密やかな結晶 講談社文庫

小川洋子

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784065214640
ISBN 10 : 4065214645
フォーマット
出版社
発行年月
2020年12月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
448p;15

内容詳細

その島では、記憶が少しずつ消滅していく。鳥、フェリー、香水、そして左足。何が消滅しても、島の人々は適応し、淡々と事実を受け入れていく。小説を書くことを生業とするわたしも、例外ではなかった。ある日、島から小説が消えるまでは…。刊行から25年以上経った今もなお世界で評価され続ける、不朽の名作。2019年「全米図書賞」翻訳部門最終候補作!2020年「ブッカー国際賞」最終候補作!

【著者紹介】
小川洋子 : 岡山市生まれ。早稲田大学文学部卒。1988年「揚羽蝶が壊れる時」で海燕新人文学賞を受賞。’91年「妊娠カレンダー」で芥川賞、2004年『博士の愛した数式』で読売文学賞、本屋大賞、同年『ブラフマンの埋葬』で泉鏡花賞、’06年『ミーナの行進』で谷崎潤一郎賞、’13年『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。’20年に『密やかな結晶』の英語訳が日本人作品で初めてブッカー国際賞の候補になる。同年、『小箱』で野間文芸賞受賞。海外での評価も高い(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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静かに少しずついろいろなものが消えていく...

投稿日:2021/06/29 (火)

静かに少しずついろいろなものが消えていく。 最後に残るものは一体何なのか。 存在していても、認知できなくなるってつまり消えていくことなんだなと。自分の中では消えていくとしても、その過程を見守ってくれる人、それを覚えてくれている人がいることは救いがある気がする。 ぞくぞくするのにどこかあたたかくて、せつないけどしあわせなお話だと思った。

えびまよ さん | 東京都 | 不明

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世界から毎朝ひとつずつ「何か」が失われてい...

投稿日:2021/04/09 (金)

世界から毎朝ひとつずつ「何か」が失われていく。名前が無くなるとそれに纏わる記憶も消え、最初から存在しなかったのと同じになる奇妙な現象。ゆるやかな破滅を穏やかに受け入れて生きている人々のお話です。

ゆめゆめゆめ さん | 福岡県 | 不明

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読書メーターレビュー

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • ねこ さん

    不思議でどこか懐かしい異国の世界観。その島では記憶が少しずつ消滅していきます。リボンだったり香水だったり帽子だったり…。島の人はなにが消滅しても適応し、受け入れそして忘れていく。でもそんな消滅の縛りの外にいる人達も居る。消滅する対象はどんどんエスカレートしていってやがて…。著者の小川洋子さんは「人間があらゆるものを奪われたとしても、誰にも見せる必要のない、ひとかけらの結晶があってそれは何者にも奪えない。心の中にある非常に密やかな洞窟のような場所に、みんながそれぞれ大事な結晶を持っている」と…心が震えました

  • アキ さん

    1999年出版された文庫の新装版。2019年全米図書賞、2020年ブッカー国際賞と立て続けに候補作となり国際的評価も高まる。「アンネの日記」を彷彿とさせる秘密警察、地下室へ匿うこと、徐々に失われていくディストピアを描いており、欧米の読者に親和性が高いのかもしれない。閉ざされた空間で耐え、失われていく記憶のまま、生きずらい世界を生き抜くことは、現代社会を描いているようでもある。主人公の書く小説の中で、女が言葉を失くし男に支配される世界が描かれる。言葉を失くしたら物語を紡げない。すると自分の心も守れなくなる。

  • ケンイチミズバ さん

    戦死者の名も数も報告されない。戦争をしていることすら記憶から消されるようなロシアという国の従順な国民のことを思いながら読んだ。写真が消滅する時が来て、彼女が口にした言葉に写真より記憶に残る父や母の思い出の方が大切なもの、それがあるから平気だと。失われたものを失われたと認識できる者は作品世界では特殊な存在として扱われ、秘密警察により記憶狩りにあう。アンネフランクがナチスから逃れ隠れ住んだ様子を思い起こさせるような状況も登場する。記憶から失われた方が権力者に好都合なモノがまだまだ世の中にはたくさんあるだろう。

  • fwhd8325 さん

    1999年の作品です。出版時にはまだ3.11も起きていませんし、コロナも発生していません。時代を先取りしていたというありきたりの言葉で語ってはいけないように思います。人が大切にしているものを突き詰めた結果が、この物語なんだと思います。戦時下の圧政のような恐怖を感じながらも、どこか童話の世界のような温もりも感じていました。小説という表現は、凄いなと感じます。

  • bura さん

    その島ではある日突然何かが一つずつ記憶と共に消えていく。写真、フェリー、鳥、季節…。それらを覚えている人々は秘密警察に記憶狩りに遭い連行されていく。主人公の女性「わたし」はそんな世界の中で小説を書いて暮らす。そのテーマも消失だった。ある時、記憶を持つ編集者を親しくしている老人と家に隠し部屋を作り匿った。それからも一つずつ何かが消え、ある日「小説」が消えていった…。「消えていく事」それは哀しみでもあり、重荷を降ろす諦観の様にも思えた。これは正に喪失の物語、そして残る者の哀しみの物語でもある。余韻が美しい。

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