当てはまらなかった。なぜなのだろうか。

  • びっぐすとん さん

    図書館本。中々面白い。現世利益のシュメール人、来世信仰のエジプト人、現世も来世もさして期待してないギリシア人。差別され抑圧された人々は絶対的な神、一神教を信仰しやすい。多神教の神は所定の祭祀と犠牲を奉じさえすれば人間の所業に干渉しないが、一神教の神は所業どころか人間の想念にすら干渉する。アルファベットの開発と時を同じくして人々が神の声が聞こえなくなってしまうことが、一神教の広がる原因ではないかと著者は言うが、アルファベットの発明がなぜ原因なのかが読んでもわからない、地球上の全てには当てはまらない気がする。

  • サアベドラ さん

    古代地中海・オリエント宗教史断章。著者は東大のローマ史家。古代の地中海とオリエントの様々な宗教(メソポタミア、エジプト、ギリシアなど)を紹介しつつ、そこに紀元前1千年紀に一神教が現れた背景を探る。前者はともかく後者にかんしてはまともに論じていたら新書一冊では到底足りないテーマなので、著者の考え(大規模な社会変動や危機とアルファベットの発明が一神教の誕生に大きな影響を与えた)を示唆するにとどめている。どの宗教にも危機による変化や文字化による変質という局面はあると思うので、著者の主張にはあまり同意できず。

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人物・団体紹介

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本村凌二

1947年生まれ。一橋大学社会学部卒業、東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。博士(文学・西洋史学)。東京大学大学院総合文化研究科・教養学部教授、早稲田大学国際教養学部特任教授を経て、東京大学名誉教授。おもな著書に『薄闇のローマ世界―嬰児遺棄と奴隷制』(東京大学出版会、サントリー学芸賞)

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