江戸幕府と儒学者 林羅山・鵞峰・鳳岡三代の闘い 中公新書

揖斐高

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784121022738
ISBN 10 : 4121022734
フォーマット
出版社
発行年月
2014年06月
日本
追加情報
:
254p;18

内容詳細

林家は、朱子学者・林羅山を始祖とする江戸幕府に仕えた儒官の家柄である。大坂冬の陣の発端となった方広寺鐘銘事件から、史書『本朝通鑑』の編纂、湯島聖堂の創建、大学頭叙任、赤穂浪士討ち入り事件への対応、そして新井白石との対立まで―。初代羅山・二代鵞峰・三代鳳岡は、歴代将軍の寵用と冷遇に翻弄されながらも、江戸期朱子学の確立に奔走した。その林家三代一五〇年の闘いと事績を描く。

目次 : 方広寺鐘銘事件―林羅山評価の試金石/ 朱子学者羅山の誕生/ 御儒者の仕事/ 時代のなかの朱子学/ 読書家羅山と文学/ 二代林鵞峰―守成への意志/ 『本朝通鑑』の編纂/ 鵞峰の自画像「一能子伝」/ 林家塾の教育体制/ 三代林鳳岡の憂鬱/ 赤穂事件/ 新井白石との確執/ 林家凋落の萌し

【著者紹介】
揖斐高 : 1946(昭和21)年、福岡県生まれ。東京大学大学院文学研究科博士課程単位取得満期退学。博士(文学)。日本近世文学専攻。現在、成蹊大学文学部特任教授。『江戸詩歌論』(汲古書院、1998年)で第50回読売文学賞(研究・翻訳部門)受賞、『近世文学の境界』(岩波書店、2009年)で第18回やまなし文学賞・第32回角川源義賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • MUNEKAZ さん

    江戸幕府に儒者として仕えた林家の3代、羅山・鵞峰・鳳岡にスポットを当てた一冊。権力者に反発するのではなく、融和と妥協をもって協力し(ときには阿り)、自らの大望を貫こうとする姿は、勤め人にとっては多かれ少なかれ共感を呼ぶところではないだろうか。「歩く辞書」として雇われた羅山が幕府のお抱え儒者となり、一つの家門として成り上がる様子は面白いし、その地位を守るために苦闘する鵞峰・鳳岡らの姿も興味深い。ただそれはあくまで「人間ドラマ」の話であって、思想家としての彼らはやはり凡庸な存在ではないだろうかとも思ったり。

  • maki_kus さん

    朱子学者林羅山、鵞峰、鳳岡の三代が初期江戸幕府において、動揺しやすい政体の中で支配秩序形成とその道徳的な根拠にどのような役割を果たしていたのかを概説しておられます。幕末明治以降専ら幕府権力の走狗として見做されることが多かった彼らについて、未整理資料を丹念に拾い上げることで林家のその時々の必死な努力、現実への妥協、勉学と教育の軌跡といった新たな像を構築し提示しています。著者の精力と慧眼に感服します。欲を言えば生類憐みの諸令に対する朱子学の反応や、荻生徂徠や中江藤樹らからの反発等にも言及して頂きたかったです。

  • isao_key さん

    あとがきで著者は、同じ江戸時代の儒学の中でも、伊藤仁斎の故事楽屋荻生徂徠の古文辞学が「近代」への萌芽を含むものとして、思想史研究の場において相応に、あるいは過剰に評価されているのに対して、林家朱子学は凡庸さや蒙昧さが指摘されているだけだった。しかしその指摘は文献を分析して得られたのではなく、一方を持ち上げ、一方を貶めるという論法によるものであった。それに疑問を感じ、もう一度、林家について再論証を始めた、と記す。それ以来30年、膨大な資料、文献を読み解き、これまでのイメージを覆す新たな優れた評伝が完成した。

  • 中年サラリーマン さん

    林羅山が熱い男だということはよくわかった!

  • すのさん さん

    林家は思想家というより、学者や教育者としての面が強い。林家の立場を存続させていくために、徳川幕府に従う姿勢はその他の武家となんら変わりない。新井白石が林家にとって脅威であったことと、新井白石の明晰さは当代随一であったのだろうということもよくわかった。

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揖斐高

1946年生まれ。1976年東京大学大学院文学研究科博士課程修了。日本近世文学専攻。成蹊大学名誉教授。日本学士院会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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