Books

地中海世界の歴史7 平和と繁栄の宿命 パクス・ローマーナ 講談社選書メチエ

本村凌二

Product Details

ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784065404973
ISBN 10 : 4065404975
Format
Books
Publisher
Release Date
August/2025
Japan

Content Description

一人の歴史家の視点で古代地中海文明の4000年を描く全8巻シリーズ、好評第7巻。講談社選書メチエ創刊30周年特別企画。
暴君ネロの没後、混乱を収拾して帝位についたウェスパシアヌスは、平凡な家柄の武骨な軍人だったが、元老院とたくみに折り合う節約家で、権力も国家財政も安定を取り戻し、ローマの巨大闘技場コロッセオの建設にも着手した。しかし息子のドミティアヌス帝は恐怖政治の果てに暗殺され、悪帝の評価を残す。
次のネルウァ帝に始まる80年こそ、18世紀の歴史家・ギボンが「人類至福の時代」と称賛した「五賢帝時代」である。2人目のトラヤヌス帝は帝国史上最大の版図を実現し、3人目のハドリアヌス帝はブリテン島からイベリア半島、アフリカ、シリアまで帝国内を旅して皇帝の威光を示した。しかし、5人目のマルクス・アウレリウス帝は『自省録』(講談社学術文庫)を著した「哲人皇帝」として知られるが、治世の最後に大きな過ちをおかしてしまう。
また、「ローマの平和(パクス・ローマーナ)」の陰には不安な薄闇が広がっていた。人々は「パンとサーカス」に浮かれながらも漠然とした罪障感にとらわれ、ヘレニズムの波のなかに生まれたイシス信仰やミトラス教、そしてキリスト教などの宗教に救済を願い始める。
さらに、プリニウスの『博物誌』の世界、奴隷制社会の「捨て子問題」、スペインのローマ遺跡探訪など、爛熟期のローマ社会を多角的に描く。


はじめに:あるイギリス人がみたローマ帝国
第一章 新興家系の皇帝たち
1 気取らない男、ウェスパシアヌス
2 プリニウス『博物誌』の視野
3 皇帝となった兄弟の明暗
4 奴隷と捨て子の社会史
第二章 比類なき賢帝の最大の過ち
1 「至福の時代」の五人
2 哲人の実子の乱行
3 大浴場と愚帝の時代
第三章 薄闇に生きる人々の願望
1 「パンとサーカス」の恩恵と栄誉
2 ポンペイを彩る神々
3 ローマ人とユダヤ人の信仰
4 キリスト教の登場
第四章 「旅する皇帝」と辺境のローマ
1 「属州」とは何か
2 ガリアからブリタニアへ
3 属州ヒスパニアの歴史
4 スペインのローマ遺跡を歩く
5 シリア、ギリシア、エジプトへ
おわりに:ローマ史とアメリカ史の交差点
参考文献
索引


【著者紹介】
本村凌二 : 1947年生まれ。一橋大学社会学部卒業、東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。博士(文学・西洋史学)。東京大学大学院総合文化研究科・教養学部教授、早稲田大学国際教養学部特任教授を経て、東京大学名誉教授。おもな著書に『薄闇のローマ世界―嬰児遺棄と奴隷制』(東京大学出版会、サントリー学芸賞)、『馬の世界史』(中公文庫、JRA賞馬事文化賞)ほかがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

Customer Reviews

Comprehensive Evaluation

☆
☆
☆
☆
☆

0.0

★
★
★
★
★
 
0
★
★
★
★
☆
 
0
★
★
★
☆
☆
 
0
★
★
☆
☆
☆
 
0
★
☆
☆
☆
☆
 
0

Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

powered by

  • まえぞう

    第7巻では、ネロ帝の死後、ウェスパニアヌス帝を経て、五賢帝の時代が語られます。「人類が最も幸福だった時代」とされますが、中でもその治世に歴史がないとまで言われたアントニヌス・ピウス帝の時代が、前漢の文帝、景帝と重なるように思えます。人の中に神々と人間が同居していた時代から、神々が離れていく話しと、帝国内を旅し続けたハドリアヌ帝の足跡を追うように各地を紹介する最終章がユニークでした。

  • sayan

    ローマの宗教はレリギオ(慎み)を軸に共同体安泰の統治技法、国家祭祀を軍事に先立つ安全保障装置とし公共秩序を担った。本書が示す五賢帝期の安定は力による抑止ではない。むしろ2025年のNoKings抗議に呼応する。複数形 Kingsは特定指導者ではなく公共の語りを独占する支配様式の拒否だ。他方個人の権利・自由と社会の道徳秩序は福音派を含む支持層で公共の再定義をめぐり争いが続く。SNSが国家祭祀に代わり公共儀礼の舞台機能を持つ。ローマと現代に通底する核心は持続可能な生きる安全の物語の形式を問う・選び直す能力だ。

  • ジュンジュン

    パックスロマーナを三つの側面から。まずは王道の政治史、歴代皇帝を追いかける。次に本シリーズのテーマである”心性”、その時代の雰囲気を伝える。最後に辺境(属州)を、ハドリアヌスの視察旅行の足跡を辿りながら巡る。驚きはハドリアヌスの旅。すごい距離と期間にびっくり!

  • (ま)

    ネロの死後から五賢帝時代を行ったり来たり 感傷的でアメリカンなパックスロマーナ内輪話エッセーだな...

レビューをもっと見る

(外部サイト)に移動します

Recommend Items