部落解放同盟「糾弾」史 メディアと差別表現 ちくま新書

小林健治

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784480068378
ISBN 10 : 4480068376
フォーマット
出版社
発行年月
2015年06月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
240p;18

内容詳細

目次 : 序章 大衆団体の意義と社会運動/ 第1章 糾弾とは何か/ 第2章 無知によって再生産される差別―80年代前半の差別事件/ 第3章 「つい、うっかり」に潜む差別―80年代後半の差別事件/ 第4章 想像力の貧困―90年代の差別事件/ 第5章 新時代の差別事件―むき出しの悪意にどう立ち向かうか/ 終章 解放同盟弱体化の根源はどこにあるか

【著者紹介】
小林健治 : 1950年岡山県生まれ。法政大学文学部卒。76年、解放出版社に入り、80年から、部落解放同盟中央本部マスコミ・文化対策部、糾弾闘争本部の一員として、メディアにおける差別事件に取り組む。2004年まで解放出版社事務局長。現在はにんげん出版代表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • 山上徹也そっくりおじさん・寺 さん

    部落解放同盟が、マスコミの差別表現を糾弾してきた活動史の本は、反差別系の出版社からは以前から出ていたが、入手しやすい一般的な出版社の新書から出たのはこの本ぐらいではなかろうか。その点で間違いなく意義と価値がある一冊である。近年は同盟が弱くなったそうだが、代わりに毎月何事かで炎上している時代である。文学作品も糾弾されており、私の好きな司馬遼太郎『竜馬がゆく』もされている。司馬さんは指摘された部分を書き直し、長め謝罪の手紙を書いている。その書簡が全文掲載してあるが、反省しているのかイマイチわからん手紙である。

  • さとむ さん

    近年、メディアに対する「糾弾」が減ったのは、これまでの同盟による啓発活動の成果ともいえるが、差別表現を「リスク」として管理するメディアの姿勢によるところが大きいのではないか。一方で、ネットの世界では匿名個人による罵詈雑言が延々と続く・・・。というようなことを考えていたら、今日の朝刊に浦和サポーターの記事が。以下、引用。「差別表現への抗議のなかで、同盟が問うてきたのは、執筆者の差別意識の有無ではなく、この表現のもたらす社会的影響とその責任の所在についてである」。

  • モリータ さん

    ◆2015年刊。ちょっと感想が書きにくい。年代順に差別表現が問題となった事案を紹介しているが、書き方が羅列的・未整理な印象を受けるため。事案の存在を知れるのはよいことと思うが、各々の記述が事実を十分説明しているかには不安を覚える。

  • CTC さん

    著者は永らく部落解放同盟中央本部でマスコミ対応を務めた人(今は解同本部委員長と対立中)。「解同はなぜ社会的影響力を失ってしまったのか」という自問に、「“権力”への糾弾を回避しつつ、抗議しやすい対象のみを糾弾する、ダブルスタンダードに堕ちたから(大意)」と述べ、解同がコンプライアンスを重視し、法令遵守を内部規範に位置付けたり、「差別を政治で解決しよう」とする志向性に否定的だ。これはそれだけ時の“権力”が差別をなくすにおいて役に立たず、被差別者自らが心の痛みを叫び続けねばならなかった、という事なのだろう。

  • オールド・ボリシェビク さん

    2015年6月刊行。著者は刊行当時は部落解放同盟に所属していたが、その後、除名された。糾弾は「差別した者と差別された者が手を結び、差別させているものと闘う」思想の獲得を目指しているという。糾弾され、謝罪し、そしてまた差別を再生産してしまうマスコミの体たらくを衝く。さらに、著者は解放同盟の弱体化を厳しく指摘。「国家の強権化は解放同盟の弱体化にある」とした柄谷行人の発言を紹介している。差別を見抜く直感と感情を失った解放同盟中枢への批判は厳しい。しかしその後、情況は著者の懸念した通りに推移しているようだ。

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