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近代を彫刻 / 超克する

小田原のどか

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784065252871
ISBN 10 : 4065252873
Format
Books
Publisher
Release Date
October/2021
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

“思想的課題”としての彫刻を語りたい。街角の彫像から見えてくる、もう一つの日本近現代史、ジェンダーの問題、公共というもの…。都市に建立され続け、時に破壊され引き倒される中で、彫刻は何を映すのか。注目の彫刻家・批評家が放つ画期的な論考。

目次 : 1章 空の台座(彫刻という困難/ 彫刻が可視化するもの/ 記念碑としての彫像 ほか)/ 2章 拒絶される彫刻(破壊される彫像/ 光太郎とロダン/ “風雪の群像” ほか)/ 3章 彫刻を語る(「彫刻」となったレーニン/ “わだつみの声”/ 「もうひとつの東京裁判」 ほか)

【著者紹介】
小田原のどか : 1985年、宮城県仙台市生まれ。多摩美術大学彫刻学科卒業後、東京藝術大学大学院美術研究科にて修士号、筑波大学大学院人間総合科学研究科にて博士号を取得。芸術学博士。彫刻家/アーティストとしての活動と並行して、彫刻研究、版元経営、書籍編集、展覧会企画、評論執筆を行う(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • K

    彫刻を鑑賞するのは好きだが、その存在理由や、そもそも彫刻とは何か?ということをあまり考えた事がなかった。正確には、考えたいと思っているが、自分の中に道具がそろってない感覚がある。(唯一、ジャコメッティの作品には思い入れがあるが。)そこで、きっかけを作るべくまずはこれを読む。小田原氏の主張としては、彫刻とは問いかけを行う存在だということ。彫刻自体は変わらないが、それを見るわれわれが判断し、そしてしばしば意見が対立する。例えば、差別を助長するものかどうか、本当に平和を象徴しているのかどうかとか。

  • owlsoul

    我が国の彫刻は、石碑文化と鋳造による人物像が結びついたところに端緒がある。碑は記憶の風化に抗い、その場所で起こった出来事を伝え残す。その伝達力を受け継ぐ彫刻は、やがてプロパガンダとして利用され、戦時中は戦意高揚のため、戦後は平和の記念として街に林立した。場所と結びつくゆえに公共性を持つ彫刻は、ときとして社会との軋轢を生み、拒絶され、破壊される運命にある。変化せずそこにあり続ける彫刻の意味が読み替えられ、引き倒されるとき、我々は自らの変化を実感する。その「超克」の瞬間にこそ、アートとしての彫刻は存在する。

  • kenitirokikuti

    図書館にて。〈再び《平和の群像》の出自に立ち戻って考えるなら、公共空間の女性裸体像は、「ナショナリズムを十全に定着しうる形態」であるとともに、敗戦と占領というこの国の歴史をうつす存在といえるだろう。 さて裸体彫刻の街頭設置が落ち着いた現在、新たな偶像として建立され続けているものがある。アニメキャラクターの彫像だ。〉p.052 本書が扱うのブロンズ像で、水木ロードの妖怪像などが街頭するが、「ガンダム」像もそうだよな…。アニメ像には台座はない。台座は東洋の石碑の系譜。

  • TOMYTOMY

    彫刻と公共性という関係性が、あまり繋がってなかったからこそ発見が非常にあった。 彫刻というある意味日本のマーケットのなこでマイナー性が高いところで非常に大事なことであるし、女性の書き手というのも意味がある。

  • sakanarui2

    近代において登場した公共彫刻という存在を、その歴史から読み解く本。作者自身も彫刻家だが、作品をその芸術性から切り離し、政治的な文脈から考えていく。 公共の場にヌード像が数多く立てられている意味についてずっと気になっていて、高松市の公園にある少女像を巡る論争で著者の文章に出会った。軍国主義(軍神像)から平和主義(裸婦像)へ、でも銅像の役割は変わらず、時代の変化の中で破壊され、撤去され、また立てられる。

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