日本社会のしくみ 雇用・教育・福祉の歴史社会学 講談社現代新書

小熊英二

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784065154298
ISBN 10 : 4065154294
フォーマット
出版社
発行年月
2019年07月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
608p;18

内容詳細

「日本社会のしくみ」は、現代では、大きな閉塞感を生んでいる。女性や外国人に対する閉鎖性、「地方」や非正規雇用との格差などばかりではない。転職のしにくさ、高度人材獲得の困難、長時間労働のわりに生産性が低いこと、ワークライフバランスの悪さなど、多くの問題が指摘されている。

しかし、それに対する改革がなんども叫ばれているのに、なかなか変わっていかない。それはなぜなのか。そもそもこういう「社会のしくみ」は、どんな経緯でできあがってきたのか。この問題を探究することは、日本経済がピークだった時代から約30年が過ぎたいま、あらためて重要なことだろう。(中略)

本書が検証しているのは、雇用、教育、社会保障、政治、アイデンティティ、ライフスタイルまでを規定している「社会のしくみ」である。雇用慣行に記述の重点が置かれているが、それそのものが検証の対象ではない。そうではなく、日本社会の暗黙のルールとなっている「慣習の束」の解明こそが、本書の主題なのだ。 ――「序章」より


【本書の構成】

第1章 日本社会の「3つの生き方」
第2章 日本の働き方、世界の働き方
第3章 歴史のはたらき
第4章 「日本型雇用」の起源
第5章 慣行の形成
第6章 民主化と「社員の平等」
第7章 高度成長と「学歴」
第8章 「一億総中流」から「新たな二重構造」へ
終章 「社会のしくみ」と「正義」のありか


小熊 英二 (オグマ エイジ) (著/文)
1962年東京生まれ。東京大学農学部卒。出版社勤務を経て、東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。現在、慶應義塾大学総合政策学部教授。学術博士。主な著書に『単一民族神話の起源』(サントリー学芸賞)、『<民主>と<愛国>』(大仏次郎論壇賞、毎日出版文化賞、日本社会学会奨励賞)、『1968』(角川財団学芸賞)、『社会を変えるには』(新書大賞)、『生きて帰ってきた男』(小林秀雄賞)、A Genealogy of ‘Japanese’ Self-Imagesなど。


【著者紹介】
小熊英二 : 1962年東京生まれ。東京大学農学部卒。出版社勤務を経て、東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。現在、慶應義塾大学総合政策学部教授。学術博士。主な著書に『単一民族神話の起源』(サントリー学芸賞)、『“民主”と“愛国”』(大佛次郎論壇賞、毎日出版文化賞、日本社会学会奨励賞)、『1968』(角川財団学芸賞)、『社会を変えるには』(新書大賞)、『生きて帰ってきた男』(小林秀雄賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

ユーザーレビュー

総合評価

★
★
★
★
★

5.0

★
★
★
★
★
 
1
★
★
★
★
☆
 
0
★
★
★
☆
☆
 
0
★
★
☆
☆
☆
 
0
★
☆
☆
☆
☆
 
0
★
★
★
★
★
現代の日本社会の仕組みをかたどっている基...

投稿日:2021/04/10 (土)

現代の日本社会の仕組みをかたどっている基本構造について、じっくり考察した力作。 分析の結果、日本社会構造を決定づけているのは日本独自の雇用慣行であると解説している。 高度成長時代には、うまくいっていた仕組みが、現在のような低成長時代、人口減少時代には足かせになっているということを理解するために読むべき一冊だと思う。

さんたろう さん | 不明 | 不明

0

読書メーターレビュー

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

powered by

  • 遥かなる想い さん

    2020年新書大賞第5位。 学歴重視・勤続年数重視の日本社会の 特異性、慣習の束 を描いた作品である。 「正社員になり定年まで勤め上げる」という 生き方 …日本に現存する 暗黙のルールを 歴史的に掘り起こす …「カイシャ」と「ムラ」に帰属する日本の 特徴を わかりやすく描いている、そんな本だった。

  • KAZOO さん

    新書で書かれているのですが内容的には選書やハードカバーであると感じました。それと題名が日本社会とはいうものの分野的には雇用関連の話が中心を占めています。かなり過去の文献を読みこんでおられてそれなりに参考となるのですが分析にとどまっていて今後の方向性や政策に参考となるものをもう少し示してほしい気がしました。

  • 佐島楓 さん

    労働史を概観することでこの国の雇用のしくみを読み解くもの。先行研究を多く参照し、データを使いながらシャープな論理を展開している。新書で約600ページとかなりの分量なので本当に興味のある方しか手に取れないかと思うが、欧米との雇用形態の比較もあるため、しっかりとした知見を身につけたい方におすすめしたい。

  • trazom さん

    日本の雇用制度を、その歴史的背景に鋭く踏み込んで分析した力作である――小熊先生の本は、いつも粘着力の強い「力作」だけれど…。欧米社会が「職務の平等」を目指したのに対し、日本の労働者は「社員の平等」を求める。日本独自の雇用環境を成立させたのが、政府や経営者以上に、労働者自身であったことが面白い。経営の恣意を排し、客観的なルール(勤続年数、学歴など)に基づく処遇で「平等」を求める労働者と、何があっても企業横断的なルールを避けたい経営者たちの妥協の産物が「日本社会のしくみ」だったのかもしれない。

  • とくけんちょ さん

    社会のしくみを歴史的な流れに沿って考えることで、日本らしさというものがわかってくる気がした。日本人らしい考え方というものは、長い長い経験値によって培われた人間性なんだろう。大きな視点でしくみを俯瞰したが、今は、このしくみで、どう具体的な取り組みに結びついていくのかを具現化せねばならない。ここに政治がある。メリットがあれば、デメリットもあるのは当然、皆が自分のこととして考えることが、これからの日本には必要だ。

レビューをもっと見る

(外部サイト)に移動します

社会・政治 に関連する商品情報

おすすめの商品