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ザボンの花 講談社文芸文庫

庄野潤三

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784062902281
ISBN 10 : 4062902281
Format
Books
Publisher
Release Date
April/2014
Japan

Content Description

『ザボンの花』から庄野潤三独特の家庭小説が始まる。これは、著者にとって最初の長篇小説であり、麦畑の中の矢牧家は、彼がまさに創りつつある、新しい家庭であり、生活を愛し育んでいく本質と主張を、完成度の高い文学作品にしあげている。一生のうち、書くべき一番いい時に書かれ、やがて『静物』『夕べの雲』へ続く作品群の起点でもある。

【著者紹介】
庄野潤三 : 1921・2・9〜2009・9・21。小説家。大阪生まれ。大阪外国語学校在学中、チャールズ・ラムを愛読。九州帝国大学卒。1946年、島尾敏雄、三島由紀夫らと同人誌を発行。教員、会社員を経て小説家に。55年、「プールサイド小景」で芥川賞受賞。57年から1年間、米国オハイオ州ガンビアのケニオン大学で客員として過す。60年、『静物』『絵合せ』で野間文芸賞を受賞。芸術院会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • ちゃちゃ

    さわさわと稲穂を揺らして吹きゆく風、掃いたようなすじ雲、澄み渡る空。夏の残り香が漂う景色は見る者を切なくさせる。春夏秋冬、人間は自然の摂理に則って生かされている。日々の暮らしを家族と分かち合うことなくして、何を人生と言おう。昭和30年代、東京の近郊に暮らす矢牧家の春から夏の終わりまでの日常が、静かで飄々とした筆致で綴られた本作。行間に滲むユーモアや哀愁が、読む者の心をふわりと優しく包み込む。伸びやかに日々を楽しむ子どもたちの姿が愛おしい。ひとつの季節の終わりは、命を繋ぎゆく希望を含んでしみじみと美しい。

  • 森の三時

    昭和30年代、大阪から東京の郊外(この頃は東京と言えども隣の家まで畑を挟むというような田舎があったんですね)に引っ越してきた家族の日常の暮らしがつづられた、エピソード集のような展開です。このエピソードが本当に何でもないようなことばかりなのですが、今ではかえって貴重に思えるほど、ほのぼのとした幸福感を読者に与えます。この本はある程度人生経験を重ねた人、子ども時代を昭和で過ごした人にとって懐かしさや安らぎを感じさせてくれるように思いました。

  • Atsushi

    昭和30年代、東京郊外に暮らす若い夫婦と3人の子どもたち。春から夏の終わりまでの季節の移ろい。日々の暮らしや風景の描写が丁寧だ。麦畑の一本道を歩く兄妹の姿が目に浮かんだ。祖父から父へ、息子から孫へ、時は流れる。実家に帰省し遺品を前に亡父に思いを馳せるシーンが印象的だった。

  • こうすけ

    作者にとって、初めての長編ということで、各章ごと、わりと物語性があり、全体としてもまとまっている。わかりやすい小説、という感じ。この路線を突き進まず、ここからさらに物語性を削ぎ落としていったというのが、庄野潤三という作家の恐ろしいところであり、大きな魅力。ささやかな家族の日々が描れるが、一家の父である矢牧の父や兄の死が、小説の根底に潜んでいるように思われる。

  • shoko

    1956年発表。大阪から自然豊かな東京の郊外に越してきた矢牧一家の、子どもたちの日常を描く。しかし読み進めると、これは子どもたちを描きつつ、子を見守る大人たちの物語でもあるのだなと受け止め方が変わった。つまり、ジェンダーロールの規定が今よりも強固な時代に、悩みながらその役割を全うしようともがく等身大の大人の姿を見た気がした。大人としての責任、無邪気な子どもを羨ましく思う気持ち、そして若さは永遠ではなかったという気づきと世代交代の予感。勝手気ままに自分の人生を生きられない大人の哀しみがそっと描かれている。

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