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アイロニーはなぜ伝わるのか? 光文社新書

木原善彦

Product Details

ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784334044541
ISBN 10 : 4334044549
Format
Books
Publisher
Release Date
January/2020
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

ある晴れた休日、「今日はお出かけ日和だ」と言って意気揚々とAさんが家族をつれてピクニックに出掛ける。ところが、急に天気が崩れて土砂降りになり、「ほんとに今日はお出かけ日和ね」と家族に言われてしまう。Aさんに対する非難のこもったこの発言がいわゆるアイロニー発話と呼ばれるものの典型とされる。この場合、「アイロニー」に「皮肉」という訳語を当ててもかまわないが、アイロニーは「皮肉」よりも幅広いカテゴリーの修辞的表現である。本書では、この「言いたいことの逆を言う」アイロニーがどうして相手に伝わるのかという問題を考える。現実を相対化するための、知的な「武器としてのアイロニー」の可能性も示す。

目次 : 第1章 言葉のアイロニー(アイロニーとは何か?/ 語用論的アイロニー論/ アイロニーのこだま理論/ ほのめかし理論/ 偽装理論)/ 第2章 アイロニーのメンタル・スペース構造(メンタル・スペース理論/ アイロニーの多様性を説明する/ アイロニーに隣接する修辞法/ シグニファイング・モンキー)/ 第3章 文学作品におけるアイロニー(アイロニーはちゃぶ台をかえす/ 哲学におけるアイロニー/ 結果が期待を裏切るとき/ アイロニーの意図、転倒する価値/ もつれるアイロニーと小説/ パロディー、パスティーシュ/ 虚構スペースで遊ぶということ)

【著者紹介】
木原善彦 : 1967年鳥取県生まれ。大阪大学大学院言語文化研究科教授。専門は現代英語圏文学。京都大学文学部卒業、同大学院文学研究科修士課程・博士後期課程修了。博士(文学)。2019年、ウィリアム・ギャディス『JR』(国書刊行会)で第五回日本翻訳大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • 中玉ケビン砂糖

    実に有用な一冊だと思いますね(さて、アイロニーか否か)。というくだらん文言は置いといて、「何故新書レベルで出したし(笑)」というくらいの逸品。著者はピンチョン研究を主として英米文学に通暁しているが、修辞においての高等テクとして突き詰めていけば相当な研究になりそうなものを、ごく平板な例で平易に概説している(おかげで肝心のピンチョン作品からの引用があまり生きてこないのがもどかしい)。確かに皮肉は文学的表現としては有用になる場合もあるが、

  • zirou1984

    ピンチョンやパワーズの翻訳で有名な著者による、メンタル・スペースという理論を基にしたアイロニー読解論。理論そのものへの理解は十分ではないが、アイロニーを現実とは異なる期待への言及、と説明する箇所は感覚的にも腑に落ちた。自身の願望を現実に投影させようとする視点からはアイロニーは生まれ得ない。願望が現実から零れ落ち、見放されてしまった場所からアイロニーは生じるのであり、所謂「お気持ち」を大事にしようとする現在のインタネットほどアイロニーと相性が悪いものはない。全くもって、楽しい世の中になってしまいましたね。

  • kasim

    軽い気持ちで手に取ったらしっぺ返しを食い、疲れた。アイロニーを概説するのではなく、題名通りの問題意識で認知言語学的アプローチを取る。従来アイロニーの説明にはこだま理論と偽装理論があるが、著者はメンタル・スペース理論を援用し、アイロニーは「現実」と心の中の「期待」との齟齬が生むと論じる。多様な実例もあって面白いのだけど、こんなに難しい術語を使わないと理論は語れないのか、とも思う。「心の中」と言わずにメンタル・スペース、現実と期待は「関連がある」でなく「アイロニー・コネクターがある」と表現。→

  • サアベドラ

    日常会話や文学作品に登場するアイロニーをメンタルスペースなどの文学理論で分析する新書。2020年刊。著者は英文学研究者。もっと言語学寄りかと思ったらガッツリ文学寄りの内容で、引用される文学作品も知らないものばかり(これは文学に苦手意識がある私の責任だが)で、なかなか入り込むことができなかった。文学寄りといっても難解な書き方はされていないので、レトリックとか修辞法に興味がある人は楽しめるのでは。

  • アルカリオン

    導入部は大変興味深かったが、徐々に「主観的論証」とでもいうべき筆致となっていく。「著者は間違いなく正しいことを言っていて、その内容を咀嚼する価値がある」という確信がないと真剣に読み進めるのがつらい。私はその確信を持てなかったので、徐々に関心を失い、流し読みとなっていった▼「アイロニーとはどういう構造をしており、どのようなはたらきをするのか」という点についての分析が繰り広げられていて、それなりには面白いのだが、「なぜ伝わるのか?」は結局読み取れなかった。

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