腐敗と格差の中国史 NHK出版新書

岡本隆司

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784140885833
ISBN 10 : 4140885831
フォーマット
出版社
発行年月
2019年04月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
240p;18

内容詳細

なぜ中国では党幹部や政府役人の汚職がやまないのか?なぜ共産主義国にもかかわらず、貧富の差が拡大するのか?超大国を蝕み続ける「病理」の淵源に、実力派歴史家が迫る。エリート/非エリートの金・コネ・権力をめぐる相剋の二千年を一望し、独裁の度合いを強める中国共産党、および現代中国の実相を大胆かつ明快に読み解いた一冊。

目次 : 1 格差―士と庶はいかに分かれたか(皇帝という体制/ 官僚制の成立/ 門閥主義から賢才主義へ/ 官僚制と二元社会)/ 2 権力―群雄割拠から唐宋変革へ(トップダウンの統治/ トップダウンに抗して/ 王安石の改革とその史的意義)/ 3 腐敗―歪みはどこから来たのか(地方制度の概観/ 衙門の構成/ 行政の実態とその二面性)/ 4 改革―雍正帝と養廉銀(清代前期の情況/ 雍正帝の改革/ 末路)/ 5 根源―中国革命とは何だったか(一九世紀の内憂外患/ 腐敗の洗練/ 革命のターゲット/ 国民党と共産党)

【著者紹介】
岡本隆司 : 1965年、京都市生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。現在、京都府立大学文学部教授。博士(文学)。専攻、近代アジア史。主な著書に、『近代中国と海関』『属国と自主のあいだ』(いずれも名古屋大学出版会、前者で大平正芳記念賞、後者でサントリー学芸賞を受賞)、『中国の誕生』(名古屋大学出版会、アジア・太平洋特別賞・樫山純三賞受賞)がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

ユーザーレビュー

総合評価

☆
☆
☆
☆
☆

0.0

★
★
★
★
★
 
0
★
★
★
★
☆
 
0
★
★
★
☆
☆
 
0
★
★
☆
☆
☆
 
0
★
☆
☆
☆
☆
 
0

読書メーターレビュー

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

powered by

  • ピオリーヌ さん

    中国近代史を専門とする著者が内藤湖南、宮崎市定に代表される京都学派の伝統に倣い、中国を二分し続けてきた格差社会を分かりやすく解説する本。王安石の改革の斬新さ、雍正帝の改革の意義とその歴史的限界、中国における革命の意味。また末尾の参考文献がいい。まだまだ読みたい本が山ほどある・・・

  • Hatann さん

    現代中国の重要課題である腐敗・格差の歴史的背景を追求する。格差の由来を「士庶」の二元社会に求めることは他でも指摘されている。腐敗の由来を中央集権化の官僚制に求める。中央集権体制のもとの地方官吏は、中央から派遣される「官」と地方で採用される「吏」に分けられる。官が監視して吏が執行する。官は有給で吏は無給である。清代では官に対しては俸禄の100倍もする養廉銀が支給されたが吏は放置された。すると吏の袖の下活動は正式にお目こぼされた。肥大化する官を再構築しつつ、実務を支える吏を適切に処遇することが課題となる。

  • Yuki2018 さん

    中国社会の底流にある格差は、唐宋以降固定化された千年の歴史を持つ。郡県制の下、中央から派遣される官は役に立つことは殆どしない。在地勢力である「吏」が実務をし、庶民から搾取する。庶民は税を納めるだけで恩恵は殆どない。この統治は人口急増に伴い益々不全となり、19世紀には内憂外患時代となり、太平天国の乱では2000万人の犠牲が出たという。この背景を踏まえて中国共産党の事績を振り返ると、文革は「下」が「上」を潰すことで統一化を図るものだったし、現在の「社会主義市場経済」が中国の実体にあった制度であることも頷ける。

  • 鬼山とんぼ さん

    巻末に師匠である老学者の一節「中国における腐敗と成長の併存は、より中国の本質に根差した特徴を持っている」が紹介されているが、著者はまさにこのテーマを一般人にも分かるレベルまで噛み砕こうと苦心したことが窺われる。現在の腐敗構造にメスを入れたものではないので、それを期待していた読者には物足りない面もあるだろうが、二千年前から連綿と続く中国社会の上下の断層、支配層が十分な予算を確保しないまま弥縫策で国家運営に当たったために、必要悪としてヤミ財政資金の調達が定着し、腐敗が根深く浸透していった経緯がよく理解できた。

  • in medio tutissimus ibis. さん

    中国の官僚制には他に類を見ない歴史があり、宿痾がある。その根本には、皇帝権力の権威権力の合一に由来する、市場経済の拡大と労働の専門化への適応への失敗がある。即ち、安易なチープガバメントへの志向である。故に税収を富裕層にのみ頼り、民間社会に昏く、官僚の手当ては薄い。官僚は生きるため権力を換金、即ち腐敗する。政府にとり庶民はとるに足らないものとなり、格差は牢固としたものになる。これが現代まで続く。隔絶した天地の狭間に両界から封じた神に両者の仲立ちをさせるという封神演義の設定は、郷紳を念頭に置いたものだろうか?

レビューをもっと見る

(外部サイト)に移動します

哲学・歴史・宗教 に関連する商品情報

おすすめの商品