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異種移植 医療は種の境界を超えられるか

山内一也

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784622095286
ISBN 10 : 4622095289
Format
Books
Publisher
Release Date
November/2022
Japan

Content Description

種の異なる動物の間で行われる移植を異種移植という。そのなかでも臓器の異種移植は、ヒト‐ヒト間の臓器移植が抱えている臓器不足問題の解決策として長く期待されてきた。ただし、その道のりには同種移植にはない問題があった。移植から数分で始まることもある超急性拒絶反応や、移植臓器に潜む病原体による未知の感染症の出現リスクなどである。これらの問題のために研究は度々停滞した。しかし近年、遺伝子改変され、ゲノム編集などにより病原体が排除されたドナー豚が作られている。2022年1月には、このドナー豚の心臓を用いた初の移植手術が行われた。いまやこの技術は、実験的な医学研究の段階から、臨床試験の段階へと進もうとしている。実績の少ない革新的な医療技術を適用する際に、患者の福祉はいかに守られるべきか、ドナーとなる動物の福祉についてどう考えるべきなのか。なぜ、ヒトから遠縁の豚がドナー動物に選ばれたのか。移植の歴史をたどり、異種移植が求められてきた背景を振り返りながら、その技術的課題と解決策だけではなく、倫理的課題についても展望する書。

目次 : 第1章 同種移植の歴史/ 第2章 異種移植の歴史/ 第3章 臓器不足とその解決策/ 第4章 ドナーとしての豚/ 第5章 超急性拒絶反応/ 第6章 感染症リスク/ 第7章 臓器移植以外の異種移植/ 第8章 加速する技術/ 第9章 医の倫理/ 第10章 動物福祉

【著者紹介】
山内一也 : 1931年、神奈川県生まれ。東京大学農学部獣医畜産学科卒業。農学博士。北里研究所所員、国立予防衛生研究所室長、東京大学医科学研究所教授、日本生物科学研究所主任研究員を経て、東京大学名誉教授、日本ウイルス学会名誉会員、ベルギー・リエージュ大学名誉博士。専門はウイルス学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • あすなろ@no book, no life.

    異種移植、即ち人間に動物の臓器等を移植する。図書館で見かけ読了。故立花隆氏著書等より以前から興味ある分野。著者に拠れば、ゲノム解析による遺伝子研究から格段にこの20年、研究が進んだという。その他、免疫拒絶反応や未知の感染症リスク、人獣共通ウィルスのリスクも以前としてあるが、人工臓器や人から人への移植が進まない現状、この研究は進められている。また、今後の豚を主軸とした動物工場・動物バイオテクノロジーについても記述あり。

  • shikada

    異種移植の歴史や課題を整理する一冊。患者の臓器や皮膚などが正常に機能しない場合の治療法のひとつとして、他の個体からの移植がある。ヒトからヒトへの移植と並行して、ブタやチンパンジーからヒトへの臓器移植が行われてきた。課題は、免疫の拒絶反応や、移植によるウィルス感染、ドナー不足、動物福祉の倫理的な問題など。移植のハードルは自家移植(自分の皮膚を別の場所に移植するなど)が最も低く、次に双生児の同種移植(ヒトから別のヒトへの移植)、それ以外の同種移植、そして他種移植(ヒト以外の動物からヒトへの移植)が最も難しい。

  • ルーシー

    異種移植の歴史と現状がわかりやすくまとめられていてとて面白かった。2022年の豚の心臓移植のニュースを見てなぜ豚なのかと思ったがこの本を読んで納得した。移植用の豚は遺伝子改変&徹底管理された特別仕様であり、「従来の家畜の概念を超えた存在」になるとしている。また、日本の問題点として、動物福祉や異種臓器の移植についての法整備が遅れていることがあげられる。

  • takao

    ふむ

  • slice

    良書。2022年の豚の心臓の移植手術について気になっていたので購入。途中までは初心者にも分かり易い内容となっていたが、途中から専門用語が並び、スマートフォン片手に格闘することとなったが、無事に読み終えることができた。異種移植という医療の未来について、分かりやすく丁寧に説いていると思う。

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