優しいサヨクのための嬉遊曲 新潮文庫

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784101187099
ISBN 10 : 4101187096
フォーマット
出版社
発行年月
2001年08月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
16cm,196p

内容詳細

千鳥姫彦はもどかしい。大学のサークルでのサヨク=左翼活動では成果があがらず、美少女みどりとの恋は思い通りに進まない。とまどうばかりの二十代初めの混沌とした日々を、果てしない悪ふざけでごまかしながら漂い続ける姫彦と友人たち。若く未熟であるがゆえに、周囲との距離感が測れず、臆病で自虐的にならざるをえない―、そんな孤独な魂たちが、きらめく言葉の宇宙に浮遊する。

【著者紹介】
島田雅彦 : 1961(昭和36)年、東京生れ。東京外国語大学ロシア語学科卒。在学中の’83年「優しいサヨクのための嬉遊曲」を発表し注目される。’84年『夢遊王国のための音楽』で野間文芸新人賞を、’92(平成4)年『彼岸先生』で泉鏡花文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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この作品ほど日本という国家を蔑み、戦後日...

投稿日:2021/04/17 (土)

この作品ほど日本という国家を蔑み、戦後日本をパロディ化している作品があるだろうか?  石原慎太郎さんが見たら憤慨するぞ、なんて思ってたら芥川賞を逃しているんですね、この作品は。なるほど。そういうことだったのか!  しかし、左翼を「サヨク」と表記するフットワークの軽さといい、涼しい顔してロシア語やロシア近代史や文学作品を多く引用してくる知的さを持つ作家は多分、島田さんくらいだろう。  

boggie999 さん | 神奈川県 | 不明

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読書メーターレビュー

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • HIRO1970 さん

    ⭐️⭐️⭐️82年の作品です。島田さんの著作は初めて読みました。22歳の時の作品だそうですが、何とも不思議な魅力のある作品でした。学生時代の若い頃にしか描けない表現にたくさん出逢えて、当時感じていた葛藤や悩み、想いを随分久し振りに想いかえす事が出来ました。人生では様々な選択をしながら進んで行きますが、モラトリアム最期のちょうどこの頃から自分で起爆点を敢えて造って、選択肢である可能性を増やす事が必要だとのんびりした男子でもようやく気がつくんですよね。女子はとうの昔から実践して研鑽を積んでいるもんです。

  • mm さん

    島田雅彦さんが大学在学中に書いた作品。若いという事は、お取り扱いが難しい。ブレーキとアクセルを両方踏みながら、間違えているかあるいは情報量の乏しい地図を持って、初めての国を、たまにはカッコつけてスピードオーバーで、あまり性能の良くない車を走らせているような。時に同乗してくる奴も、同じくらい馬鹿な奴が多いのであまり役に立たない。振り返ってみれば、よく死ななかったもんだとは思うけど、美しいエピソードより、恥ずかしい記憶の方が多い。昔の自分の方が今より馬鹿でなかったら、逆に今の自分が情けないから…とは思うけど。

  • ちぇけら さん

    完結しなかった青春。焦点までとどかなかった君の実像は永遠に結ばれないから、せめて、せめて不可思議にうごくその唇にチュッとできれば。ああ、ぼくのいとしい幻。触れられなかった身体が、君の匂いだけをたよりに細胞分裂してぼくを包みこむ。包みこまれる。あたたかい子宮のような安らぎ。君の唇も、君の乳房も、君の太ももも、ぼくのもの。そしてぼくは君のもので。ぼくを好きにしてほしくって。だけど君のVirginiaの源だけは濃い霧がかかって、ねえ君、ぼくが大好きな君は、手をのばせばのばすほど、あとかたもなく消えてなくなる。

  • 梟をめぐる読書 さん

    80年代、内面の「空白」を抱えながら作家としてデビューを果たした三人の若者がいた。高橋源一郎、村上春樹、そして島田雅彦だ。しかし解説でも触れられている通り、もっとも苛烈に、かつドラスティックに小説の人物から「内面」を剥ぎ取ってみせたのは、間違いなく島田雅彦だろう。「遅れてきた左翼青年」であるところの彼らはもはや、拠るべき思想や運動を何ももたない。孤独な夜をひとりで迎えることもなければ三島由紀夫の死に心を乱されることもないし、無闇にパスタを茹でたりもしない。だがその内面性の欠如は、もちろん他人事ではない。

  • ソングライン さん

    1980年代の始め、ソ連の反体制運動を研究するサークルに参加する大学生の主人公。そこには暴力、デモ、論争はなく、真面目に機関誌を発行し、健全な講習を企画します。政治的関心を持つ真面目なメンバーもいますが、ホストになり、奔放な生活を送る者もいます。主人公は、オーケストラでバイオリンを弾く女の子に夢中になり、やがてサークルを辞め、オーケストラに参加していきます。優しいサヨクはもはや左翼ではないのですが、憎めないのです。同世代の青春を懐かしく思い出す読書です。

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