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ISBN 10 : 4046079266
Content Description
わさびが苦手でした。辛くて刺激が強すぎるのはもちろんのこと、味もなかなかに独特。若かりし頃の自分にとっての「美味しい」とは、イチゴやモンブランのそれでしたので、何故自分の両親がお寿司やお刺身に好んで付けているのかも、本当に不思議でなりませんでした。あまりにも明確に苦手意識があったものですから、お寿司を食べる時は必ずネタをめくってわさびの有無を確認していました。プラスチック蓋にサビ抜きのシールが貼られているのにも関わらず、食べてみたらわさび入りだった、なんて一件もあり、より一層神経質になっていたのかもしれません。それに、ずっと考えていたんです。もし何かの手違いでシャリの上ではなく中心部にわさびを混ぜ込まれていたら、それは噛むまで絶対に気付けないんじゃないかと。まぁお寿司でそんなことはあるはずもなく杞憂に終わったのですが、今考えるとこの「シュレディンガーのお寿司」理論は、恋愛の基本戦術そのものだったんですね。ありのまま差し出しても手に取ってもらえなさそうであれば、魅力的に映るであろうガワを身に纏えばいい。特定の相手に手に取ってもらえればいいのだから、まずはその人について下調べをして、その上で考え調整してガワを作り、後はタイミングを見て相手の目に入るであろう場所に置いてあげればいい。(中略)薄々気付いているかもしれませんが、恋愛も「シュレディンガーのお寿司」です。一見楽しそうなものに見えても、中にはギチギチにわさびが敷き詰められているかも。何も知らずに噛み抜けば強烈な刺激と後悔が待っています。そうならないように本書を最後まで熟読して、予測不能の刺激に備えてください。(本書「はじめに」より)
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