漣の王国 創元推理文庫

岩下悠子

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784488484217
ISBN 10 : 4488484212
フォーマット
出版社
発行年月
2024年01月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
352p;15

内容詳細

綾部蓮という青年は、私たちにとって遠い国の王様のような存在だった。神の贈り物と呼ぶべき肉体と才能に恵まれ、美貌をもって周囲の人々を侍臣のごとく傅かせ、それでいて何時も退屈を持て余していた。だから彼が自殺した時、その理由を知る者もいなかった――。ひとりの才能ある若者に羨望を抱いた者や憎悪した者、誰もが彼の年齢を追い越していくなか、私たちは思い出す。なぜ青年は自ら命を絶ったのか? 人生の一時期に齎される謎と恩寵を忘れ難い余韻をもって描き出す傑作。

【著者紹介】
岩下悠子 : 1974年東京都生まれ。97年「砂の蝶」が第23回城戸賞を受賞。『相棒』『科捜研の女』をはじめミステリ・ドラマの脚本を数多く手掛ける一方、2012年に小説「熄えた祭り」を発表する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • ひろし さん

    よく見ているテレ朝刑事物ドラマの脚本家が書いた小説ということで期待して、ドラマのような軽快でテンポのよい展開を無意識にイメージしていたのだが、非配偶者間人工授精という重いテーマを扱っており、各話で信仰についても取り上げられている重厚な作品だったが面白かった。大学の水泳部のエースであり憧れの存在であった青年の自殺をきっかけに、彼と関わった人を中心とした話が幾つか展開し、青年の内面を紐解いていき自殺の原因を推理していく。練習や祈りの反復という行為を通じて精神が現れるということも伝えたいのだろうと感じた。

  • シキモリ さん

    容姿端麗で俺様気質の天才スイマー・綾部蓮の自殺を巡る四つの物語。敢えて小難しい言い回しを多用する詩的で流麗な文体に序盤は馴染めなかったが、情景的で色味のある描写や宗教観を絡めた筋運びは耽美で感傷的な独自の世界観を醸成し、第二章以降はすんなり物語に没入出来た。然しながら、肝腎要な綾部の存在感が希薄な為、彼の死の真相は物語の推進力として脆弱であり、時折垣間見せる厭世観の正体も早い段階で予想し得る。それ故、余韻は然程深くなかった。著者は某長寿刑事ドラマの脚本家であり、アニメ化やコミカライズをイメージし易い作品。

  • ゆみのすけ さん

    水泳の才能に恵まれ、美しい顔立ちで人目を惹き、周囲を魅了する綾部蓮。だが、持って生まれた自分の才能に興味を示さず、女性との関係を享楽的に楽しみ、その時その時を刹那的に生きていた。大学時代、周囲からは王様のような存在として崇められていた彼が、卒業後自殺していた。死の真相は一体。彼と関係があった四人の視点で、各章語られる。彼がどんな人物で、どんな秘密があり、なぜ死ぬ必要があったのか。文章の美しさに魅了され、宗教的な観念、命について深く考えさせる良書。著者は相棒、科捜研の女などの脚本を手掛けているそう。

  • まぁみ さん

    言葉の選び方、使い方、流れるように美しさを前面に出した文章…最後まで慣れることが出来なかった。私だけですね(苦笑)。頭脳明晰で眉目秀麗な青年綾部蓮をとりまく四話からなる連作集。文体に魅せられなかったからでしょうか…少なからず先は読めてしまいました。とは言え、一つ一つの展開は見事です。慣れないと言いつつも読み出したら最後まで止まらなかった。物語を通して改めて考えると、とてもビジュアル向きだと感じます。映像が…本書の文体から、すんなり浮かぶはず。アニメ化が一番しっくりきそうだ。ぜひ目からこの物語を見てみたい。

  • ほうじ茶子 さん

    ひとつのさざなみが次のさざなみを生み出し、読み進めるほどにたくさんの波紋が心に波を立たせる連作短編集。綾部蓮という、美しく才能に恵まれた青年の自死をめぐる謎にひっぱられていった最後はどうしても虚しさが拭えない。でも一見関連のない水泳(アスリート)と仏教という取り合わせが、日々繰り返される反復(修行)として美しい文章により説得力を持ってくるところや、2話目それよりも3話目と、後から後から読者にしかわからない視点で登場人物同士の繋がりがあり、思わず声を上げてしまった箇所が幾度となくあり鳥肌モノだった。

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