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星のように離れて雨のように散った 文春文庫

Rio Shimamoto

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784167920951
ISBN 10 : 4167920956
Format
Books
Publisher
Release Date
September/2023
Japan

Content Description

小学生の頃に失踪した父をモデルにした創作小説と宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』を修士論文に選んだ私。賢治の未完の物語に導かれるように、私は押し込めていた過去の自分と向き合っていく。そして結婚を前提に同棲を望む恋人との関係に息苦しさを覚え始める―。迷いや痛みを抱えるすべての人に光射す傑作小説。

【著者紹介】
島本理生 : 1983年東京都生まれ。98年「ヨル」で『鳩よ!』掌編小説コンクール年間MVPを獲得。2003年「リトル・バイ・リトル」04年「生まれる森」06年「大きな熊が来る前に、おやすみ。」15年「夏の裁断」がそれぞれ芥川賞候補に。11年『アンダスタンド・メイビー』が直木賞候補になる。03年『リトル・バイ・リトル』で野間文芸新人賞、15年『Red』で第21回島清恋愛文学賞、18年『ファーストラヴ』で第159回直木賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • NAO

    最初、コロナ禍の中のもの静かな男女のラブロマンスかと思った。おとなしい女の子という印象だった主人公の春だが、周囲の人々の言葉から実はかなり変わったところのある人物だと分かってきて、終盤近くになって、なぜ彼女がそんな風になったかが解き明かされる。小説を書こうと決めたのは、自分自身を解き放ちたかったから。研究論文に選んだ『銀河鉄道の夜』は、そこに書かれている宗教観に救いを見出したかったから。新興宗教にのめり込んでいる親や親族を持った子どもは、その宗教を強要されなくても、こんなにも強い影響を受けてしまうとは。

  • エドワード

    大学院生の春が夏のキャンパスを歩く冒頭の清々しさ。同級生との会話、恋人の亜紀との会話も爽やかだ。しかし読み進めると、春の心に実に多くの傷や悩みがあることがわかる。父の失踪、父方の親類との絶縁。結婚を前提に同棲しようという亜紀に春は「愛しているってどういうこと?」と問う。深すぎる。誰が的確に答えられよう。春の心理描写がヒリヒリするほど生々しくて、悲しくて、だけど亜紀の気持ちもわかる。21世紀の若者の生きにくさ、愛する辛さをここまでビビッドに描けるって、さすが島本理生さんだ。最後の短編小説に救われる思いだ。

  • ゆずな

    改稿があるとのことで、文庫版で再読。『銀河鉄道の夜』を予習し今の自分で読むと、2年前に読んだ時とは印象が変わった。主人公の春が自分自身を「認められない、受け入れられない、肯定できない」ことが彼女の言動の節々に現れるが、『銀河鉄道の夜』とキリスト教を主題とする副論文、修論としての小説と向き合うことで父の失踪という過去のしがらみから解放されていく過程を描く。島本理生は単行本あとがきで彼女の著作『生まれる森』がやっと完成したというようなことを記していた。救済したい側、救済されたい側の共依存を紐解いている。

  • ザビ

    「自分が子どもの頃に淋しくて辛い思いをしたのは特別な役割を与えられたからだって。ユダヤの民が試練を神様から選ばれた証と考えるみたいに」「そういうものです、人は。あなたが思うほど明確に線引きして生きるものではないよ」幼少期のネグレクト体験を心に凍結させたまま大学院生になった春の、回復の物語。心の中の負の塊をチャンクダウンし、言語化していく過程はやっぱりとても大切なんだ。そして、それを身近で聞いてくれる人も同様に。バイト先の小説家吉沢さんがいい。若い世代からみた大人の余裕や包容力ってこんなイメージなんだろう。

  • はな

    春の周りにいる人たちが良い人たちばかりで、彼らがくれる言葉たちが的確でとても素敵でした。自分の内面と向き合うことって面倒で難しくて未だに逃げてしまっている気がします…。島本さんの作品は時々苦しくなるくらい刺さるのですが、これはまさにそれでした。

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